
不動産が購入したときよりも高く売れた場合、売却益(譲渡所得)に対して税金を支払う必要があります。この記事では、不動産の売却で利益が出た場合の譲渡所得の計算方法をケースごとに見ていきます。
不動産の売却では、さまざまな特例が設定されていて、税金が安くなることもあります。特例が適用される条件なども分かりやすく紹介します。不動産売却にかかる譲渡所得の計算方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
- 譲渡所得とは
- 不動産の課税譲渡所得の計算方法
- 不動産の譲渡所得税額の計算方法
- 所有期間が10年を超える場合の計算方法
- 譲渡所得税の控除が受けられる特例制度
- 譲渡所得が20万を超えたら確定申告が必要
- まとめ
譲渡所得とは

譲渡所得とは、資産の譲渡により生じる利益(所得)のことです。譲渡所得の対象となる資産は、「金銭債権」以外の一切の資産とされており、土地・建物、借地権、株式、船舶、営業権、骨とう品、貴金属、ゴルフ会員権などが対象です。対象外となる金銭債権とは、金銭の支払いを受ける権利のことで、売掛金、貸付金などが該当します。
譲渡所得には、不動産の譲渡所得、株式等の譲渡所得、それ以外の譲渡所得があり、税額の計算方法が異なります。
不動産の譲渡所得では、所得税と住民税が課税され、土地の流動化や有効活用の推進を支援するため、さまざまな特例措置が設けられているのが特徴です。また、特別な税率を適用して、給与所得や事業所得などとは分離して計算する「分離課税」が採用されています。
不動産の課税譲渡所得の計算方法

課税対象となる譲渡所得は、以下の計算式で算出されます。
課税譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)−特別控除額
収入金額とは、不動産を売却して受け取った金額をいいます。譲渡から年末までの固定資産税などの支払いを受けた場合は、その額を収入金額に算入します。
取得費とは、不動産の購入代金や購入手数料に、その後にかかった設備費や改良費を加えた合計金額です。不動産取得税や特別土地保有税(取得分)、土地の測量費なども含みます。取得費を計算する際、不動産の購入価格や諸経費が分からない場合は、売却価格×5%として計算し、取得費とすることも可能です。
譲渡費用とは、不動産を売ったときにかかった諸経費で、仲介手数料、印紙税、立退料などが該当します。修繕費や固定資産税などは含まれないため、計算に入れないでください。
特別控除額とは、不動産を譲渡した場合に一定の要件を満たすことで、さらに所得を減額できる金額をいいます。
具体例で課税譲渡所得の計算方法を見ていきましょう。
例)5,000万円で取得した不動産を5,500万円で売却した場合
収入金額:5,500万円
取得費:5,000万円
譲渡費用:200万円
特別控除:なし
5,500万円-(5,000万円+200万円)=300万円
5,000万円で購入した不動産が5,500万円で売却できたケースですが、譲渡したときの諸経費200万円も差し引く必要があるため、課税対象となる譲渡取得は300万円となります。
不動産の譲渡所得税額の計算方法

不動産の譲渡所得にかかる税金の額は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税額=課税譲渡所得×税率(所得税・住民税)
課税譲渡所得にかけられる税率は、不動産の所有期間によって以下のように異なります。
所有期間 | 区分 | 税率 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5年以下のもの | 短期譲渡所得 | 39% ※39.63% (所得税30%・住民税9%) |
|||||||||||||||
5年を超えるもの | 長期譲渡所得 | 20% ※20.315% (所得税15%・住民税5%) |
※2013年から2037年までは復興特別所得税として別途2.1%が上乗せされた税率
ここで注意してもらいたいのは、所有期間の判定方法です。所有期間とは、不動産を取得した日から売却(譲渡)した日までの期間のことですが、譲渡所得における所有期間は、譲渡した年の1月1日時点を基準に所有期間を算定することになります。
例えば、2018年4月1日に購入した不動産を2023年6月1日に譲渡したケースを考えてみましょう。
購入した日から譲渡した日までを所有期間と考えると、5年2ヵ月所有していたことになり、長期譲渡所得として20%の税率が適用されると思われがちですが、税法上では所得した日から2023年1月1日時点で考えるため、所有期間は4年8ヵ月となり、短期譲渡所得の39%の税率が適用されます。
譲渡した年の1月1日時点における所有期間が5年以下か5年を超えるかで、税率が2倍近く変わります。
復興特別所得税額=基準所得税額×2.1%
例)
所得税30%×2.1%+39%=39.63%
所得税15%×2.1%+20%=20.315%
短期譲渡所得の場合
所有期間が5年以下の不動産の譲渡所得税額は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税額=課税譲渡所得×(税率39.63%)
具体例で、譲渡所得税額の計算方法を見てみましょう。
例)5,000万円で取得し、3年所有していた不動産を5,500万円で売却した場合
収入金額:5,500万円
取得費:5,000万円
所有期間:3年
譲渡費用:200万円
特別控除:なし
(5,500万円-{5,000万円+200万円})×(39.63%)=118万8,900円
所有期間が3年のため、このケースは短期譲渡所得に区分され、復興特別所得税を含めた税率39.63%が適用されるため、課税所得税額は118万8,900円となりました。
長期譲渡所得の場合
所有期間が5年を超える不動産の譲渡所得税額は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税額=課税譲渡所得×(税率20.315%)
具体例で、譲渡所得税額の計算方法を見てみます。
例)5,000万円で取得し、8年所有していた不動産を5,500万円で売却した場合
収入金額:5,500万円
取得費:5,000万円
所有期間:8年
譲渡費用:200万円
特別控除:なし
(5,500万円-{5,000万円+200万円})×(20.315%)=60万9,450円
所有期間が8年のため、このケースは短期譲渡所得に区分され、復興特別所得税を含めた税率20.315%が適用されるため、課税所得税額は60万9,450円となりました。
所有期間が10年を超える場合の計算方法

不動産譲渡所得の税率は、所有期間が長いほど低くなります。投資目的の不動産売却を抑制する意味も込められているのですが、所有期間が10年を超える場合は、さらに税金が安くなる可能性があります。
所有期間が10年を超え、かつ以下の要件を満たす場合は、「10年超所有軽減税率の特例」が適用されます。「10年超所有軽減税率の特例」では、以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ・自分が住んでいる国内の不動産を売る
- ・売却した年の1月1日時点でマイホームの土地・建物の所有期間が10年超である
- ・併用できない別の特例を受けていない
- ・売却した年から数えて、前年および前々年にこの特例の適応を受けていない
- ・夫婦や親子、親族などへの売買でない
参考:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
「10年超所有軽減税率の特例」の適用となった場合は、以下の税率となります。
課税譲渡所得 | 税率 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6,000万円以下のもの | 14% ※14.21% (所得税10%・住民税4%) |
||||||||||
6,000万円を超えるもの | 6,000万円以下の部分:14% ※14.21% (所得税10%・住民税4%) 6,000万円を超える部分:20% ※20.315% (所得税15%・住民税5%) |
※2013年から2037年までは復興特別所得税として別途2.1%が上乗せされた税率
課税譲渡所得が6,000万円以下のものか、6,000万円を超えるものかで税率が異なります。6,000万円を超える場合では、6,000万円以下の部分と超える部分で税率が異なるため、計算式を2つに分けて行う必要があります。
課税譲渡所得が6,000万円以下の場合
所有期間が10年を超え、課税譲渡所得が6,000万円以下の不動産の譲渡所得税額は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税額=課税譲渡所得×(税率14.21%)
具体例で、譲渡所得税額の計算方法を見てみましょう。
例)5,000万円で取得し、15年所有していた不動産を5,500万円で売却した場合
収入金額:5,500万円
取得費:5,000万円
所有期間:15年
譲渡費用:200万円
特別控除:なし
(5,500万円-{5,000万円+ 200万円})×(14.21%)=42万6,300円
所有期間が15年で一定要件を満たした場合、「10年超所有軽減税率の特例」が適用され、復興特別所得税を含めた税率14.21%で計算すると、課税所得税額は42万6,300円となりました。
課税譲渡所得が6,000万円を超える場合
所有期間が10年を超え、課税譲渡所得が6,000万円を超える不動産の譲渡所得税額は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税額=(課税譲渡所得の6,000万円以下の部分×税率14.21%)+(課税譲渡所得の6,000万円を超える部分×税率20.315%)
課税譲渡所得が変動したとしても、6,000万円以下の部分の税額は一定のため、【6,000万円×(14.21%)=852万6,000円】 までは同じです。さらに、6,000万円を超える部分に対して追加計算を行い、合算すると譲渡所得税額が割り出せます。2段階に分けて計算するのがポイントで、2つをまとめた計算式は以下の通りです。
譲渡所得税額=(課税譲渡所得税額−6,000万円)×(20.315%)+852万6,000円
具体例で計算方法を見た方が分かりやすいです。
例)2,000万円で取得し、15年所有していた不動産を9,000万円で売却した場合
収入金額:9,000万円
取得費:2,000万円
所有期間:15年
譲渡費用:200万円
特別控除:なし
(課税譲渡所得6,800万円–6,000万円)×20.315%+852万6,000円=1,015万1,200円
まず、課税譲渡所得を計算します。
課税譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)−特別控除額
なので、9,000万円-(2,000万円 + 200万円)=6,800万円
課税譲渡所得は6,800万円となり、この金額を6,000万円部分と、800万円部分に分けて計算することになります。
6,000万円以下の計算式は、【6,000万円×(14.21%)=852万6,000円】
6,000万円を超える部分の計算式は、【800万円×(20.315%)=162.万5,200円】となります。
852万6,000円+162.万5,200円=1,015万1,200円
課税所得税額は1,015万1,200円となりました。
譲渡所得税の控除が受けられる特例制度

不動産売却時に適用条件を満たすことで、譲渡所得税の控除が受けられる特例制度があります。
- ・居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
- ・特定の居住用財産の買換えの特例
- ・マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- ・特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
不動産の譲渡所得税には、さまざまな特例があり、特例を上手に活用することで、不動産の譲渡所得にかかる税金を0円とすることも可能です。特例には一定の要件を満たす必要があるため、対象となっているかを事前に確認することが大切です。
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
この特例制度はマイホームを売却する場合であれば、譲渡所得から3,000万円まで差し引くことができる制度で、不動産の所有期間に関係なく利用できます。譲渡所得が3000万円以下であれば、譲渡所得がゼロ、つまり譲渡所得税を支払わなくてもよくなります。
特例を適用できる要件は以下の通りです。
- ・マイホームを売る、もしくはマイホームとその土地を売る
- ・マイホームに住まなくなってから3年以内
- ・マイホームを取り壊した場合、住居を取り壊してから1年以内で、その間その土地を活用して利益を得ていない
- ・売った年から3年前までにこの特例を受けていない
- ・売った年から3年前までにマイホームの買換えやマイホームの交換の特例を受けていない
- ・売り手と買い手が親子や夫婦、親族などの特別な関係でない
参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
具体例で計算方法を見てみましょう。
例)2,800万円で取得し、8年所有していたマイホームを5,000万円で売却した場合
収入金額:5,000万円
取得費:2,800万円
譲渡費用:200万円
所有期間:8年
特別控除:なし
まず、課税譲渡所得を計算します。
収入金額-(取得費+譲渡費用)−特別控除額=課税譲渡所得
なので、5,000万円-(2,800万円+200万円)=2,000万円
この場合、マイホームの売却なので、所有期間は考慮されず、特例制度が適用されます。
譲渡所得は3,000万円以下なので、譲渡所得税は免許されます。
例)2,800万円で取得し、15年所有していたマイホームを1億円で売却した場合
収入金額:9,000万円
取得費:2,800万円
譲渡費用:200万円
所有期間:15年
特別控除:なし
まず、課税譲渡所得を計算します。
収入金額-(取得費+譲渡費用)−特別控除額=課税譲渡所得
なので、10,000万円-(2,800万円+200万円)=7,000万円
マイホームなので3,000万円の控除を受けることができるため、譲渡所得は、7,000万円–3,000万円=4,000万円となります。所有期間が10年を超え、課税譲渡所得が6,000万円以下の不動産の譲渡所得税額は以下の計算式で算出されます。
譲渡所得税額=課税譲渡所得×(税率14.21%)
課税譲渡所得4,000万円×(税率14.21%)=568万4,000円
課税所得税額は568万4,000円となりました。
10年超所有軽減税率の特例は、マイホームの3,000万円特別控除と併用できるのが最大のメリットです。
特定の居住用財産の買換えの特例
マイホームを売って、新たにマイホームを買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることができます。
特例を適用できる要件は以下の通りです。
- ・マイホームを売る、もしくはマイホームとその土地を売る
- ・マイホームに住まなくなってから3年以内
- ・マイホームを取り壊した場合、住居を取り壊した日までの所有期間が10年を超えている
- ・マイホームを取り壊した場合、取り壊し日から1年以内で、その間その土地を活用して利益を得ていない
- ・売った年から3年前までに3,000万円控除の特例を受けていない
- ・売った年から3年前までにマイホームの軽減税率の特例、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていない
- ・売ったマイホームと買い換えたマイホームは、日本国内にある
- ・売却代金は1億円以下
参考:国税庁「No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例」
例えば、2,000万円で購入したマイホームを6,000万円で売却し、8,000万円のマイホームに買い換えたケースを見てみましょう。
通常だと、4,000万円の売却益が課税対象となりますが、特例の適用を受けると、売却した年で売却益への課税は行われません。買い換えたマイホームを将来、譲渡したときまで売却益への課税が繰り延べられます。
さらに話を進めて、買い換えたマイホームを9,000万円で売却した際、売却価額9,000万円と購入価額8,000万円との差額1,000万円の売却益に対して課税されるのではなく、1,000万円に特例の適用を受けて繰り延べられていた4,000万円の売却益(課税繰延べ益)を加えた5,000万円が課税対象となります。
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホーム(旧住宅)を売って、新たにマイホーム(新住宅)を購入した(買い換えた)場合に、旧住宅の譲渡により損失が出た場合、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得などから控除(損益通算)することができます。さらに、その年の所得では控除しきれなかった場合、翌年以後3年間まで繰り越して控除することが可能です。
- ・マイホームを売る、もしくはマイホームとその土地を売る
- ・マイホームに住まなくなってから3年以内
- ・マイホームを取り壊した場合、住居を取り壊した日までの所有期間が5年を超えている
- ・マイホームを取り壊した場合、取り壊し日から1年以内の契約で、住まなくなってから3年を超えている
- ・旧住宅は日本国内にあり、所有期間が5年を超えている
- ・新住宅は日本国内にあり、家屋の床面積が50平方メートル以上
- ・新住宅には2年以内に住む予定
- ・新住宅の取得に10年以上の住宅ローンを利用する
参考:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)」
例えば、給与所得400万円の会社員が自宅を買い替えて1,000万円の譲渡損失が発生した場合、特例が適用され、所得税と住民税の課税は以下のように計算します(所得は4年間変わらないと仮定)。
売却時の確定申告では、給与所得(400万円)より大きな譲渡損失(1,000万円)があるので、差額の600万円が翌年に繰り越されます。所得は0円となり、源泉徴収分は全額還付されます。
400万円(給与所得)-1,000万円(譲渡損失)=△600万円(繰越せる譲渡損失)
翌年の確定申告は、繰り越された600万円の損失があるため、給与所得(400万円)から控除され、残額は翌年に繰り越されます。所得は0円で、源泉徴収分は全額還付されます。
400万円(給与所得)ー600万円(繰り越し損失)=△200万円(繰越せる譲渡損失)
翌々年度の確定申告は、繰り越された200万円の損失がまだ残っているため、給与所得(400万円)から控除されます。
400万円(給与所得)ー200万円(繰り越し損失)=200万円
所得200万円をもとに税金を計算しなおすため、源泉徴収されている所得税の一部が還付されます。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マイホームを住宅ローンの残高より低い価額で売却して損失(譲渡損失)が出た際に、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得などから控除(損益通算)することができます。さらに、その年に損益通算しても控除しきれなかった場合は、翌年以後3年内に繰越して控除(繰越控除)することができます。
- ・マイホームを売る、もしくはマイホームとその土地を売る
- ・マイホームに住まなくなってから3年以内
- ・マイホームを取り壊した場合、住居を取り壊した日までの所有期間が5年を超えている
- ・マイホームを取り壊した場合、取り壊し日から1年以内の契約で、住まなくなってから3年を超えている
- ・マイホームは日本国内にあり、所有期間が5年を超えている
- ・売却の前日時点でマイホームに住宅ローン残高があること
参考:国税庁「No.3392 「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の対象となる「譲渡資産」及び「特定譲渡」とは」
例えば、給与所得400万円の会社員が、6,000万円で購入したマンションを2,000万円で売却した場合、住宅ローンの残高が3,000万円だったとすると、特例の対象となる譲渡損失の限度額を求める必要があります。
譲渡損失の金額
2,000万円(売却代金)-6,000万円(購入代金)=△4,000万円
特例対象の譲渡損失限度額:
3,000万円(住宅ローン残高)-2,000万円(売却代金)=1,000万円(譲渡損失の限度額)
譲渡損失は4000万円ですが、繰越できる譲渡損失の限度額は住宅ローン残高から売却代金を差し引いた1,000万円となります。
繰越控除の計算は前述の「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」をご参照ください。
譲渡所得が20万を超えたら確定申告が必要

購入した不動産を売却して、20万を超える利益(譲渡所得)が出た場合は確定申告が必要となります。不動産売却により譲渡所得が生じた場合の確定申告には以下の書類が必要となります。
- ・確定申告書B様式(第一表)
- ・確定申告第三表(分離課税用)
- ・譲渡所得の内訳書
- ・取得時の売買契約書のコピー
- ・取得費用のわかる領収書のコピー
- ・売却時の売買契約書のコピー
- ・売却時の取得費用のわかるコピー
- ・登記事項証明書
- ・本人確認書類
- ・源泉徴収票
各書類の入手方法や書類を揃えた後の申告の流れなどは以下の記事で解説しています。参考にしてください。
関連記事:国税庁「No.3392 「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の対象となる「譲渡資産」及び「特定譲渡」とは」
まとめ
マイホームを売却すると、売却益(譲渡所得)に対して税金を支払わなければならないのが原則ですが、軽減措置や特例を利用することで、大きな節税効果を期待できます。中でも「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」と「特定の居住用財産の買換えの特例」は節税効果が高く、確定申告を行う際は、特例が適用できないか検討してください。
マイホームの売却で損をしないためにも、譲渡所得の計算方法の基本を理解し、特例の適用基準をしっかり確認しておくことが大切です。
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