
この記事では、相続した土地を売却する際にかかる税金や節税方法をわかりやすく解説します。
- 相続した土地を売却したときにかかる税金
- 相続した土地を売る際に税金以外で想定しておきたい費用
- 税金を少しでも抑えるために知っておきたい特例・控除
- 相続した土地を売却する際に効果的な節税対策
- 相続した土地を売却する場合、まずは無料一括査定を利用しよう
- まとめ
相続した土地を売却したときにかかる税金

相続した土地を売却する場合、次のような税金がかかります。
- ・譲渡所得税・住民税
- ・印紙税
- ・登録免許税
譲渡所得税・住民税は、売却で利益が出た際にかかる税金です。一方、印紙税・登録免許税は、売却手続きの際に必ずかかる税金となります。
それぞれの税金について、以下で詳しく見てきましょう。
譲渡所得税・住民税
相続した土地を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」に区分され、譲渡所得に所得税・住民税が課税されます。譲渡所得税・住民税は、利益に税率をかけて算出されます。
ただし、売却する不動産の所有期間に応じて、以下のように「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」に分かれ、それぞれ税率も異なります。
- ・長期譲渡所得:所有期間5年超えの不動産の売却での利益
- ・短期譲渡所得:所有期間5年以下の不動産の売却での利益
相続の場合、所有期間は亡くなった人が土地を所有した日からカウントされます。相続した日からの所有期間ではない点には注意しましょう。
また、それぞれの税率は次の通りです。
区分 | 所得税・復興特別所得税 | 住民税 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
長期譲渡所得 | 15.315% | 5% | |||||||||||||||
短期譲渡所得 | 30.63% | 9% |
短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率合計は、2倍近く異なります。短期に該当した場合、高額な税負担になってしまうため、売却するタイミングを検討する際には所有期間も考慮するとよいでしょう。
譲渡所得については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
関連記事:譲渡所得とは?不動産売却にかかる譲渡所得税の計算方法をケース別に解説
長期譲渡所得税の計算方法
長期譲渡所得税の計算方法は、次の2つのステップです。
- 1.課税長期譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
- 2.税額=課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%)
まずは、課税対象となる譲渡所得額を算出します。譲渡所得額は、売却した額から購入にかかった費用と売却にかかった費用を差し引いた額です。
購入にかかった費用である取得費では、購入代金だけでなく、仲介手数料や印紙税などを含めた額が計上できます。ただし、建物の場合は購入費用から減価償却費を差し引く必要があるので注意しましょう。土地の場合は、そもそも減価償却の対象ではないため購入額がそのまま計上できます。
取得費については、取得額が分からない場合は購入額の5%を概算取得費として計上することになります。特に、相続の場合いくらで購入したのか、手数料がどれくらいかかったのかが把握できないケースが多い点に注意しましょう。
概算取得費で計上する場合、本来の取得費よりも計上できる額が少なくなります。売却額から差し引ける額が小さくなることで、利益が多く出てしまい、税負担も大きくなる可能性があるのです。
一方、譲渡費用では仲介手数料など売却にかかった手数料を計上します。これらの費用を売却価格から差し引くことで、課税対象の譲渡所得が算出できます。
譲渡所得を算出したら、あとは譲渡所得税の税率20.315%を乗じることで、長期譲渡所得税がわかります。
例えば、次の場合を見てみましょう。
- ・土地の売却価格:1,500万円
- ・所有期間:20年
- ・取得費:土地代1,000万円+手数料200万円
- ・譲渡費用:100万円
この場合の、譲渡所得税は次のようになります。
課税対象譲渡所得額=1,500万円-(1,000万円+200万円+100万円)=200万円
長期譲渡所得税=200万円×20.315%=40万6,300円
短期譲渡所得税の計算方法
次に、短期譲渡所得税の計算方法を見てきましょう。短期譲渡所得税の算出も、長期譲渡所得税の算出方法と同様に算出できます。短期譲渡所得の場合は、税率を乗じる際に短期譲渡所得税の税率39.63%をかけて算出します。
次の場合で税額を算出してみましょう。
- ・土地の売却額:3,000万円
- ・所有期間:3年
- ・取得費:土地代2,000万円+手数料150万円
- ・譲渡費用:200万円
課税対象譲渡所得額=3,000万円-(2,000万円+150万円+200万円)=650万円
短期譲渡所得税=650万円×39.63%=257万5,950円
印紙税
土地を売却する手続きで必ず発生する税金に、印紙税があります。印紙税とは、課税対象となる文章を作成する場合に課せられる税金です。不動産売買の場合、売買契約書が印紙税の対象となります。
印紙税は、契約書に記載された金額(売却価格)に応じた税額分の収入印紙を書面に貼付・消印することで、納税できます。
不動産売買で主に使われる価格帯での印紙税は、次の通りです。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
100万円超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 | |||||||||||||||
500万円超え1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 | |||||||||||||||
1,000万円超え5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 | |||||||||||||||
5,000万円超え1億円以下 | 6万円 | 3万円 | |||||||||||||||
1億円超え5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
印紙税は、令和6年3月31日までは軽減措置を適用できます。
なお、印紙税は貼付忘れや消印忘れで納税していない場合、本来の印紙税額の3倍の印紙税を支払うというペナルティがあるので注意しましょう。
登録免許税
登録免許税とは、不動産登記に関わる費用のことをいいます。売却する土地に抵当権が設定されている場合、抵当権抹消登記が必要です。抵当権抹消にかかる登録免許税は、不動産個数×1,000円となります。
また、抵当権抹消手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。そのため、司法書士に支払う報酬として、1~3万円程が必要になる点にも注意しましょう。
ちなみに、売却後に所有権を売主から買主に移転する登記も必要です。一般的に所有移転登記は買主が行うので、売主が負担する必要はありません。ただし、登記簿上の住所と売主の現住所や氏名が違う場合や相続後の登記をしていない場合は、先に相続登記や変更登記が必要になるので注意しましょう。
相続した土地を売る際に税金以外で想定しておきたい費用

相続した土地を売る場合、税金以外にも費用がかかります。費用によっては高額になることもあるので、あらかじめ把握して売却計画を立てることが大切です。
売却時にかかる費用としては、次のようなものがあります。
- ・仲介手数料
- ・建物の解体費用
仲介手数料
不動産会社に仲介してもらい土地を売却した場合、仲介への成功報酬として仲介手数料を不動産会社に支払う必要があります。
仲介手数料は、その上限が次のように定められています。
仲介手数料上限(取引額400万円以上の場合)=取引額×3%+6万円+消費税
例えば、1,000万円で土地を売却した場合、36万円(税抜)が仲介手数料の上限となります。
この価格はあくまで上限なので、上限内であれば不動産会社は自由に設定可能です。しかし、基本的には多くの不動産会社が上限いっぱいで仲介手数料を設定しています。
仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約時と決済時に分ける場合と、決済時に一括という方法が一般的です。支払うタイミングは不動産会社によって異なるので、事前に費用とタイミング・支払い方法を確認しておくとよいでしょう。
建物の解体費用
相続した土地に建物が残っている場合、更地にして売却するなら解体費用がかかります。解体費用は地域や建物によって大きく異なりますが、100万円を超えることも珍しくありません。
また、建物の状態によっては、解体せずに土地と建物で売却したほうが売りやすいケースもあります。さらに、解体して更地にしてしまうことで固定資産税が高くなるというデメリットがあり、売れない期間が長くなると固定資産税の負担が大きくなるので注意が必要です。
解体するかどうかは、一度不動産会社に相談したうえで時期などを検討するようにしましょう。
関連記事:家の解体費用の相場はいくら?構造や坪数別の目安・安くする方法
税金を少しでも抑えるために知っておきたい特例・控除

相続した土地の売却では、特例や控除を利用することで節税が可能です。代表的な特例・控除には、次のようなものがあります。
- ・相続税義務者の場合の取得費用加算の特例
- ・相続空き家を取り壊した場合の3,000万円控除
- ・平成21年・22年に取得した土地の1,000万円控除
相続税義務者の場合の取得費加算の特例
相続税義務者の取得費加算とは、相続や遺贈で取得した不動産を売却した場合、相続税のうちの一定額を取得費として加算できるという特例です。この特例を適用するには、次のような要件を満たす必要があります。
- ・相続もしくは遺贈で取得した不動産であること
- ・相続を開始した日の翌日から3年10ヵ月以内の売却であること
- ・相続税を支払っていること
上記の要件を満たすことで、次の額を取得費に計上することが可能です。
取得費加算額=相続税額×売却不動産の課税価格÷相続した財産の合計額
取得費を多く計上できれば、その分譲渡所得を圧縮でき、税額を抑えられます。この特例を適用するには、そもそも相続税を支払っていることと、売却までの期間に注意するようにしましょう。
参考:国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続空き家を取り壊した場合の3,000万円控除
空き家相続し、更地にして売却する場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。この特例を受けるための要件には、次のようなことがあります。
- ・相続開始直前まで被相続人の居住用の家であったこと
- ・昭和56年5月31日以前に建築された家屋で得ること
- ・相続を開始した日から3年を経過する日が属する年の12月31日までの売却であること
- ・売却額が1億円以下であること
- ・耐震リフォーム又は建物を解体した状態で売却すること
この特例を利用するには、売却時の空き家の状態が重要になってきます。特例を適用して売却を検討している場合は、税理士や不動産会社に相談して解体のタイミングなどを誤らないように注意しましょう。
参考:国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
平成21年・22年に取得した土地の1,000万円控除
この控除では、条件に該当する土地を売却する場合、譲渡所得から最大1,000万円が控除できます。控除対象の土地は次の通りです。
- ・平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に譲渡した場合
- ・平成22年に取得した土地(及び権利)を平成28年以降に譲渡した場合
また、次のような条件もあります。
- ・親子や夫婦などの特別な関係から取得した土地でないこと
- ・相続・遺贈・贈与・交換などで取得した土地でないこと
参考:国税庁|No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
相続した土地を売却する際に効果的な節税対策

売却した際にかかる譲渡所得税は、経費をできるだけ多く計上することで所得額を圧縮でき、節税が期待できます。節税に効果的な対策として、次の2つが挙げられます。
- ・取得費用がわかる資料を準備
- ・譲渡費用を漏れなく計上
それぞれ詳しく見てきましょう。
取得費用がわかる資料を準備
取得費用をできだけ多く計上することで、所得の圧縮につながります。特に、相続の場合、取得費がわからずに概算取得費で計上するケースが多いですが、概算取得費ではあまり所得を圧縮できません。
例えば、1,500万円で売却した場合、概算取得費として計上できるのは75万円です。このとき、実際の土地の購入代金や手数料の合計が1,000万円だとすると、計上できる額が大きく違ってきます。
取得費用を計上するには、売買契約書や領収書などが必要です。売却する際には、取得費用がわかる書類を探して、用意しておくようにしましょう。
譲渡費用を漏れなく計上
売却価格から差し引ける経費には、譲渡費用もあります。譲渡費用では、次のような費用が計上可能です。
- ・仲介手数料
- ・負担した印紙税
- ・立ち退き料や取り壊し費用
- ・売買契約を有利な条件に換えるために支払った違約金
- ・名義書換料 など
これらの費用を漏れなく計上できるように、領収書などはしっかりと保管しておくようにしましょう。
相続した土地を売却する場合、まずは無料一括査定を利用しよう

相続した土地の売却を検討するなら、複数の不動産会社を比較検討することが大切です。かかる税金も高額になる土地の売却で少しでもお金を多く残すには、節税と同時により高値で売却する必要があります。高値で売却できるかは、不動産会社の力量にかかっていると言っても過言ではありません。
また、特例の適用や税金についてもしっかりとサポートしてくれる不動産会社なら、売却の負担を多く減らすことも可能です。相続した土地を売る際の税金については税理士に相談できますが、身近に税理士がいない場合は不動産会社が紹介してくれる場合もあります。
できるだけ複数の不動産会社に査定依頼し、査定結果や不動産会社の対応・サービスなどから、信頼して土地売却を任せられる不動産会社を選ぶようにしましょう。
複数の不動産会社に1社ずつコンタクトを取るのは手間も時間もかかります。そのような場合は、一括査定サービスがおすすめです。土地の情報を入力するだけで、複数の不動産会社の査定結果がすぐにわかるので、不動産会社選びを効率よくできるでしょう。
一括査定サービスなら、「SUUMOの無料一括査定」がおすすめです。地域密着型から大手まで幅広い不動産会社を比較できるので、より高値での売却も目指せます。
まとめ
相続した土地を売却する際にかかる税金や、費用・節税方法についてお伝えしました。相続した土地を売却した場合、売却手続きにかかる税金と売却利益にかかる税金が発生します。
特に、売却利益に対して課税される譲渡所得税は税率が20~40%と高く、高額な納税になる可能性があります。譲渡所得税にはさまざまな特例で控除できる可能性があるので、条件を調べて節税できるようにしましょう。
相続した土地を売却する場合、少しでも高く売却して節税を組み合わせることで、より多くのお金を手元に残せます。高値での売却を目指しているなら、できるだけ多くの不動産会社に査定依頼し、結果を比較することが大切です。
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