
不動産会社の売却査定が無料であることを理由に、危険なサービスと判断する必要はありません。ただし、トラブルを避けるには自分でも相場を確認したり、複数の不動産会社を比較したりすることが大切です。
この記事では、無料査定の仕組みと査定方法、よくあるトラブル、5つの対策を解説します。さらに、無料査定を利用した方へのアンケートから、実際に困ったこととも紹介します。不動産の無料査定でのトラブルを避けたい方の参考になれば幸いです。
- 不動産の売却査定は「無料だから」トラブルになるわけではない
- 不動産会社による無料査定の方法は3つ
- 不動産の無料査定でよくある2つのトラブル
- 不動産の無料査定でトラブルを避ける5つの対策
- 【独自アンケート】不動産の無料査定で実際にあったトラブルと解決法
- 不動産の無料査定でトラブルになったときの対処法
- 不動産の無料査定は注意点を理解して活用しよう
不動産の売却査定は「無料だから」トラブルになるわけではない

不動産会社の売却査定が無料だからといって、危険なサービスというわけではありません。無料で行われる理由や仕組みを知り、査定について理解を深めましょう。
不動産会社の売却査定が無料で行われる理由
不動産会社が売却査定を無料にしているのは、売却を検討する不動産所有者との接点をつくり、将来的な仲介につなげるためです。将来的に自社で売買が成立した場合は、仲介手数料として利益を得られます。つまり、査定は不動産会社にとって営業・広告活動の一つといえます。
ただし、無料査定を依頼したからといって、必ずその不動産会社と契約しなければならないわけではありません。複数社へ査定を依頼して内容を比較したうえで、依頼先を検討しましょう。
不動産会社の無料査定と不動産鑑定は目的が異なる
売却を検討するための不動産会社の査定と、不動産鑑定士による不動産鑑定は別のものです。両者の違いを、表にまとめました。
| 比較項目 | 不動産会社の売却査定 | 不動産鑑定 |
|---|---|---|
| 行う主体 | 不動産会社 | 不動産鑑定士 |
| 主な目的 | 売却を検討するための参考価格や根拠を確認する | 不動産の経済価値を判定し、中立的な立場から証明する |
| 費用 | 原則として無料 | 有料。一般的な住宅で20万〜30万円程度が目安。 ※料金は依頼先・内容により異なる |
| 利用用途 | 売出価格や売却方針を検討する材料となる | 税務申告、裁判や調停、金融機関への提出など |
売却するかどうかを考える段階で、価格の目安を知りたい場合は、不動産会社に無料査定を依頼しましょう。対して、税務申告や相続の関係で専門家による鑑定評価が必要な場合は、不動産鑑定士に相談します。
不動産会社による無料査定の方法は3つ

不動産の価格を知る方法は主に3つです。
・AIを使った査定
・現地を訪問せずに行う机上査定
・担当者が現地で確認する訪問査定
ひとつずつ見ていきます。
AI査定
AI査定は過去の不動産データなどをもとに、AIが物件の価格を自動で算出する査定サービスです。物件種別や所在地、面積、築年数などの情報を入力すると、売却価格の目安を把握できます。
短時間で結果を確認できるため、不動産会社へ直接相談する前におおよその相場を知りたい方におすすめです。なお、取引事例が少ない地域の物件などでは、実際の売却価格と差が出る可能性があります。
机上査定
机上査定は所在地や面積、築年数といった物件情報や、周辺の取引情報などをもとに、現地訪問をせず査定する方法です。「まずは売却価格の目安を知りたい」「売却するかまだ決めていない」といった段階で利用しやすく、訪問査定よりも手軽に依頼できます。
一方で、現地を確認しないため、建物の劣化状況や日当たり、眺望、周辺環境など、物件ごとの細かな条件は査定価格に反映されにくいです。売却を具体的に進める段階では、必要に応じて訪問査定も受け、より詳しい査定価格を調査するとよいでしょう。
訪問査定
訪問査定は不動産会社の担当者が物件を訪問し、現地で確認できる情報も踏まえて査定する方法です。建物の状態など、机上の情報だけでは把握しにくい要素を踏まえて調査できる点が特徴です。
ただし、訪問査定で提示された価格も、その価格で売れることを保証するものではありません。
不動産査定については、こちらの記事で詳しく解説しています!
不動産査定とは?査定方法や流れ、見られているポイントを解説
不動産の無料査定でよくある2つのトラブル

無料査定を利用したときに、よくある2つのトラブルを紹介します。
・不動産会社からの営業がしつこいと感じる
・相場とかけ離れた査定価格を提示され、判断に迷う
無料査定を利用すれば必ず起こるものではありませんが、申し込み前に知っておくと対応を考えやすくなります。
不動産会社からの営業がしつこい
無料査定の後、不動産会社から電話やメールなどで連絡を受け、その頻度や対応を負担に感じるケースが見られます。売却の意思がまだ固まっていない段階では、連絡そのものが心理的な負担になることも。
ただし、無料査定を利用すると必ずしつこい営業を受けるわけではありません。連絡の方法や頻度は会社や状況によって異なります。売却や契約の意思がない、連絡を控えてほしいといった希望がある場合は、自分の意思を明確に伝えることが大切です。
相場とかけ離れた査定額を提示される
不動産査定では、自分で調べた相場や他社の査定価格と比べて、かけ離れた査定額を提示される場合があります。特に注意したいのは、「査定価格が高い会社=良い会社」とは限らないという点です。
相場より大幅に高い場合は、自社で売却してもらうために高めの金額を示している、または担当者の経験不足で相場を把握できていない、などの可能性があります。相場より高値で売り出すと、買主が見つかりにくくなり、売却期間が長引くことがあります。結果として値下げを重ね、当初想定していた価格を下回って成約することも。査定価格の高さだけでなく、根拠まで確認した上で不動産会社を比較しましょう。
不動産の無料査定でトラブルを避ける5つの対策

不動産の無料査定でトラブルを避ける主な対策は、次の5つです。
・自分でも不動産の相場を調べておく
・査定価格の根拠を確認する
・査定価格はあくまでも目安と考える
・複数の不動産会社に査定を依頼する
・不動産会社の実績や評判も確認する
それぞれ説明していきます。
自分でも不動産の相場を調べておく
査定を依頼する前に、自分でも周辺の価格情報を確認しておくと、提示された価格の妥当性を見極めやすくなります。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、不動産の取引価格などを確認できます。
ただし、同じエリアでも面積や築年数、物件の状態によって売却価格は異なります。あくまで査定結果を検討するための参考材料として使いましょう。
参考URL:国土交通省 不動産情報ライブラリ
査定額の根拠を確認する
査定結果を受け取ったら、金額に加えて「なぜその金額なのか」を確認してください。
不動産会社への質問例は、次のとおりです。
・どのような取引事例やデータを参考にしたのか
・物件のどの条件をプラス・マイナスに評価したのか
・周辺の相場や市場状況をどのように査定額へ反映したのか
「周辺の相場をもとに算出した」といった大まかな説明だと、正しいかどうかを判断しにくいです。「この物件とは築年数が〇年違うので」「リフォームの有無で〇万円の差が出ている」など具体的な理由まで説明してもらうことが重要です。疑問に感じる点はそのままにせずに質問してみましょう。
査定額はあくまでも目安と考える
査定価格は成約価格を保証するものではないため、あくまでも目安と考えましょう。査定価格は、不動産会社などが物件の条件や周辺の取引状況を踏まえて算出する参考価格です。売主が市場へ提示する売出価格や、売主と買主が合意して実際に契約が成立した成約価格とは区別して考える必要があります。
複数の不動産会社に査定を依頼する
複数社へ査定を依頼する目的は「一番高い査定価格を探すこと」ではなく、査定結果とその根拠、説明内容さなどを比較することです。複数社を比べるにつれて、不動産の相場や不動産会社ごとの特徴が見えてきます。
また、質問への回答がわかりやすいか、対応が丁寧か、相談しやすいかといった担当者の対応も比較材料になります。各社の回答や提案内容をメモしておくと、後で見返しやすいです。
不動産仲介業者に関しては、以下の記事で解説しています。
不動産仲介とは?売買で不動産仲介業者を利用するメリットや選ぶポイントを解説!
不動産会社の実績や評判も確認する
査定価格以外では、不動産会社の公式情報、対応可能な物件・エリア、売却実績、利用者の口コミ・評判なども判断材料になります。
ただし、口コミだけで会社の良し悪しを決めないことが大切です。担当者や担当エリア、売買の時期などで評価は変動する可能性があります。「大手だから安心」「地域密着だから優秀」と一律に判断するのではなく、自分の物件や希望に対応できるか、査定の説明に納得できるかもあわせてチェックしましょう。
不動産売却はどこがいい?不動産会社の選び方と査定時のチェックポイント
【独自アンケート】不動産の無料査定で実際にあったトラブルと解決法
今回は、不動産の無料査定を利用した経験がある人20名を対象にアンケートを実施しました。
無料査定を利用した際の困りごとについて尋ねたところ、約半数の方が気になることがあったようです。

・トラブルとまではいえないが、困った・不満に感じたことがあった:55%
・特に困ったこと・不満はなかった:45%
実際にどのような点で困ったのか見ていきましょう。
「営業・連絡」で困った人の体験談
無料査定で困ったこと・不満に感じたことを複数回答で尋ねたところ、特に多かったのが不動産会社からの連絡に関する負担でした。

・電話やメールなどの連絡への対応が負担だった:40%
・同じ会社から繰り返し連絡が来た:30%
・断ったあとも連絡が続いた:10%
「メールで連絡してほしい」「電話は○時までにしてほしい」などの希望があれば、査定を依頼する際に伝えておくとよいでしょう。
「査定額」で困った人の体験談
査定額に関する困りごとでは「査定価格の根拠が分からなかった」が25%で最も多くなりました。

・査定価格の根拠が分からなかった:25%
・会社によって査定価格に大きな差があった:20%
・査定価格が想定よりかなり高かった:5%
・査定価格が想定よりかなり低かった:5%
根拠に納得できないときは、どの条件をプラスまたはマイナス評価したのかを聞くと、価格の考え方が分かりやすくなります。質問しても説明があいまいな場合や、根拠を十分に示してもらえない場合は、その会社だけで判断せずに他の会社にも相談してみてください。
トラブル経験者はどう対処した?
困ったことへの対応を複数回答で尋ねたところ、次のような行動が取られていました。
・査定価格の根拠を質問した:25%
・不要な営業・連絡を断った:20%
・他の不動産会社にも査定を依頼した:10%
・自分で周辺相場を調べた:10%
・その不動産会社への依頼をやめた:10%
さらに「無料査定を利用する前に知っておけばよかったこと」では、以下のような回答が得られました。

・自分でも相場を調べた方がよいこと:50%
・査定価格の根拠を確認した方がよいこと:30%
・査定価格は実際に売れる価格を保証するものではないこと:25%
・会社によって査定価格が異なること:25%
・複数の会社を比較した方がよいこと:25%
・査定後に不動産会社から連絡が来ること:25%
・査定価格だけで依頼先を決めない方がよいこと:25%
特に多かったのは「自分でも相場を調べた方がよいこと」で50%でした。無料査定を利用する際は、査定結果をそのまま受け取るのではなく、自分でも相場を調査しましょう。
85%が「無料査定を利用してよかった」と回答
営業連絡や査定額について困った経験が挙げられた一方で、「無料査定を利用してよかったと思いますか?」という質問では、次の結果となりました。

・とてもよかった:30%
・まあよかった:55%
・どちらともいえない:10%
・あまりよくなかった:5%
「とてもよかった」と「まあよかった」を合わせると85%となり、多くの回答者が無料査定の利用を前向きに評価しています。
不動産の無料査定でトラブルになったときの対処法

最後に、不動産の無料査定でトラブルになったときの対処法を紹介します。無料査定に対して不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
不要な営業・勧誘は断る意思を伝える
売却や契約の意思がない場合や、これ以上の連絡を希望しない場合は、その意思を不動産会社へ明確に伝えます。「まだ売却を決めていない」「今回は依頼しない」「今後の連絡は不要」など、自分の状況と希望を具体的に伝えると認識のずれを減らせます。
査定額に疑問があれば根拠を確認する
査定価格が高すぎる、低すぎると感じた場合は、算出理由について質問してみましょう。
説明を聞いても判断が難しい場合は、必要に応じてほかの不動産会社からも査定を受け、査定価格と根拠を比較すると参考になります。
解決できない場合は適切な相談窓口へ相談する
不動産会社とのやり取りだけでは解決できない問題がある場合は、消費生活センターなどの公的窓口へ相談するのも選択肢の一つです。連絡を受けた日時や内容など、やり取りを記録しておくと、第三者にも状況を説明しやすくなります。
国民生活センターは、全国の消費生活センターと連携し、商品・サービスといった消費生活全般の苦情や問い合わせを受け付けています。また、消費者ホットライン「188」では、最寄りの消費生活相談窓口を案内しています。個別の契約解除や損害賠償などの法的判断が必要な場合は、適切な専門家への相談も検討してみてください。
参考URL:全国の消費生活センター等
不動産の無料査定は注意点を理解して活用しよう

不動産の無料査定そのものが、トラブルの原因というわけではありません。一方で、査定後の営業・連絡を負担に感じたり、査定価格の差や根拠がわからず判断に迷ったりするケースはあります。
査定を利用するときは自分でも相場を確認し、査定価格の根拠を聞くことが大切です。売却するか迷っている段階でも、現在の査定価格の目安や不動産会社の説明を確認することは、今後の判断材料になります。注意点を理解したうえで、自分の物件について調べてみましょう。
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