
「不動産を購入したいけど、そもそも竣工ってどういう意味?」
「竣工は、完成や完工とは違う意味?」
「竣工から引き渡しまでは、どのような流れ?」
このように竣工とは何か詳しく知りたい人は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、竣工の意味や完成・完工との違いなどを詳しく解説します。竣工日や竣工式など竣工に関するさまざまな言葉の意味も説明しています。竣工について詳しく知り、不動産の購入をスムーズに進めましょう。
竣工とは?読み方は「しゅんこう」

竣工とは、建築工事や土木工事の完了という意味です。建築・住宅用語の1つで、「しゅんこう」と読みます。竣工したあとは、複数の検査を行い、施主に引き渡されます。
なお、竣工に似ている言葉として、完成・完工・竣功・落成・竣成が挙げられます。不動産の購入を検討しているなかで、さまざまな言葉が出てきて困っている人は、多いのではないでしょうか。
次の賞では、竣工と完成・完工・竣功・落成・竣成との違いについての詳しい解説をしていきます。また、竣工の対義語である着工についても解説しています。気になる方は、ぜひ参考にしてください。
竣工と完成・完工・竣功・落成・竣成との違い
▼竣工と似た意味を持つ言葉
言葉 | 意味 |
---|---|
竣工 | 建築工事や土木工事が完了すること 引き渡しの前に複数の検査が必要 |
完成 | 事物が完全に出来上がること 工事に限らず、さまざまな事物に対して使用する |
完工 | 工事を完全に終えること 検査を終え、引き渡しができる状態 |
竣功 | 竣工と同じ意味 神社やお寺に対して使われることが多い |
落成 | 竣工と同じ意味 公共の建物(社屋やビルなど)に対して使われることが多い |
竣成 | 竣工と同じ意味 マンションに対して使われることが多い |
竣工と完成・完工・竣功・落成・竣成は似た意味を持ちますが、言葉が使われるタイミングや対象が異なります。
竣工は、工事が終わっていますが、引き渡しまでに必要な検査が終わっていない状態です。一方、完工は工事だけではなく、引き渡しまでに必要な検査も終わっている状態です。
また、竣工は工事が完全に終えていることをいいますが、完成は工事だけではなく、さまざまな事物が完全に終えている際に使用できます。
竣功・落成・竣成は竣功と同じ意味ですが、言葉を使用する対象が異なります。竣功は神社やお寺、落成は公共の建物、竣成はマンション、竣工はその他に使用されることが多いです。
竣工に似ている言葉は多いため、違いを理解しておきましょう。
竣工の対義語は着工
竣工の対義語は着工(ちゃっこう)です。着工とは、建築工事や土木工事の開始を意味します。着工するためには、自治体や確認検査機関に建築確認申請を行わなければなりません。
なお、着工と似ている言葉に起工(きこう)があります。起工も着工と同じ意味ですが、起工は大規模な工事に対して使用されることが多いです。例えば、船を造る工事を開始する場合には、起工という言葉が使われます。
竣工から引き渡しまでの流れ

竣工してもすぐに引き渡しはできません。竣工したあとにいくつかの検査をして、引き渡されます。
▼竣工から引き渡しまでの流れ
1.自社検査
2.完了検査
3.竣工検査
4.引き渡し
竣工から引き渡しまでは大きく分けて4つのステップです。それぞれ詳しく解説します。流れを理解したい方は、参考にしてください。
1.自社検査
竣工したあと、まずは自社検査を行います。自社検査は、建築工事をした業者の設計士や工事の責任者などが行います。
チェックするポイントは、計画書通りに工事が行われているか、不備がないか、室温や気密性に問題がないかなどです。業者によっては、さまざまな視点でチェックできるように営業職や事務職などが参加したり、複数回検査したりするところもあります。自社検査にて、問題が見つかった場合は、是正します。
2.完了検査
自社検査が終わったら、完了検査を行います。完了検査は、市区町村や指定確認検査機関が行う検査です。
完了検査を行うためには、申請が必要です。基本的に施工業者が申請します。工事が完了して4日以内に申請を行わなければなりません。
また、申請後7日以内に完了検査が行われます。希望の日時がある場合は、相談してみましょう。日時を指定できる可能性もありますよ。
なお、完了検査では、建築基準法を厳守しているか、図面に基づいて施工されているかなどを確認します。問題がなければ、検査済証が交付されます。
3.竣工検査
完了検査のあとは、竣工検査が行われます。竣工検査を行うのは、施主(工事を依頼した人)です。施主検査や内覧会と呼ばれることもあります。
竣工検査では、図面に基づいて施工されているか、器具や建具に不具合がないかなど建物に問題がないか確認します。
竣工検査は、引き渡し前にチェックができる最後の機会です。竣工検査の際は、さまざまな視点で確認できるように複数人での立ち会いがおすすめです。不安な場合は、専門家に同行を依頼しましょう。
4.引き渡し
竣工検査まで完了したら、引き渡しです。引き渡しの際には、業者から鍵や工事完了書・保証書などの書類一式を受け取ります。書類一式は、なくさないように大切に保管しましょう。
なお、竣工検査で問題が見つからなくても、引き渡し後に見つかる可能性はありますよね。1〜2年以内に瑕疵(かし)検査が行われるため、引き渡し後も問題がないかチェックを続けることをおすすめします。
竣工に関する言葉と意味

竣工だけではなく、竣工に関する言葉の意味も理解しておくと不動産購入に役立ちます。竣工に関する言葉として、竣工日や竣工届などが挙げられます。
▼竣工に関する言葉の例
・竣工日
・竣工届
・竣工図
・竣工図書
・竣工写真
・竣工式
それぞれ詳しく解説します。気になる言葉や知らない言葉があれば、参考にしてください。
竣工日
竣工日は、工事が完了(竣工)し、完了検査が終わって検査済証が発行された日を指します。竣工日と混同されやすい言葉として、完工日・引き渡し日・新築年月日が挙げられます。
▼完工日・引き渡し日・新築年月日の意味
言葉 | 意味 |
---|---|
完工日 | 竣工検査による手直しを含め、すべての工事が完了した日 |
引き渡し日 | 施主に建物が引き渡された日 |
新築年月日 | 表題登記した日 表題登記とは、不動産が新たに生じた際に行う登記のこと |
竣工日・完工日・引き渡し日・新築年月日は、それぞれ意味が異なります。間違えないようにしましょう。
竣工届
竣工届とは、工事が完了したあとに施工会社が自治体に提出する書類のことです。斜面を埋め立てたり、車が通れるように歩道の段差を解消したりなど道路に影響を与える恐れのある工事を行った場合に提出が必要です。
竣工届には、工事の概要や完了日などが記載されています。完了届と呼ぶこともあります。
竣工図
竣工図とは、工事が完了した時点での建物の状態を記録した図面のことです。工事前に作成する図面は、設計図といいます。
設計図をもとに工事を開始しますが、変更や追加が発生することがあります。とくに、配管や配線関連は、工事の過程で変更されることが多いです。
竣工図は、変更・追加箇所をもとの設計図に反映させて修正しており、完成した建物の正確な状態がわかります。そのため、リフォームや修繕する際にも重要な資料として用いられます。将来、必要になる可能性があるため、なくさないようにしましょう。
竣工写真
竣工写真とは、建物が完成した際に撮影した写真のことです。外観だけではなく、内観や設備を撮影した場合でも竣工写真と呼びます。ハウスメーカーや不動産会社などの業者は、竣工写真を見れば建物のイメージが湧きやすく、魅力を伝えられるため、営業を目的として撮影するケースがあります。
また、建築会社の場合、竣工写真を実績としてホームページに載せられます。施主が思い出や記念に撮影することもありますよ。さまざまなこだわりが詰められた家が完成したばかりの状態を写真に収めておきましょう。
竣工図書
竣工図書とは、建物に関するあらゆる情報をまとめた図書のことです。竣工図や竣工写真のほか、建物の注意事項や取扱説明書などが含まれています。リフォームする際や売買する際などに、建物の情報を提供するのに役立ちます。
竣工式
竣工式とは、建物の完成を祝う気持ちや繁栄を願う気持ちを込めて行う神事(しんじ)のことです。建築祭式において、地鎮祭や上棟式に並ぶ三大祭式のうちの1つです。
▼建築における三大祭式について
三大祭式 | 説明 |
---|---|
竣工式 | ・建物の完成を祝う気持ちや繁栄を願う気持ちを込めて行う神事 |
地鎮祭 | ・「じちんさい」と読む ・着工する前に土地の神様である氏神(うじがみ)様に土地を利用する許可をもらい、工事が無事に完了することを願う神事 |
上棟式 | ・「じょうとうしき」と読む ・建物の骨組みが無事に完成したことへの感謝の気持ちを表すとともに、その後の工事も無事に終えられるように祈願する神事 |
なお、竣工式は、主に商業施設や社屋などが完成した際に行われ、取引先や建築業者などが招待されます。一般住宅の完成で竣工式を行うことはほとんどありません。一般住宅の場合、お披露目パーティーを行うケースが多いです。
また、竣工式と似た言葉に落成式があります。落成式とは、建物の完成を祝うとともに関係者へ感謝の気持ちを伝えるための式です。広告を兼ねて行うこともあります。
竣工の意味を知ったうえで家を購入しよう!

竣工の意味は、建築工事や土木工事が完了することです。竣工に似ている言葉として、完成・完工・竣功・落成・竣成があります。それぞれ意味が似ており、混同されることが多いです。
しかし、実際には、言葉が使われるタイミングや対象が異なります。細かな違いを理解しておきましょう。
なお、竣工したあと、すぐに引き渡しはできません。竣工後は、いくつかの検査を行い、建物に不具合がないか確認して引き渡します。
不動産を購入する前に、竣工や竣工に関する言葉の意味を詳しく理解しておきましょう。竣工から引き渡しまでの流れも知っておくと良いですね。
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