相続した土地を3年以内に売却するとどうなる?税金の特例と「3年」の数え方の画像01

結論からいうと、相続した土地は3年以内に必ず売却しなければならないわけではありません。ただし、3年が目安となる税制上の特例があるため、早めに売却することで節税になるケースがあります。
この記事では、相続した土地の売却で関係する税金と、取得費加算の特例・空き家特例について解説します。さらに、土地の相続を経験した方を対象にしたアンケートの結果も紹介します。相続した土地を売却するかどうか迷っている方の参考になれば幸いです。



相続した土地は3年以内に売却したほうがいい?

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相続した土地は3年以内に売却したほうが、節税につながる可能性があります。売却する可能性があるなら、自分が対象になり得る制度と期限を早めに確認しておきましょう。
それでは、以下で詳しく解説していきます。

3年以内でなければ売却できないわけではない

相続した土地は、相続から3年を過ぎても売却できます。ただし、一定期間内に売却することで、税負担を軽減できる特例を利用できる可能性があります。
そのため、売却時期を検討する際は、利用できる特例の期限を確認したうえで、売却価格や家族の事情なども踏まえて判断することが大切です。

一定期間内の売却が条件となる税制上の特例がある

相続した土地の売却で「3年」が一つの目安として挙げられるのは、次のような特例に期限が設けられているためです。

・取得費加算の特例:相続開始から3年10か月以内
・空き家の3,000万円特別控除:相続開始から3年目の年末まで

2つの特例は、売却期限や適用要件などが異なります。利用を検討する場合は、自分が対象となるか、期限や要件をそれぞれ確認しましょう。
参考URL:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
参考URL:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続した土地を放置する主なリスク

相続した土地をすぐに売却しない選択肢もありますが、保有を続ける場合は費用がかかり、管理の手間も発生します。
土地を放置する主なリスクは、次のとおりです。

・土地を所有している間は、固定資産税等の負担が続く
・土地の状況によっては、草刈りや現地確認などの管理負担が生じる
・売却判断を先延ばしにすると、期限が定められた特例を利用できなくなる
・共有名義のまま相続を繰り返すと、世代が代わるごとに権利者が増え、話し合いが複雑になりやすい

不動産の譲渡について詳しく知りたい方は、以下の記事も要チェックです!
譲渡とは|贈与・売却・相続との違いや有償譲渡の流れを解説!

【独自調査】土地を相続した人はいつから売却を考え始めた?

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今回は、過去10年以内に土地を相続した経験がある方を対象にアンケートを実施しました。

売却を検討し始めた時期

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売却を検討し始めた時期については、「相続後1年未満」が34.0%で最も多かったです。相続前からの予定を含めると、相続後3年未満までに売却を検討し始めた割合は76.0%となりました。

売却を考え始めた理由

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売却を考え始めた理由については、「固定資産税などの保有コストが負担だった」が68%で最も多い結果となりました。また、「草刈り・現地確認などの管理が負担だった」という回答も多く、土地を所有し続けることで生じる費用や管理の負担が、売却を検討するきっかけになっていることが分かります。

売却を考え始めた後、実際に行ったこと

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売却を考え始めた後、実際に行ったこととしては、「家族やほかの相続人と話し合った」「インターネットや書籍で調べた」といった回答が多く見られました。相続した土地の売却を検討する際は、まず家族・相続人との意向を確認し、自分でも情報収集を進めるとよいでしょう。

相続した土地を売却するとどんな税金がかかる?

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相続した土地の売却では譲渡所得や契約書、相続登記に関係する税金があります。
ひとつずつ見ていきましょう。

譲渡所得にかかる所得税

土地を売って譲渡所得が生じた場合、所得税の対象になります。譲渡所得の金額は「収入金額ー(取得費+譲渡費用)-特別控除額」です。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得です。税率は長期譲渡所得の所得税が15%、短期譲渡所得が30%となります。
参考URL:国税庁|No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)

復興特別所得税

土地を売却して譲渡所得が生じた場合も、復興特別所得税を申告・納付します。
復興特別所得税は、東日本大震災からの復興を目的として設けられた税金です。税率は、所得税額に対して2.1%が課されます。
参考URL:国税庁|個人の方に係る復興特別所得税のあらまし

住民税

土地を売却して譲渡所得が生じた場合は、所得税だけでなく住民税もかかります。
住民税の税率は、土地の所有期間によって異なります。所有期間が5年を超える「長期譲渡所得」の場合は5%、5年以下の「短期譲渡所得」の場合は9%です。
参考URL:国税庁|No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
参考URL:国税庁|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算

印紙税

不動産売買契約書など、印紙税の課税対象となる文書を作成した場合は、契約書に記載された金額に応じて印紙税がかかります。
土地を売却する際は、売買契約書を作成することが一般的なため、売却にかかる費用の一つとして確認しておきましょう。

登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転などの登記手続きを行う際にかかる税金です。
税率は、登記の種類や原因によって異なります。相続による土地の所有権移転登記の税率は原則0.4%です。
参考URL:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表

「3年以内」は何の日から?制度によって期限が違う

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相続した土地に関係する「3年」は、制度ごとに基準日も期限も異なります。1日でも期限を過ぎると、制度を活用できない可能性があるので、正しい基準を理解しておきましょう。

制度 何に関する期限か 基準 注意点
取得費加算 相続税額の一部を取得費へ加算する特例 相続税の申告期限との関係で判定 単純な「相続後3年」ではない
空き家特例 被相続人居住用財産等の特別控除 相続開始から3年経過日の属する年末など 相続した土地すべてが対象ではない
相続登記 不動産の名義変更義務 所有権取得を知った日など 税金の特例とは別制度

取得費加算の特例は相続税の申告期限が基準になる

取得費加算の特例については「相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで」に譲渡することが要件の一つです。
つまり、期限は「相続した日からちょうど3年」ではありません。売却を検討している場合は、自分の相続開始日と申告期限をもとに、特例の期限を算出しましょう。
参考URL:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

空き家特例は相続開始から3年を経過する日の属する年の年末がポイント

空き家特例では「相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」が要件の一つとして定められています。少し分かりやすくすると「相続開始から3年目の年末まで」ということです。
つまり、取得費加算と空き家特例では、同じ「3年」という言葉が出てきても期限の考え方が異なります。
参考URL:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

相続登記の「3年以内」は売却の税制とは別の期限

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。相続により不動産を取得した相続人は、原則として、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。
この「3年」は名義変更の申請義務に関する期限であり、取得費加算や空き家特例の期限とは別です。
参考URL:法務省|相続登記の申請義務化について

相続した土地の売却で使える「取得費加算の特例」とは?

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取得費加算の特例は、相続税が課税された人が相続財産を一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定額を譲渡資産の取得費に加算できる制度です。取得費が増えると課税譲渡所得が小さくなるため、結果として税額が変わる場合があります。
参考URL:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例

取得費加算の特例を利用できる主な要件

取得費加算の特例を利用できる主な要件は、次の3点です。

・相続または遺贈により財産を取得していること
・その財産を取得した人に相続税が課税されていること
・相続開始のあった日の翌日から、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、その財産を譲渡していること

相続税が課税されていない人は、この特例の対象にはなりません。適用を受けるには、一定の書類を添えて確定申告をする必要があります。

空き家を相続した場合は3,000万円特別控除も確認

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空き家を相続した場合は、3,000万円特別控除の対象になるかを確認しましょう。特例の内容や要件について、以下で説明していきます。
参考URL:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例

空き家特例とは

空き家特例は、相続または遺贈で取得した空き家(被相続人居住用家屋)やその敷地等を一定期間内に売った際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。
ただし、対象となる家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は、控除額は1人当たり最高2,000万円となります。

空き家特例を利用できる主な要件

空き家特例を利用できる要件を、いくつか紹介します。

・売った人が、相続または遺贈により被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得した相続人であること
・相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
・売却代金が1億円以下であること
・売った家屋や敷地等について、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
・親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでないこと

家屋の耐震性や取り壊し時期など、上記以外にも要件があるため「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」より確認してみてください。

相続した土地を3年以内に売却するときの注意点

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相続した土地を3年以内に売却するときの注意点を、4つ紹介します。

・売却する前に相続登記を済ませておく
・共有名義の土地を売却するには共有者全員の合意が必要
・売却した翌年には確定申告を行う
・取得費加算の特例と空き家特例は併用できない

それぞれ解説していきます。

売却する前に相続登記を済ませておく

相続した土地を売却するには、被相続人名義のままではなく、相続による所有権の移転を登記に反映させる必要があります。相続人申告登記を行っていても、それだけでは土地を売却できないため、別途相続登記が必要です。
戸籍収集や遺産分割などに時間がかかるケースもあるため、現在の登記状況や相続手続きの進捗を把握しておきましょう。

共有名義の土地を売却するには共有者全員の合意が必要

共有名義の土地全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が求められます。売却価格や時期、依頼する不動産会社などについて、あらかじめ共有者同士で話し合っておくと、売却手続きを進めやすいです。
共有者同士で意見がまとまらない場合や権利関係が複雑な場合は、司法書士や弁護士などの専門家への相談も検討してみてください。

売却した翌年には確定申告を行う

土地や建物を売却して譲渡所得がある場合は、原則として売却した翌年に確定申告が必要です。また、取得費加算の特例や空き家特例を利用する際も、一定の書類を添えて確定申告を行う必要があります。
売却後は、売買契約書、取得費・譲渡費用が分かる資料、相続関係の書類などを整理し、申告が必要かを確認しましょう。

取得費加算の特例と空き家特例は併用できない

同じ土地・建物の譲渡について、取得費加算の特例と空き家特例を併用することはできません。
どちらを利用したほうが有利かは、相続税額や取得費、譲渡価格、控除額、その他の条件によって変わります。

まとめ|3年の期限を確認し、売却する可能性があるなら早めに価格を確認しよう

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相続した土地は、3年以内に必ず売却しなければならないわけではありません。ただし、取得費加算の特例や空き家特例には期限があり、早めに売却することで節税につながる可能性があります。
売却するか保有するかは、税制だけでなく、土地の利用予定、管理負担、共有関係、現在の価格なども含めて検討します。特例の対象になりそうな場合は、期限ぎりぎりになる前に適用条件と必要な手続きを確認しましょう。
売却するかまだ決めていない段階でも、現在の査定価格を把握すれば、売却するか保有するかを比較する材料の一つになります。

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