
不動産査定書は、売却を検討している不動産について、査定価格やその算出根拠などを把握するための資料です。ただし、同じ不動産でも査定書を作成する不動産会社によって、価格が異なるケースがあります。そのため、価格の根拠や比較事例、物件ごとの評価まで確認することがポイントです。
この記事では、不動産査定書の種類や費用、記載内容、入手までの流れ、査定前に準備しておきたい資料を解説します。さらに、不動産査定を経験した方にアンケートを実施し、実際にどの程度の査定価格差があったのかも紹介します。不動産査定書について理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 不動産査定書とは?査定価格とその根拠を確認するための書類
- 不動産査定書の種類と費用
- 不動産査定書に書かれる主な項目をひな形でチェック!
- 不動産査定書の見方|確認したい4つのポイント
- 実際に不動産査定を受けた人に調査|査定価格は会社によってどれくらい違った?
- 不動産査定書はどこでもらえる?入手方法と流れ
- 不動産査定を依頼する前に準備しておきたい書類
- 不動産査定書に関するよくある質問
- まとめ|不動産査定書は査定価格だけでなく根拠まで確認しよう
不動産査定書とは?査定価格とその根拠を確認するための書類

不動産査定書とは、査定対象となる不動産について査定価格と、その価格をどのような考え方で算出したかを確認するための資料です。売却の有無や価格設定を検討するときの判断材料になります。
「不動産査定書」以外に、価格査定書や不動産価格査定書、査定報告書と呼ばれることも。査定結果は書類やメール、Web画面などで伝えられます。
査定価格・売出価格・成約価格はそれぞれ異なる
不動産売却では「査定価格」「売出価格」「成約価格」を区別して考える必要があります。3つの違いは次のとおりです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 査定価格 | 不動産会社などが、物件の条件や周辺の取引状況を踏まえて算出する参考価格 |
| 売出価格 | 売主が市場へ提示する価格 |
| 成約価格 | 売主と買主が合意し、実際に売買契約が成立した価格 |
つまり、査定価格は売出価格を検討する材料の一つですが、最終的な成約価格と同じになるとは限りません。
不動産査定書の種類と費用

売却時に不動産会社へ依頼する査定と、不動産鑑定士が行う鑑定評価は、実施主体や目的が異なります。売却を検討している方がまず価格の目安を知りたい場合は、不動産会社による売却査定を行うのが一般的です。
| 比較項目 | 不動産会社の査定 | 不動産鑑定士による鑑定評価 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 不動産会社 | 不動産鑑定士 |
| 主な目的 | 売却を検討するための参考価格や根拠を確認する | 不動産の経済価値を判定し、中立的な立場から証明する |
| 費用 | 原則として無料 | 有料。一般的な住宅で20万〜30万円程度が目安。 ※料金は依頼先・内容により異なる |
| 利用用途 | 売出価格や売却方針を検討する材料となる | 税務申告、裁判や調停、金融機関への提出など |
不動産会社が作成する不動産査定書
一般の売主が売却を検討するときは、不動産会社へ査定を依頼し、査定価格や算出根拠を確認します。費用は原則として無料なため、査定後に売却をやめたとしても、費用を請求されることはありません。
不動産鑑定士が作成する不動産鑑定評価書
不動産鑑定士による「不動産鑑定評価」は、不動産の経済価値を判定し、その結果を証明するものです。不動産鑑定業者として鑑定評価を行えるのは、国家資格である不動産鑑定士のみです。税務申告や相続といった場面で、提出が求められることが多いです。
不動産査定書に書かれる主な項目をひな形でチェック!

不動産査定書の書式や記載項目は、不動産会社によって異なります。ここでは、受け取った査定書の中身を理解するためのイメージとして、主な項目について説明します。ひな形を参考にしながら、チェックしていきましょう。
※上記はイメージです。実際の査定書の書式・記載項目は不動産会社によって異なります。
査定価格
査定価格は、査定対象の不動産について不動産会社などが算出した参考価格です。
査定価格を算出した根拠
査定価格の根拠は、どのような情報や考え方をもとに価格が算出されたのかを示す部分です。査定価格だけが記載されている場合は、担当者へ算出の考え方を確認するとよいでしょう。
比較した取引事例
査定では、周辺や類似する不動産の取引事例が参考にされる場合があります。査定書に比較事例が記載されていれば、どのような物件を参考にしているのかを把握できます。
物件ごとの評価・補正内容
対象物件の立地や建物状態など、個別の条件がどのように評価されているかを示す項目です。具体的な補正方法や記載の細かさは査定書によって異なるため、不明な点があれば質問してみてください。
不動産査定書の見方|確認したい4つのポイント

査定書を受け取ったら、金額だけで判断せず、その価格に至った根拠を確認します。特にチェックしたいポイントについて、以下で解説していきます。
査定価格だけでなく算出根拠を見る
査定価格を見たときに最初に確認したいのは、なぜその価格になったのかという算出根拠です。どの情報を使い、どの条件を評価したのかをチェックします。
「駅近で需要が見込める」「築年数が〇年以上で、建物に一部修繕が必要」など根拠がわかれば、金額に納得しやすいです。説明がわかりにくい部分があれば、査定を担当した不動産会社へ質問しましょう。
比較された取引事例が自分の物件とどう違うか確認する
比較事例が示されている場合は、査定対象の物件と条件がどのように違うかを把握します。査定価格に影響しやすいポイントは、以下のとおりです。
・築年数
・面積
・立地
・駅からの距離
・取引時期
自分の物件との差をどのように査定へ反映したのかを確認すると、査定価格の考え方を理解しやすくなります。
プラス・マイナス評価の理由を確認する
査定書に物件ごとの評価が記載されている場合は、どの条件がプラスまたはマイナスとして扱われたのかを見てみましょう。
ただし、マイナス評価された条件を改善すれば、必ず査定価格や成約価格が上がるわけではありません。たとえば、リフォームをしても工事費以上に売却価格が上がるとは限らず、その効果は物件の状態や買主のニーズ、市場状況によって異なります。査定書の評価だけをもとに改修などを決めず、費用対効果も含めて不動産会社へ相談しましょう。
複数の査定書で金額が違う場合は算出条件を比べる
複数社へ査定を依頼して査定価格に差が出た場合は、単純に最も高い金額を提示した会社を選ぶのではなく、算出条件まで比較しましょう。参考にした取引事例や物件の評価項目、査定方法などを見比べると、なぜ価格差が生じたのかを判断しやすくなります。
査定価格が高いからといって、その不動産会社が最適とは限りません。相場とかけ離れた高い査定価格で売り出すと、買主が見つかりにくくなり、売却期間が長引く可能性があります。結果として値下げを重ね、当初の査定価格を大きく下回る金額で成約するケースも考えられます。
実際に不動産査定を受けた人に調査|査定価格は会社によってどれくらい違った?

今回は、過去5年以内に、同じ不動産を2社以上の不動産会社へ査定依頼した50名を対象に、アンケートを実施しました。
不動産査定の価格差をチェック
物件の種類ごとに、査定価格の差が大きい順で表にまとめました。
【一棟マンション・一棟アパート】
| 最も高かった査定価格 | 最も低かった査定価格 | 差額 |
|---|---|---|
| 8,000万円 | 3,600万円 | 4,400万円 |
| 1億2,000万円 | 9,800万円 | 2,200万円 |
| 3,500万円 | 3,000万円 | 500万円 |
【分譲マンション】
| 最も高かった査定価格 | 最も低かった査定価格 | 差額 |
|---|---|---|
| 4,500万円 | 3,000万円 | 1,500万円 |
| 4,800万円 | 3,800万円 | 1,000万円 |
| 3,500万円 | 2,800万円 | 700万円 |
【一戸建て】
| 最も高かった査定価格 | 最も低かった査定価格 | 差額 |
|---|---|---|
| 3億5,000万円 | 3億2,000万円 | 3,000万円 |
| 4,200万円 | 3,200万円 | 1,000万円 |
| 2,500万円 | 1,500万円 | 1,000万円 |
【土地】
| 最も高かった査定価格 | 最も低かった査定価格 | 差額 |
|---|---|---|
| 4,800万円 | 3,200万円 | 1,600万円 |
| 1,650万円 | 900万円 | 750万円 |
| 2,800万円 | 2,200万円 | 600万円 |
※上表はアンケート回答の一部です。回答者の経験に基づく結果であり、すべての不動産で同程度の価格差が生じることを示すものではありません。
※「最高査定価格-最低査定価格」で価格差を算出。
今回の回答のうち、確認できた最大差は4,400万円でした。もちろん、複数社で査定しても差額が生まれなかった事例もあります。不動産の状態や査定方法などで結果は変わるため、あくまで参考としてください。
査定方法は「すべて訪問査定」が38%で最多
複数社から受けた査定方法について尋ねたところ、「すべて訪問査定だった」が19人(38%)で最も多い結果となりました。「すべて机上査定・簡易査定だった」と「机上査定と訪問査定の両方が含まれていた」は、それぞれ14人(28%)です。

査定を依頼した会社数は「3社」が60%
同じ不動産について何社へ査定を依頼したかを尋ねたところ、3社が30人(60%)で最多でした。次いで、2社が14人(28%)、4社が4人(8%)となっています。

複数社へ査定を依頼すると査定価格だけでなく、価格の根拠や担当者の説明、販売方針なども比較できます。
不動産査定書はどこでもらえる?入手方法と流れ

不動産査定書の入手までの流れは、次の4ステップです。
1. 不動産会社へ査定を依頼する
2. 物件情報や必要な資料を伝える
3. 机上査定または訪問査定を受ける
4. 査定結果を確認する
ひとつずつ説明していきます。
1. 不動産会社へ査定を依頼する
まず、不動産会社へ売却査定を依頼します。査定を依頼する段階では、売却を決め切っていなくても依頼して問題ありません。
2. 物件情報や必要な資料を伝える
不動産の価値を正しく判別できるように、所在地や面積、築年数などの物件情報を伝えます。手元に物件資料がある場合は、不動産会社から求められた範囲で提示しましょう。書類に関しては「不動産査定を依頼する前に準備しておきたい書類」にて詳しく解説します。
3. 机上査定または訪問査定を受ける
不動産の査定方法には、以下の2種類があります。
・物件情報などをもとに現地訪問をせずに調査する机上査定
・担当者が現地を訪問して調査する訪問査定
どちらを利用するかは、査定の目的や検討段階に応じて不動産会社へ相談してみてください。
不動産査定について、さらに詳しく知りたい方は、以下の記事も要チェックです!
不動産査定とは?査定方法や流れ、見られているポイントを解説
4. 査定結果を確認する
査定結果を受け取ったら内容を確認します。査定価格のほか算出根拠や比較事例、物件ごとの評価、算出条件などをチェックします。
不動産査定を依頼する前に準備しておきたい書類

査定前には、物件の内容を確認できる資料が手元に用意しておくと、正しく情報を伝えやすくなります。準備しておきたい書類を、表にまとめました。
| 資料 | 確認できる内容 |
|---|---|
| 権利関係がわかる資料(登記事項証明書など) | 物件・権利に関する情報 |
| 土地に関する資料(測量図など) | 土地の形状や面積などの情報 |
| 購入時の売買契約書 | 購入時の物件情報 |
| 重要事項説明書 | 購入時に説明を受けた物件の詳細情報 |
| パンフレット・間取り図 | 設備・間取りなどの情報 |
| リフォーム資料 | 改修履歴 |
| マンションの管理資料 | 管理費・修繕積立金などの情報 |
実際に何が必要かは物件種別や査定方法、不動産会社によって異なるため、依頼する不動産会社へ確認してみてください。
不動産査定書に関するよくある質問

最後に、不動産査定書について、よくある質問をピックアップしました。
不動産査定書は無料でもらえる?
不動産会社による売却査定と、不動産鑑定士による鑑定評価は別物です。
不動産査定書は原則として無料ですが、不動産鑑定士による鑑定評価は有料となります。
不動産査定書は何日くらいでもらえる?
不動産査定書を受け取るまでの期間目安は、以下のとおりです。
・机上査定:最短即日〜3日程度
・訪問査定:1週間程度
ただし、査定方法や不動産会社によって期間は変動するため、依頼先へ確認してみてください。
不動産査定書だけもらって売却しなくてもよい?
不動産査定書だけもらって売却しなくても問題ありません。今回のアンケート結果でも、査定後に売却を見送った方や、査定を受けたものの依頼先を決めなかった方もいました。
不動産査定書の査定価格でそのまま売れる?
不動産査定書の査定価格で、そのまま売れるとは限りません。査定価格は参考価格であり、売主が市場へ提示する売出価格、実際に契約が成立する成約価格とは異なります。
複数の不動産会社に査定を依頼してもよい?
複数の不動産会社に査定を依頼して、算出根拠や評価条件などを見比べてみましょう。比較することで、物件の相場が見えてきたり、不動産会社ごとの特徴が把握できたりします。
まとめ|不動産査定書は査定価格だけでなく根拠まで確認しよう

不動産査定書は、売却を検討している不動産の査定価格と、その算出根拠を確認するための資料です。ただし、査定価格は成約価格を保証するものではありません。金額だけでなく、比較事例や物件ごとの評価、算出条件まで確認することが大切です。
独自アンケートでも、同じ不動産を複数社へ査定依頼したところ、大きな価格差が生じたケースがありました。個別の査定結果は物件や条件によって異なるため、各社がどのような根拠で価格を算出したかを見ることが判断材料になります。
アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ
部屋を借りる!賃貸版はこちら
住宅を買う!購入版はこちら


不動産を贈与すると「贈与税」が発生する?譲渡と贈与の違いも解説!
土地の評価額と売値には差がある!実勢価格や固定資産税評価額からの売値の調べ方
マンションの売却に必ず関わってくる「敷地権」についてわかりやすく解説!
「地上権」とは?「賃借権」との違いや取得方法について解説