サイディング外壁は価格が安い?貼り方・種類・補修のタイミングと費用の画像01

ここでは、

・サイディングの特徴と種類
・サイディングの施工方法(貼り方)
・耐久年数とメンテナンス

について詳しく解説します。

これから家を建てる人やリフォームする人、中古住宅を購入する人は、サイディングのメリット・デメリットについて、しっかり学んでおきましょう。



サイディング外壁とは?

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サイディングとはパネル外壁材の一種です。
工場で成型された「サイディングボード」を現場でカットして貼り合わせ、パネル同士のつなぎ目を埋めることで住宅の外壁になります。

1970年代に登場したサイディング外壁は、90年代から普及し始めました。
現在は新築戸建ての9割超がサイディングであり、一般住宅の主流となっています。

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出典:2021年3月版「住宅用建材使用状況調査」の概要 |一般社団法人 日本サッシ協会

サイディングは安い?モルタルとの違いは?

外壁の施工方法には、次の2種類があります。

・湿式工法(水を使う工法)・・・モルタル(塗り壁)、タイル
・乾式工法(水を使わない工法)・・・サイディング

サイディングが普及する前の1980年代までは、左官職人さんによる手作業のモルタル仕上げが主流でした。
しかし、モルタル壁には、

・時間の経過でヒビ割れするリスクが高い
・すべて手作業+乾燥時間が必要=工期が長く、工事費用がかかる
・職人さんの技術によるため、品質にバラツキがある
・耐水性が低い

といったデメリットがあります。

その点、サイディングはパネルを貼り合わせるだけなので、建築を担当した大工さんがそのまま施工できます。
さらに、

・工期を短く安くできる
・工場生産で品質が安定している
・種類やデザインが豊富にある
・耐水性・耐天候性が高い
・軽くて耐震性に優れている

など数々のメリットがあるため、今日最も多く使われる外壁材となったのです。

サイディングの施工方法~直貼り工法・外壁通気工法~

サイディングの施工方法には直貼り工法外壁通気工法があります。
その大きな違いは通気層(空気の通り道)の有無です。

直貼り工法
・通気層がない
・木造住宅の構造用合板に防水シートを張り、そのままサイディングを貼る工法
・サイディングの裏側に結露が生じ、カビや腐食の原因になる

外壁通気工法
・通気層がある
・木造住宅の構造用合板に防水シートを張り、胴縁(どうぶち)を取り付けた上からサイディングを貼る工法
・基礎から屋根にかけて湿気が抜けるため、サイディングの裏側に生じる結露を抑えられる

直貼り工法は、サイディングが普及し始めた1990年代の建物に多いですが問題もあり、2000年以降は施工方法が改められて、外壁通気工法が多くなっています。

建物がどちらの工法かを確認するには、水切り板金(外壁と基礎の間にある板金)上部の隙間を測ってみましょう。
奥行きが1cm強であれば直貼り工法と考えて間違いないありません。
一方で、奥行きが2cm強~3cmであったり、指先が入るほどのゆとりがあったりすれば、外壁通気工法と判断できます。

サイディングの施工方法の違いは、この後のメンテナンスにも影響するよ。
直貼り工法のサイディング外壁だと、外壁塗装の施工品質保証が受けられなかったり、サイディングの重ね張り工事(カバー工法)が行えなかったりするので、しっかりチェックしよう!

サイディングの貼り方~縦張り・横張り~

一般的なサイディングのサイズは、幅45cm×長さ3mほど。
これを縦方向に張るか(縦張り)横方向に張るか(横張り)で、見た目だけでなく性能や工事費用も変わってきます。

サイディング 横張り 縦張り
胴縁 縦胴縁 横胴縁
通気 機能しやすい 機能しづらい
デザイン 多い 少ない
工事価格 安い 高くなる
継ぎ目 多い 少ない

サイディングの貼り方の主流は「横張り」です。
その場合は胴縁を縦方向に取り付けるため、通気層が上下方向にあり、空気や水分がスムーズに流れます。
また、横張りサイディングの方が種類が多く、バリエーションも豊富です。
さらに、横張りなら職人さんが一人でも作業できるため、工事価格を安く抑えられます。

ただし、「縦張り」に全くメリットがないというわけではありません。
縦張りならサイディングの長さを活かすことで、継ぎ目の数を最小限に抑えられます。
また、ネックとなる通気性も通気溝付き胴縁を使えば、ある程度は確保できます。
次の章で紹介する金属系サイディングでは、シンプルなデザインを活かした縦張りも増えてきています。

サイディングの種類は4つ~性能・費用・おすすめは?~

サイディングの種類は、大まかに分けて以下の4つがあります。

・窯業(ようぎょう)系
・金属系
・木質系
・樹脂系

それぞれの特徴を簡単にまとめると次の通りです。

窯業系 金属系 木質系 樹脂系
断熱性
防火性 ×
防水性
防汚性

①窯業系サイディング

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日本では一般住宅の7〜8割を窯業系サイディングが占めています。
窯業系サイディングの主原料はセメント質と繊維質。上の表からも分かる通り、最もバランスのとれた外壁材と言えます。

また、ナチュラルな木目調のものから、レンガ風やタイル調、石造り調まで、幅広くラインナップがあるため、どんな外観にも対応できるのも人気の理由でしょう。

その一方で、デメリットは通気性があまりよくないため蓄熱しやすく、素材自体の防水性が低いこと。そのため定期的な塗装メンテナンスが必要となります。

窯業系サイディングのおすすめポイントは?
・硬くて高密度=耐震性・遮音性・防火性が高い
・デザインが豊富
・比較的費用が安い
・工期が短い

②金属系サイディング

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金属系サイディングはガルバリウムやアルミニウム、ステンレスなどの金属板に、樹脂断熱材を合わせた外壁材です。
窯業系に比べて重量が軽く、メンテナンスも簡単なので、リフォームの現場でよく使われています。

また、金属系サイディングは断熱性・耐凍害性にも優れているため、気温変化の激しい寒冷地にもおすすめです。
最近では窯業系サイディングに負けじと、レンガ風やタイル調のデザインも登場しています。

その反面、金属ならではのデメリットとして、衝撃に弱く凹んだり、温度変化で変形したり、潮風でサビてしまったりします。

金属系サイディングのおすすめポイントは?
・軽くて扱いやすい(窯業系サイディングの1/4程度)
・断熱性が高い(窯業系サイディングの5~6倍)
・耐震性・耐凍害性に優れている

③木質系サイディング

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木質系サイディングは天然木の表面を炭化させ、塗装を施したものです。自然の色合いや木目が特徴で、温かみのあるカントリー風の外壁に仕上がります。

木質系サイディングは熱を吸収しにくいため、断熱性に優れています。また、日々自然に変化していくため飽きにくく、愛着をもてることでしょう。

ただし、他のサイディングと比べると防火性や防水性に劣り、木目を活かすためにはコーティング剤の耐久性を下げる必要があるため、メンテナンス費用や手間がかかるのが難点です。

木質系サイディングのおすすめポイントは?
・自然な風合い
・天然木ならではの唯一無二のデザイン
・熱を吸収しにくく、断熱性が高い

④樹脂系サイディング

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樹脂系サイディングは、プラスチックの一種である塩化ビニル樹脂を使用した外壁材です。日本ではあまり使われていませんが、アメリカでは樹脂系サイディングが主流となっています。

樹脂系サイディングはとても軽く、耐久性や耐天候性に優れています。また、シーリングなしで施工できるタイプは外壁の見栄えがよく、素材そのものに色が入っているために色褪せしづらいなど、メンテナンス面でも様々なメリットがあります。

しかし、他のサイディングと比べて防火性や遮音性で劣ること、何よりも施工できる業者がほとんどいないことが大きなネックとなっており、樹脂系サイディングの普及を阻んでいます。

樹脂系サイディングのおすすめポイントは?
・耐久性・耐候性に優れている
・シーリングが不要で変色しにくい=メンテナンスが楽
・素材が軽い(窯業系サイディングの1/10程度)

サイディングの耐久年数とメンテナンス

サイディング本体の寿命は最大で40年とされています。ただし、それは定期的に適切なメンテナンスを行った上での数値です。
ここからは、もっともメジャーな窯業系サイディングを念頭に解説していきます。

サイディングはセメントと繊維質でできているため、本来は湿気を吸収しやすい素材です。無塗装のサイディングボードに水を吸わせると、質量が1.3~1.5倍になるといわれています。
その弱点を防水塗膜でカバーしているため、塗膜が劣化すると自身の膨張に耐えきれず、割れてしまう恐れがあるのです。

また、サイディングのつなぎ目を埋めるシーリング(コーキング)が劣化すると、雨漏りにつながる可能性があります。
さらに、シーリングは外壁よりも傷みの症状が早く出やすいため、注意が必要です。

サイディング外壁の点検項目やメンテナンス時期の目安、スケジュールは以下の通りです。

点検内容 点検項目 メンテナンス時期の目安
塗装表面の状態 褪色・藻・落ちなくなった汚れ・塗膜の亀裂・塗膜の剥離など 塗り替え
5~10年
シーリング部の状態 シーリング材自体の劣化によるひび割れ・剥離など 打ち替え
適宜対処
サイディングの状態 サイディングの破損・地震などによって発生した亀裂など
また、経年劣化による反り・うねり
部分張り替え等
適宜対処
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出典:窯業系サイディングとは|一般社団法人日本窯業外装材協会

同じサイディング外壁であっても、家の形状や外壁塗料の種類、立地、天候など様々な要因によって、状態は変化します。
一般的な目安としては、新築から5〜10年で最初の塗り替えを行い、25〜30年経った時点でサイディングの張り替えを検討する必要性があります。

また、シーリング(コーキング)の劣化については、施工会社の定期点検以外にも、台風や地震の後など、年に1度は自分で確認して、早めのメンテナンスを心掛けましょう。

★サイディングは洗剤で洗える!?
実は、サイディング外壁は洗剤で汚れを落とすことができます。
ホースで水洗いした後に、中性洗剤を水で薄めてブラシや雑巾でこすれば、大方の汚れはキレイになります。
コケやカビなどには、専用クリーナーを使うと簡単に汚れを落とせて便利です。

ただし、あまり強くこするのは外壁を傷める恐れがあるので御法度です。
素人が高圧洗浄機を使うと、外壁材を傷めたり、軒天の通気口から水が入ったりする恐れがあります。
特に、シーリングは衝撃に弱く傷みやすいため十分に注意しましょう。

サイディングのシーリング(繋ぎ目)の劣化

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サイディング同士をつなぐシーリング(コーキング)は、主に紫外線で劣化します。
輪ゴムをずっと日に当てるとボロボロになってしまうように、シーリングも長い間紫外線に当たることで痩せて硬化し、ひび割れていきます。
シーリングが劣化して切れや剥がれが生じると、その隙間から水が入ってサイディングや外壁内部まで傷んでしまうことも。
また、シーリング本来の役目である衝撃を吸収する機能にも支障を来します。

シーリング劣化の進行度
痩せ → ひび割れ → 浮き → 断裂 → 剥がれ

サイディング塗料の劣化

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サイディングの表面を覆う塗装には、経年劣化によって以下の症状があらわれます。
そのため、7~10年を目処に再塗装を繰り返して、防水機能を維持することが重要です。

サイディング塗料の劣化 症状・内容
色褪せ 紫外線や雨によって、塗料の色が薄くなる
チョーキング
(白亜化現象)
塗料の耐久性が下がり、含まれていた顔料が粉化する
塗膜剥離 塗料の耐久性が下がり、塗装が剥がれてしまう
塗膜の膨らみ 塗膜がデコボコと膨らんでくる
(塗装の劣化や施工不良の場合もあれば、蓄熱水蒸気膨れ(※)の場合も多い)
汚れ カビや苔などの付着
(塗料の防水性が下がったり、日当たりが悪かったりすると起こりやすい)

(金属系サイディングの場合)
金属系サイディングの塗膜が剥がれるとサビが生じる

(※)蓄熱水蒸気膨れとは
外壁塗装の際に溜まっていた内側の水分が、太陽光で気化して塗膜を押し上げる現象。塗装直後には分からず、しばらくしてから膨れが発生するケースが多い。

サイディングボードの劣化

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サイディングのシーリングや塗装メンテナンスを怠ると、いよいよサイディングボード本体に不具合が生じてきます。
サイディングボードの劣化には「反りや浮き」「欠け」「腐食」の3つがあり、それぞれの進行具合に応じて、

部分補修→一部張り替え→全部張り替え

の処置がとられます。

以下に「反りや浮き」「欠け」「腐食」の対処方法をまとめました。

反りや浮き
・軽度の反りや浮きであれば、該当部分をクギやビスで補修する
・サイディングボードがうねっているような場合には、下地の状態を確認しつつ、一部張り替えを行う

欠け
・サイディングに小さな欠けやクラック、穴などがあれば、パテで埋めた後に塗装補修する
・欠けが大きい場合には、サイディングの一部張り替えを行う

腐食
・軽度であれば、シーリングの打ち直しと塗装で対処できる
・腐食が下地まで達している場合には、カチオン(下塗り剤)で下地補修をしつつ、サイディングの一部張り替えや全部張り替えを行う
・金属サイディングの場合、サビによる腐食もある

サイディング補修の費用相場

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ここでは、サイディングのメンテナンス費用の相場を見ていきましょう。

まずは、サイディングの部分補修について。
サイディングの小さなひび割れやクギ打ち程度の補修であれば、目安金額は5~30万円ほど。
また、サイディングの一部張り替え(1枚)なら、目安金額は10~20万円ほどでできます。

シーリング工事

サイディングのつなぎ目部分、シーリングにかかる費用の相場目安は30~50万円ほどです。

【内訳】
一般的な戸建住宅に必要なシーリング=200mとした場合
・シーリングの打ち直し 18万~24万円
・古いシーリングの撤去 1万~3万
・足場代 10万~20万円
・諸経費 業者による

ただし、シーリング工事だけで行うのは効率的ではありません。
足場代がかかるため、塗装工事もセットで行うのが一般的です。

塗り替え(塗装)工事

外壁の塗り替え(塗装)工事費用は、60~150万円ほどが相場目安とされています。

塗料には主にウレタン系・シリコン系・フッ素系・無機系の4種類があり、機能や耐用年数、価格帯がそれぞれ異なります。

塗料の種類 耐用年数 ㎡単価
ウレタン系 7~10年 1,800円~
シリコン系 10~13年 2,500円~
フッ素系 13~15年 3,500円~
無機系 15~20年 4,000円~

【内訳】
一般的な戸建住宅の外壁=170㎡とした場合
・洗浄・下地調整 5~6万円
・下塗り 6~10万円
・外壁塗装 30万~100万円
・養生費 5~7万円
・足場代 10万~20万円
・諸経費 業者による

塗装工事費は、業者や住宅の形状などによって異なります。
また、シーリング工事と塗装工事を同時にすると、費用を安くできるケースも多いです。

サイディングの重ね張り工事(カバー工法)

サイディングの重ね張り工事の費用目安は120~250万円ほどです。

重ね張り工事では、今ある外壁材の上にそのまま新しいサイディングをかぶせていくため、重量の軽い金属系サイディングを使用することが多いです。

【内訳】
一般的な戸建住宅の外壁=170㎡とした場合
・サイディング料金 60万~120万円
・施工費 50~100万円
・足場代 10万~20万円
・諸経費 業者による

サイディングの重ね張り(カバー工法)は、張り替えよりもコストや工期を抑えられます。
ただし、雨漏りしている疑いのある住宅では、重ね張り(カバー工法)はできません。

サイディングの張り替え工事

雨漏りなどで外壁の下地まで劣化している場合には、サイディングの張り替えを行います。
張り替え工事の費用相場は、150〜300万円ほどです。

張り替え工事は新しく張るサイディング材の種類や外壁の状態などで、費用が大きく変わってきます。

サイディングの種類 メンテナンス時期 ㎡単価
窯業系サイディング 7~10年 4,000円~
金属系サイディング 10~15年 3,500円~
木質系サイディング 8~10年 5,000~
樹脂系サイディング 10~20年 4,000円~

【内訳】
一般的な戸建住宅の外壁=170㎡とした場合
・サイディング料金 60万~120万円
・古い外壁材の撤去費 10万~30万円
・施工費 50~100万円
・足場代 10万~20万円
・諸経費 業者による

サイディングの張り替え工事では、既存の外壁材を全部はがすため、内部の状態まで確認できます。
雨漏りが起こっている場合には、必要に応じて防水シートや構造用合板の補修、断熱材の交換なども検討しましょう。

サイディングの補修はDIYでできる?

結論から言うと、サイディングの補修はプロの業者に任せるのがおすすめです。
なぜならサイディングの補修には、専門知識と経験が必要であり、高所作業の危険を伴うからです。

たしかに、巷ではDIY用の補修材やパテなどが販売されていて、youtubeに作業動画もありますが、素人が間違った補修をすると、かえって状況を悪化させてしまうことも。
プロの業者に任せれば、劣化の状況を正しく把握して、ベストな材料や方法を選択してくれるので、結果的に家を長持ちさせることができるのです。

サイディング外壁の特徴を知り、正しくメンテナンスしよう

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ここまで、サイディングの施工方法や種類、補修工事について解説してきましたが、ご理解いただけたでしょうか?

これから家を建てる人やリフォームする人、中古住宅を購入する人にとって、家を長く美しく保つことは非常に重要です。
後で困らないためにも、サイディング外壁の特徴やメンテナンスをしっかり把握しておきましょう。

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