
ここでは、コンセントを増設する方法とどこに頼むべきか、費用相場はどれくらいかについて解説します。また、コンセントがあると便利な場所や注意点も紹介しますので、リフォームの参考にしてみてくださいね。
- コンセントを増設する方法は3つ
- コンセント増設はどこに頼む?DIYできる?
- コンセントの増設費用はいくら?
- おすすめのコンセント数と設置場所
- 賃貸マンションでもコンセントを増設できる?
- コンセント増設のタイミングは?先々を見据えてまとめてリフォームしよう
コンセントを増設する方法は3つ
自宅のコンセントが足りなくてタコ足配線になっていたり、電源タップで無理に延長したり…。1つのコンセントに負荷がかかり過ぎると、ブレーカーが落ちるだけでなく、漏電による火災を引き起こす危険性があります。
そんな事態を防ぐには、コンセントの増設工事をするのが最適です。
ここでは、コンセントを増設する主な方法を3つ紹介します。
①コンセントの差し込み口を増やす

3つの中で一番簡単!
タコ足配線を解消したい方におすすめ!
コンセントの差し込み口を増やす工事は、3つの中で一番簡単にできる方法です。
基本的には新しいコンセントに内部配線をつなぎ替えるだけでよく、元からある電気配線を大きく変更する必要はありません。
電源が集中するテレビ周りやパソコン周りには、
・6口コンセントを増設する
・USBコンセントを増設する
・コンセントLANを増設する
などの対策をすると便利です。
ただし、この方法では使用できる電気量は変わりません。
電子レンジなど消費電力の大きい家電を使う場所では、配線の電気容量を超えないか(※)確認が必要です。
(※)1回路の許容電流=20A
主な電気機器のアンペアの目安を参考に、コンセントの差込口を増やすだけで対応ができるかを検討してみましょう。
なお、エアコンや冷蔵庫などは使用する電気量が多いので、後述の専用回線を引く方法でコンセントを増設することをおすすめします。
・電気カーペット(3畳用) 8A
・液晶テレビ42型 2.1A
・プラズマテレビ42型 4.9A
・ヘアードライヤー 12A
・電子レンジ(30Lクラス) 15A
・IHジャー炊飯器(5.5合・炊飯時) 13A
・食器洗い乾燥機(100V卓上タイプ) 13A
出典:主な電気機器のアンペアの目安|TEPCO
②既存の電気配線から分岐する

新しい場所にコンセントを設置したいならこちら!
ただしブレーカーが落ちやすくなる懸念も…
新たな場所にコンセントを設置するなら、照明など家の中にある既存の電気配線から分岐させる方法があります。
一般的には、1回路につなげられるコンセントは4〜5つまでです。
ただし、この場合も先程と同様に使用できる電気量は変わりません。
分電盤のブレーカーが落ちやすいという場合には、次の方法がおすすめです。
③分電盤から専用の配線を引く

ブレーカーが頻繁に落ちて困っているならこの方法!
ただし、値段は一番高いよ。
エアコンなど消費電力の大きい家電や、冷蔵庫など継続的に使う家電なら、分電盤から専用の配線を引く方法が最適です。
専用配線が望ましい家電の具体例は、以下の通りです。
主要な家電 | アンペアの目安 |
---|---|
エアコン(10畳用) | 最大14A(冷房) 最大20A(暖房) |
冷蔵庫(450L) | 2.5A |
IHクッキングヒーター(200V) | 20~30A |
ドラム式洗濯乾燥機(9kg) | 2A(洗濯) 13A(乾燥) |
この場合、分電盤に空きがあれば、そのまま増設するコンセントまで配線を引くだけでOKですが、分電盤に空きがなければ、新たなブレーカーを設置するか、分電盤の交換工事が必要となります。
そして、洗濯機など水気の多い家電を使うなら、必ずアース付きのコンセントを設置します。
コンセント増設に関するよくある質問

Q.コンセント増設のために壁を壊す?
通線ワイヤーを使えば、ほぼ壁を傷つけることなくコンセントを増設できます。
【通線ワイヤーを使えるケースの具体例】
・CD管(電線を通す埋設専用の管)がある
・屋根裏を通せる など
一方で、どうしても壁に穴を空ける必要があるケースでも、配線カバーを使えば傷跡を目立たなくすることは可能です。
まずは専門家に相談してみましょう。
Q.コンセントを増設できない場所もある?
漏電・感電リスクが高いため、水しぶきがかかる場所には安易にコンセントを設置できません。
例えばキッチンにコンセントを増設したいなら、シンクやコンロ周りはNGです。
調理スペースや背面収納スペースなど、水気の少ない安全性の高い場所を選びましょう。
コンセント増設はどこに頼む?DIYできる?

では、コンセントの増設はどこに依頼すればいいのでしょうか?
または、自分でDIYできるものなのでしょうか?
電気工事店
コンセントの増設工事は、電気工事店(電気工務店)が行っています。
分かりやすく言えば、街の電気屋さんやリフォーム業者などがそれに当たります。
電気工事店をお探しなら、お住まいの地域を管轄する電気工事の協会や組合に問い合わせてみましょう。
家電量販店
コンセントの増設工事は、家電量販店でも取り扱っています。
エアコンなどの家電購入の際に、合わせて取付工事(コンセントの増設工事を含む)を申し込むのがおすすめです。
コンセント増設はDIYできる?
コンセント増設はDIYできません。
なぜなら屋内の電気配線工事には、電気工事士二種の資格が必要だからです。
中にはyoutubeやブログを見て、「簡単そうだから」と安易にチャレンジする人もいますが、素人が手を出すと漏電を起こしたり、分電盤を劣化させたりする危険性があります。
コンセントの増設は自力で行わずに、必ず専門家であるプロの業者に依頼しましょう。
ただし、使える条件は限られますが、電気工事士の資格なしにコンセントを増設できる器具もあります。気になる人はチェックしてみてはいかが?
1灯2差ソケット
白熱電球の差し込み口につけて、コンセント口を増やせる器具
【使用例】
・コンセントのないトイレにウォシュレットをつける
引掛シーリング増改アダプタ
天井の引掛シーリングにつけて、コンセントを増設できる器具
【使用例】
・今ある照明の近くにもう一つ照明をプラスする
・犬や赤ちゃんの見守り用にwebカメラを設置する
コンセントの増設費用はいくら?

コンセント増設の費用はどのくらいかかるのでしょう。
先にお伝えした、コンセント増設の3つの方法について、一般的な工事費用の相場は下記の通りです。
コンセント増設工事の内容 | 費用目安 |
---|---|
①コンセントの差し込み口を増やす工事 | 5,000円~ |
②既存の電気配線から分岐する工事 | 12,000円~ |
③分電盤から専用の配線を引く工事 | 16,000円~ |
どの工事であっても、共通してかかるのは、コンセントの本体代金と交換工事費、電源ケーブル配線工事費です。
②既存の電気配線から分岐する工事では、新たな場所にコンセットを増設することになるため、これらにプラスして壁穴加工費がかかります。
さらに、③分電盤から専用の配線を引く工事では、分電盤の空き状況によって、プラスでブレーカーの追加代金や分電盤追加工事費がかかります。
電気配線の距離が近いほど工事料金が安くなる
コンセント増設の工事料金は、1mあたりの単価が設定されており、電気配線の距離によって異なります。
②や③の方法で工事する場合、電気配線距離が短ければ費用は安くなりますが、電気配線距離が長くなったり、配線を壁の中に埋め込んだりする場合には費用が多くかかります。
【工事料金例】
6畳の部屋で、対角線上に新たなコンセントを増設する工事:3万円~
露出型と埋め込み型
配線を引く方法には、壁の外側に露出させる方法(露出型)と壁の中に埋め込む方法(埋め込み型)の2つがあります。
それぞれにメリットデメリットがあるため、どちらが自宅に合うのか検討が必要です。
露出型 | 埋め込み型 | |
---|---|---|
メリット | ・大規模なクロスの貼り替えが不要で、工事費用が比較的安い | ・見た目がすっきりする ・配線を破損する危険がない |
デメリット | ・天井や壁、床に配線を引くため、見た目が悪い ・配線を破損する危険がある |
・大規模なクロスの張り替えが必要な場合がある ・建物の構造上、難しい場合がある |
コンセントの増設工事をする場合、
・どの電気工事会社に依頼するか
・どの方法をとるか
で、かかる費用が変わってきます。
必ず相見積もりをして、適正な方法と費用を確認しましょう。
エアコン用にコンセント増設する場合
ここでは具体的に、エアコン用コンセントの設置費用がいくらかかるか見てみましょう。
エアコン工事のケース | 費用目安 |
---|---|
①専用配線を引いてエアコン用コンセントを新設する | 30,000円~ |
②コンセントの差し込み口をエアコン用のものに変更する | 5,000円~ |
③コンセントの電圧を200vに変更する | 4,000円~ |
通常のコンセントは100Vですが、エアコンは消費電力が大きいため、ものによっては200Vのコンセントが必要になります。また、コンセント差し込み口の形もエアコン毎に異なるため、購入時にそれらを確認しておきましょう。
家電量販店でエアコンを購入したら、取付けとともにコンセントの増設までまとめて依頼すれば、スムーズに工事できて便利です。
例)エアコンの購入前に確認することはありますか?|Nojima
おすすめのコンセント数と設置場所
一戸建ての平均面積は100~130㎡で、そこに必要なコンセントの目安は35個ほど。
ただ、最近ではエアコンの設置台数や、家電・ガジェットの所有数がどんどん増えています。
それらを踏まえると、コンセントは多めにあるに越したことはありません。
住宅内の各場所で必要とされるコンセント数と使用家電の目安は下記のとおりです。
場所 | コンセント数 | 使用家電 |
---|---|---|
キッチン | 7~ | 冷蔵庫、炊飯器、電子レンジ、トースター、電気ケトル、コーヒーメーカー、食洗機、IHクッキングヒーター |
ダイニング | 4~ | ホットプレート、卓上電気鍋 |
リビング | 5~ | エアコン、テレビ、無線LAN、空気清浄機、電気ストーブ、ホットカーペット |
寝室(※) | 5~ | エアコン、空気清浄機、電気毛布、間接照明、携帯電話の充電 |
洗面所・トイレ | 4~ | 洗濯機、ドライヤー、電気シェーバー、電動歯ブラシ、ウォシュレット |
玄関・廊下・階段 | 3~ | 掃除機、水槽、イルミネーション(電装) |
外回り | 2~ | 芝刈り機、高圧洗浄機、ホットプレート、電動自転車・電気自動車の充電、イルミネーション(電装) |
(※)その他の部屋は、2畳あたりコンセント1個(2口)が目安
次では、空間別にコンセントがあると便利な場所と注意点をまとめました。
キッチン・ダイニングのコンセント増設

キッチンのコンセントは、カウンターと吊り戸棚の間など、作業しやすい高さに設置すると、コードの抜き差しでしゃがむ必要がありません。
また、IHクッキングヒーターや電子レンジ、食洗機などは消費電力が大きいため、専用のコンセントを設置した方が無難です。
ダイニングで主に使う家電は、ホットプレートや卓上電気鍋など。これらはたまにしか使わないため、テーブルの床下に収納式コンセントを設置するという選択肢もあります。
リビングのコンセント増設

テレビやパソコン周りには、録画機やゲーム機、インターネット機器などが集中します。できるだけ口数の多いコンセントを設置しましょう。
また、モニター裏やケーブル周辺に溜まったホコリは火事の原因になるため、ホコリシャッター付きのコンセントにしておくと安心です。
リビングでは、扇風機や電気ストーブ、ホットカーペットなども季節に応じて使用されます。
使い勝手を考えるなら、テレビの反対側に2ヵ所以上はコンセントを設置しておきましょう。
寝室・個室のコンセント増設

寝室・個室のコンセントは、机とベッドの周辺で床から70~90㎝上に設けましょう。
USB充電付きのコンセントなら、作業中や就寝中に手軽に携帯電話の充電ができます。
そして、テレビを置くならアンテナ端子を、エアコンをつけるなら専用コンセントをお忘れなく。
寝室・個室のコンセントは、部屋の広さや家具家電の種類、配置に合せて決めましょう。
屋外のコンセント増設

意外と忘れやすいのが屋外のコンセント。
屋外のコンセントは、芝刈機や高圧洗浄機など家のメンテナンスで使う他に、庭でバーベキューを楽しんだり、クリスマスイルミネーションを飾ったりするときに必要です。
また、最近では電動自転車や電気自動車のニーズが高まり、それらの充電にも利用されています。
外壁に設けるコンセントは雨にさらされるため、必ず防水タイプを選びましょう。
また、家の正面と裏の2ヵ所に設置すると便利です。
新築・リフォーム時に200Vの配線も検討しよう
昨今は、性能と効率を高めた200Vの家電が増えています。その代表格がエアコンとIHクッキングヒーターです。
これらを新設するためには、
・200Vの配線を屋外から引き込む工事
・屋内の電圧変更工事
の2段階が必要となります。
そのため、将来の需要に備えて、新築やリフォームの際にはあらかじめ200Vの配線を引き込んでおくとよいでしょう。後々、200Vのコンセントが必要になったときに、スムーズかつ低予算で工事できますよ。
賃貸マンションでもコンセントを増設できる?
コンセントの増設を賃貸住宅で行うには、管理会社や大家さんの許可が欠かせません。
コンセントの差し込み口を増やす工事であれば、基本的には認められるケースが多いです。
一方で、コンセントの新設工事は壁やクロスに影響が出やすいため、断られるケースもあります。
許可なく勝手に工事すると、退去の際に原状回復費用がかさんでしまうのでご注意を。
URの賃貸住宅には、コンセント増設の原状回復義務がありません。
「模様替えの手続き」を行えばコンセント増設ができ、退去の際の原状回復が免除されます。
コンセント増設のタイミングは?先々を見据えてまとめてリフォームしよう

長く暮らしていると家電が増えたり、ライフスタイルが変わったりして、充電周りに不便を感じるのは当然のこと。
そして、これはコンセントに限らず、家全体についても言えることです。
家の設備交換や間取り変更、内装工事など、リフォームを行うタイミングで、先々を見据えてコンセントの増設も検討しましょう。
リフォーム工事をまとめて行えば、無駄な費用や手間をかけずにすみますよ。
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