2026年(令和8年)分の路線価では、全国平均が前年比2.9%上昇し、5年連続の上昇となりました。特に東京都は9.4%上昇と全国平均を大きく上回っています。
東京では、浅草の「雷門通り」が前年比27.5%、北千住駅西口駅前広場通りが24.2%、中野駅北口駅前広場が22.4%上昇するなど、再開発やインバウンド需要などを背景に、大幅に上昇した地点もあります。
また、全国で最も路線価が高い銀座中央通り「鳩居堂前」では、1㎡あたり4,808万円から5,336万円へ上昇し、10年連続で全国最高額となりました。
では、なぜ路線価の上昇が私たちの生活に関係するのでしょうか。
- 路線価が上がると相続税にも影響する
- 団塊の世代の高齢化と「相続」はこれからの大きなテーマ
- 「自宅だから関係ない」とは限らない
- 路線価が上がっている今だからこそ、自分の不動産価格を知っておこう
- 不動産の4つの価格とは?公示価格・路線価・固定資産税評価額・実勢価格の違いをわかりやすく解説
路線価が上がると相続税にも影響する
路線価は、相続税や贈与税を計算する際の土地の評価に使われます。
相続税は、土地や建物、現金、預貯金などの財産の価額を合計し、一定の基礎控除額を超えた場合に課税されます。
そのため、所有している土地の路線価が上昇すると、ほかの条件が同じであれば、相続税を計算する際の土地の評価額も上昇する可能性があります。
例えば、以前は路線価をもとに評価した土地が3,000万円だったものが、土地価格の上昇によって3,500万円と評価されるようになれば、相続財産全体の評価額も500万円増えることになります。
もちろん、実際の相続税額は、基礎控除や配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例など、さまざまな制度によって変わります。そのため「路線価が上がった=必ず相続税が増える」とは限りません。
団塊の世代の高齢化と「相続」はこれからの大きなテーマ
日本では高齢化が進んでおり、今後は相続を経験する世帯が増えていくことが予想されます。
特に、戦後のベビーブーム期に生まれた「団塊の世代」は、2025年には全員が75歳以上となりました。
こうした世代の高齢化に伴い、今後は「親から子への資産承継」がより身近なテーマになっていくでしょう。
実際、国税庁が公表した2024年分の相続税申告事績や相続税調査の状況からも、相続税が重要な税目であることが分かります。また、2024年分の相続税調査では、実地調査が9,512件、追徴税額の合計が824億円となっています。
ただし、ここで注意したいのは、「国が団塊の世代を狙って相続税を増やそうとしている」と単純に考えることです。
相続税は、富の再分配や税負担の公平性などを目的として設けられている税制であり、団塊の世代だけを対象にした制度ではありません。
一方で、今後相続が増えていくことが見込まれるなか、土地価格が上昇すれば相続財産として評価される土地の価額にも影響します。
つまり、
「土地価格の上昇」+「高齢化による相続の増加」
という2つの動きは、不動産を所有している人にとって、これまで以上に重要なテーマになるといえるでしょう。
「自宅だから関係ない」とは限らない
相続というと、「大きな土地や多額の金融資産を持っている人の話」と考えてしまうかもしれません。
しかし、都市部など土地価格が高い地域では、一般的な戸建住宅であっても土地の評価額が大きくなるケースがあります。
例えば、土地の面積が100㎡で、路線価が1㎡あたり30万円なら、単純計算で土地の評価額は3,000万円です。
路線価が40万円になれば、同じ100㎡の土地でも単純計算で4,000万円となります。
もちろん実際の相続税評価では、土地の形状や利用状況などに応じた補正が行われるため、単純な「路線価×面積」だけで相続税評価額が決まるわけではありません。
それでも、土地を所有している人にとって、毎年発表される路線価は「自分の不動産の資産価値と相続税を考えるための重要な指標」といえるでしょう。
路線価が上がっている今だからこそ、自分の不動産価格を知っておこう
土地価格が上昇しているときは、「資産価値が上がった」と喜ばしい面がある一方、相続や贈与の場面では税負担に影響する可能性があります。
だからこそ、所有している不動産について、
• 公示価格はいくらなのか
• 路線価はいくらなのか
• 固定資産税評価額はいくらなのか
• 実際の市場価格はいくらくらいなのか
をそれぞれ確認しておくことが大切です。
特に路線価は毎年更新されるため、土地を所有している人は、最新の路線価を確認することで、自分の不動産を取り巻く環境がどのように変化しているのかを把握できます。
土地価格の上昇と高齢化による相続の増加が同時に進むこれからの時代。不動産を「いくらで買えるか」だけでなく、「いくらの資産として評価されるのか」「将来、どのように引き継ぐのか」まで考えることが重要になってきています。
不動産の4つの価格とは?公示価格・路線価・固定資産税評価額・実勢価格の違いをわかりやすく解説
不動産の価格には、「公示価格」「路線価」「固定資産税評価額」「実勢価格」という4つの代表的な価格があります。
それぞれ価格の決まり方や目的が異なるため、「土地の価格は○○万円」と一言で表せるものではありません。
本記事では、それぞれの価格が「何を元に決められているのか」「何のために使われるのか」「どのくらいの頻度で更新されるのか」をわかりやすく解説します。
| 不動産の 4つの価格 |
公示価格 | 路線価 | 固定資産税 評価額 |
実勢価格 (実績価格) |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 土地取引・公共事業・不動産鑑定などの基準 | 相続税・贈与税 | 固定資産税・都市計画税・登録免許税など | 実際の不動産売買 |
| 基準日 | 1月1日 | 1月1日 | 1月1日 | 取引時点 |
| 更新頻度 | 年1回 | 年1回 | 原則3年に1回 | 取引ごと |
| 公表時期 | 3月 | 7月 | 基準年度の4月頃~ | 公的な一斉公表なし |
| 直近の公表年月 | 2026年3月 | 2026年7月 | 2025年4月~ ※ |
※固定資産税評価額は2025年度が評価替えの基準年度です。2026年度は原則として2025年度の評価額が据え置かれます。
※実勢価格については「全国一律の公表月」はありません。国土交通省の不動産情報ライブラリで、取引価格情報が四半期単位で順次公表されています。
| 不動産の 4つの価格 |
公示価格 | 路線価 | 固定資産税 評価額 |
実勢価格 (実績価格) |
|---|---|---|---|---|
| 何を元に決める? | 周辺の取引事例、収益性、土地の利用状況などをもとに、不動産鑑定士が評価 | 公示価格や売買実例、不動産鑑定評価などを参考に、道路ごとの価格を評価 | 地価公示価格や都道府県地価調査、売買実例などを参考に、市町村が評価 | 実際の売買で、売主と買主が合意した金額 |
| 何を狙っている? | 土地取引の適正な価格の指標を作る | 相続・贈与の際に土地を公平に評価して課税する | 土地・建物の資産価値に応じて、固定資産税を公平に負担してもらう | その時点で市場で成立する価格を反映する |
| 何のための価格? | 土地取引の基準 | 相続税・贈与税の計算 | 固定資産税の計算 | 実際の売買 |
| 決める主体 | 国(土地鑑定委員会) | 国税庁 | 市区町村 | 売主・買主 |
| 価格の目安 | 100% | 公示価格の 約80% |
公示価格の 約70% |
① 公示価格
「この土地なら、一般的にこれくらいの価格で取引されるだろう」という国が示す基準価格です。 国土交通省の土地鑑定委員会が、毎年1月1日時点の価格を評価して公表します。
例えば、公示価格:1㎡あたり50万円なら、100㎡の土地であれば、
50万円 × 100㎡ = 5,000万円
が公示価格ベースの土地価格になります。
ただし、これは実際の売買価格そのものではありません。
駅からの距離、土地の形、道路付け、日当たり、間口などによって、実際の取引価格は大きく変わります。
② 路線価
相続税・贈与税を計算するための価格です。
道路ごとに「この道路に面している土地は1㎡あたり○万円」という形で設定されています。
例えば、路線価:30万円/㎡土地:100㎡ なら、単純化すると、
30万円 × 100㎡ = 3,000万円
が相続税評価のベースになります。
一般的に、
路線価 ≒ 公示価格の80%程度
となるよう設定されています。
つまり、
公示価格 5,000万円
↓
路線価 約4,000万円
というイメージです。
ただし、実際の相続税評価では、土地の形状や奥行きなどに応じた補正が入るので、単純に「路線価×面積」になるとは限りません。
③ 固定資産税評価額
これは固定資産税・都市計画税などを計算するための価格です。
市区町村が評価します。
一般的には、
固定資産税評価額 ≒ 公示価格の70%程度
とされています。
例えば、公示価格:5,000万円なら、
固定資産税評価額:約3,500万円
というイメージです。
ただし、固定資産税評価額は毎年変わるわけではなく、原則として3年に1度評価替えが行われます。
④ 実績価格(実勢価格)
これが一番「実際の不動産価格」に近いものです。
実際に売主と買主が合意して売買した価格です。
例えば、
公示価格:5,000万円なら、
路線価:約4,000万円
固定資産税評価額:約3,500万円
実際の売買価格:5,800万円
ということも普通にあり得ます。
逆に、
公示価格:5,000万円
実際の売買価格:4,500万円
というケースもあります。
なぜなら、実際の売買では、
• 駅から近い
• 土地の形が良い
• 南道路
• 整形地
• 人気エリア
• 建築条件
• 売主が急いで売りたい
• 買主がどうしても欲しい
など、個別の事情が価格に反映されるからです。
4つの関係をイメージすると
例えば、ある土地について、
実際の市場価格が5,500万円だったとします。
すると、ざっくり、
実勢価格(実際の売買価格)
5,500万円
↑
市場によって変動
公示価格 5,000万円
路線価 約4,000万円
固定資産税評価額 約3,500万円
という関係になります。
ただし、これはあくまで目安で、実勢価格が必ず公示価格より高いわけではありません。
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