どうして鉄筋コンクリートのマンションが丈夫なのかを解説するよ!

近年の建築技術の発展は目を見張るものがあります。
建造物は大型化し、高層ビルはさらに高くなり、地下鉄は縦横無尽に走っています。
マンションを見ても、最近では耐震・免振などの新しい技術が導入されています。
そして、今までの国内の建築物の実績から見ても、鉄筋コンクリートのマンションは非常に頑丈で長持ちになっていると言えます。
鉄筋コンクリートのマンションを構造と材料のレベルから見てみると…

マンションについて知る上で、構造と材料を知ることは非常に大切になります。
ここではマンションの構造と、材料となる鉄筋コンクリートの特性について紹介します。
マンションの「RC造」と「SRC造」ってなに?
マンションの構造を調べると、「RC造」と「SRC造」という言葉が良く出て来ます。「RC」は「Reinforced Concrete」の略で、鉄筋コンクリート造を指します。また「SRC」は「Steel Reinforced Concrete」の略で鉄骨鉄筋コンクリート造を指します。これは、鉄筋コンクリートに鉄骨を内蔵させた構造となります。
RC造とSRC造、特色がそれぞれありますが、次の表のようになります。
名称 | どんなものか? |
---|---|
RC造 | コンクリートがメインの材料となり、耐火性や防音性が高い。 木造などに比べ建築コストが高い分、家賃は高くなる。 高層には不向きなので一般的には5階建てくらいまでが多い。 |
SRC造 | 鉄骨を更に鉄筋コンクリートで包むため、強度や耐震性でRCを上回る。 強度的に優れるので、高層建築にも用いられる。 家賃が高くなる。 |
RC造、SRC造ともに非常に強い構造であることが分かりましたが、それではなぜ鉄筋コンクリートを使った建物は強くて長持ちするのでしょう?
鉄筋コンクリートの前に…材料の強度について
鉄筋コンクリートの説明の前に、材料の強度はどうやって調べるのかを説明したいと思います。
材料の強度は、基本的に「引っ張り」と「圧縮」で調べます。
調べたい材料に徐々に力を加えて行き、壊れる時点の力の大きさを測るのです。
例えば、針金の強度であれば、機械でその針金に引っ張る力を加えて、どれくらいで破断するかを調べます。
逆にコンクリートの強度であれば、圧縮の力を加えて、どの時点でつぶれや破壊が生じるかを見ます。
▼引張りと圧縮のイメージ

鉄筋の強度について
鉄筋コンクリートに入れる鉄筋は、「異形鉄筋」とも呼ばれ、表面がゴツゴツしている材料です。
表面のゴツゴツはコンクリートとの食いつきを良くするためにわざと作られているのです。
鉄筋の強度は「引張り」で測定されます。
引張りだと材料がピンと張った状態でちぎれるまで耐えるのに対して、圧縮だとグニャリと曲がってしまうからです。
ちなみに、よく使われる鉄鋼(SS400材)の強度は1平方ミリメートルあたり約400ニュートン(約41キログラム)の引張り強度を持ちます。
コンクリートの強度の特性
一方、コンクリートの強度は「圧縮」で測定されます。
と言うのは、コンクリートは引っ張った場合と圧縮した場合では、圧縮の方が断然強度が優れるからです。(コンクリートに引張りの力を加えると、圧縮の場合の1/10程度の力で壊れてしまいます。)
コンクリートの強度は大体1平方ミリメートルあたり18~24ニュートン(約1.8~2.4キログラム)の力に耐えます。この値から導き出すと、1円玉(約3平方センチメートル)の面積あたり、540~720キログラムに耐える計算となります。
両者の組み合わせにより強度がアップする
さて、鉄筋とコンクリートの強度の特性は、鉄筋が引っ張りに強く、コンクリートは圧縮に強いことが分かりました。
それでは、両者を併せた場合はどうなのでしょう?・・・鉄筋コンクリートの強度です。
結論から言うと、鉄筋コンクリートは引張りにも圧縮にも強くなります。
引っ張った場合は中の鉄筋が、圧縮が掛かった場合はコンクリートがその強度を発揮するからです。
さらに、引張りと圧縮の両方に強くなると、曲げの力に対しても強くなります。
そのため、鉄筋コンクリートは梁(はり)としても使えるのです。

鉄筋コンクリートの耐用年数は?
次は、鉄筋コンクリートの耐用性の話です。
コンクリートの耐用年数には、化学的な変化が関係してきます。
コンクリートの中では鉄はサビにくい
コンクリートはセメントと砂・砂利、そして水を練り合わせて作る材料ですが、セメントは水と接すると水酸化カルシウムが生じて、強いアルカリ性を示します。
もう一方の鉄筋は、高いアルカリ環境下ではサビが進まなくなります。
これはアルカリ環境下ですと鉄筋の表面に強固な被膜(不働態被膜)が生成されて、鉄素地にサビが侵食しないようになるからです。
そして、鉄筋の強度はサビずに維持されるため、鉄筋コンクリート全体の強度も保たれることになります。

鉄筋コンクリートは不滅か?
それでは、鉄筋コンクリートは半永久的に使えるかというと、決してそうではありません。
と言うのも、コンクリートのアルカリは、年月が経つと中性に変わってしまうためです。
この原因には、空気中の二酸化炭素が挙げられます。
二酸化炭素は、コンクリート中の水酸化カルシウムと反応して炭酸カルシウムを生成してしまい、アルカリ性から中性に変えてしまいます。
これがいわゆる「コンクリートの中性化」です。
鉄筋コンクリートのコンクリートが中性になってしまうと、鉄筋の腐食が始まります。
そうすると、鉄筋は酸化することにより体積が膨張し、コンクリートにはヒビが入り、そこから雨水が侵入し…といった悪循環に陥り、崩落の危険性もでてきます。
この時点が、鉄筋コンクリートの寿命と言うべきでしょう。
マンションの寿命はどれくらい?

ここでは、マンションの寿命がどれくらいかを考えてみたいと思います。
法定耐用年数47年と築80年ビルのリノベーション
マンションの法定耐用年数は47年となっています。
しかし、鉄筋コンクリート製の建築物はそれ以上の物が多くあります。
霞が関ビルなどは、竣工が1968年4月ですから、良い実例と言えるでしょう。
実際の耐久年数はどれくらいかと言うと、実力値から判断するのが妥当だと思われますが、そこには諸説があり、中には100年を超えるという説まであります。
ちなみに、築80年のRC造の建物をリノベーションした例があります。
心配なのはコンクリートの状態ですが、異常が無いかどうかをチェックした後で、劣化している部分の鉄筋の補修や新たなコンクリートの注入が行われました。
そしてその結果、築140年まで建物の耐久年数が延びるとされたのです。
コンクリートの中性化のスピードと耐用年数
また、コンクリートの中性化と耐用年数の関係には、このようなシミュレーションも可能です。
まず、鉄筋コンクリートの「コンクリートの中性化」が、年間で0.5mm進行するものと考えます。
その場合、鉄筋コンクリート表面から配筋までの深さ3cm(日本建築学会の鉄筋コンクリート工事標準仕様書での値で30mm以上)まで到達するのに、60年必要となります。
従って、鉄筋コンクリート建築物の耐用年数は60年と考えることも出来るのです。
この耐用年数を基準とすると、法定耐用年数の47年をはるかに上回る耐久性を持つことが分かります。
マンションを長く利用できることの「証拠」とも言えるエピソードでしょう。
コンクリート技術から考える現代建築について

ここで、コンクリート技術にまつわる建築技術の紹介をしましょう。
タワーマンションに関する話です。
タワーマンションは、コンクリートテクノロジーの結晶とも言うべき建築物です。
コンクリートの頑丈さは圧縮の強度で計られますが、強度の区分がさまざまあり、一般のものから高強度のものまで揃っています。
タワーマンションに使われるコンクリートは、その中でも超高強度と言われるものです。
超高強度のコンクリートは、一般のコンクリートよりも5倍以上の強度を持つものが開発されています。
それでは、なぜタワーマンションに超高強度のコンクリートが必要になるのでしょう?
ビル建築の場合、下の階の強度が足らないと、上の階の重さで下の階の柱が破壊してしまう危険性があります。
そこで、普通よりも強度の高いコンクリートが用いられるのです。
この超高強度コンクリートは耐用年数も長くなっていて、建物の長寿命化にも寄与しているよ!
鉄筋コンクリートの強度はすごかった!
マンションの強度は鉄筋コンクリートに由来すること、そして耐久性についてもご理解いただけたかと思います。
タワーマンションの例を見る時、未来の建築物がどうなるか、胸が躍ります。
コンクリートや鉄筋のテクノロジーは、今後ますます進展することでしょう。
そして、その向こうにどんな建物が出現するのか…。
今後の建築技術の発展に、ぜひご注目ください!
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