
そこで本記事では、イモリとヤモリの違いについて、見分け方や生息地の違いだけでなく、毒の有無や飼育方法、名前の由来といった生態にも触れながら詳しく紹介します。
イモリとヤモリの違いについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
- 見た目でわかる!イモリとヤモリの見分け方
- 生息地でわかる!イモリとヤモリの見分け方
- もっと詳しく!イモリとヤモリの生物学的な違い
- イモリとヤモリの興味深い生態
- イモリとヤモリに関するよくある質問
- 正しい知識でイモリとヤモリを見分けよう
見た目でわかる!イモリとヤモリの見分け方

イモリとヤモリは名前が似ていますが、見た目にははっきりとした違いがいくつかあります。
特に皮膚の質感や色、指先の形に注目すると、違いがわかりやすいでしょう。
イモリとヤモリを見分けるポイントは以下のとおりです。
1.皮膚の質感の違い
2.体の色と模様の違い
3.指先の形の違い
4.目の仕組みの違い
これらのポイントを知っておくと、どちらなのかをすぐに判断できるようになります。
1.皮膚の質感の違い
イモリとヤモリを見分けるうえで、皮膚の質感は非常にわかりやすいポイントです。
見た目や質感、特徴を表にまとめたので参考にしてください。
項目 | イモリ | ヤモリ |
---|---|---|
見た目 | ![]() |
![]() |
質感 | ぬるぬる、しっとり | ザラザラ、カサカサ |
特徴 | 皮膚呼吸するために粘液で覆われている | 外敵や乾燥から身を守るためのウロコがある |
イモリの皮膚は常にしっとりと濡れていて、触るとぬるぬるとしています。
これは、イモリが皮膚呼吸をおこなう両生類であり、皮膚が乾燥すると呼吸ができなくなるためです。
一方、ヤモリの皮膚は細かいウロコに覆われており、触るとザラザラ、あるいはカサカサした質感です。
爬虫類であり肺呼吸をおこなうヤモリは、陸上の乾燥した環境にも適応できる体のつくりになっています。
2.体の色と模様の違い
体の色、特に「お腹の色」は、イモリとヤモリの分かりやすい違いです。
日本でよく見られるアカハライモリは、その名のとおりお腹が鮮やかな赤色で、黒い斑点模様があり、背中側は黒や茶色で地味な色です。
アカハライモリのお腹の色は「警告色」とよばれ、敵に対して「自分には毒がある」と警告する役割があります。

一方、ニホンヤモリの体色は灰色や褐色系の地味な色合いで、壁や木の色に溶け込んで敵から身を隠す「保護色」の役割を果たしています。

3.指先の形の違い
足元、特に指先の形にも、それぞれの生態を反映した大きな違いがあります。
イモリの指先は尖っておらず、爪がありません。
個体や種類によっては、指の間に「水かき」の名残のような小さな膜が見られることもあります。
一方で、ヤモリの指先は幅が広く爪があります。裏側には「趾下薄板(しかはくばん)」とよばれる特殊な器官があるのが特徴です。

また、ヤモリの足の裏には、目に見えないほど細かい毛が密集しています。
この毛が「ファンデルワールス力」とよばれる分子同士で引き合う力を生み出すため、垂直な壁やガラス、さらには天井にも張り付いて移動できるのです。
4.目の仕組みの違い
イモリとヤモリは、目の仕組みにも明確な違いがあります。特に「まぶた」の有無が両者を見分けるポイントです。
イモリには、人間と同じように上下のまぶたがあり、目を閉じたり、まばたきをしたりできます。
一方で、一般的によく見られるニホンヤモリにはまぶたがありません。目は常に開いていて、表面が透明な膜で覆われています。
目の表面が汚れたときは、長くて器用な舌を伸ばしてなめ、きれいに掃除をする姿が見られますよ。
生息地でわかる!イモリとヤモリの見分け方

イモリとヤモリは、見た目だけでなく、生活している場所も大きく異なります。
ここでは、以下の3つのポイントから生息地の違いを解説します。
1.主な活動場所の違い
2.好む環境の違い
3.越冬場所の違い
それぞれの生活圏の違いを知ることで、なぜその場所にいるのかという理由まで理解できるでしょう。
1.主な活動場所の違い
イモリは漢字で「井守」と書かれるように、かつては井戸やその周辺でよく見られました。
現在では、池や田んぼ、流れのゆるやかな小川など、水辺やその近くの湿った場所を主な住みかとしています。
一方で、ヤモリは漢字で「家守」と書かれ、その名のとおり人家やその周辺に住みつきます。家の壁や窓、雨戸、物置、石垣などで見かけることが多いでしょう。
夜行性のため、夜になると窓ガラスに集まる虫などを捕食しに出てきます。
2.好む環境の違い
生息環境の好みにも違いがあります。それぞれの違いを、以下の表にまとめました。
項目 | イモリ | ヤモリ |
---|---|---|
主な活動場所 | 水辺(池、田んぼ、小川) | 人家周辺(壁、窓、物置) |
好む環境 | 湿った場所、水中 | 乾燥した場所、陸上 |
イモリは皮膚の乾燥を防ぐ必要がある両生類のため、水が不可欠です。水質が良く、自然豊かな環境を好む傾向があり、都市部よりも里山や自然が残る地域で出会うことが多いでしょう。
一方、ヤモリは乾燥に強い爬虫類なので、陸上のさまざまな環境に適応できます。人家は照明に集まる虫が餌となるため、ヤモリにとっては絶好の住みかです。
3.越冬場所の違い
イモリとヤモリは、どちらも自分で体温調節ができない変温動物です。
イモリは外気温が10℃を下回るようになると活動が鈍り、水底の泥の中や陸地の石・落ち葉の下などで冬眠に入ります。
一方、ヤモリは日中の気温が5℃を下回るとほとんど動かなくなります。
ただし、イモリのように土の中で本格的に冬眠することはなく、人家の壁の隙間や天井裏など、温度変化が少なく雨風をしのげる場所で春を待つのです。
もっと詳しく!イモリとヤモリの生物学的な違い

イモリはカエルと同じ「両生類」であり、ヤモリはトカゲと同じ「爬虫類」です。このように生物学的な分類が異なるため、見た目や生息地にも差が生まれます。
ここではさらに踏み込んで、以下の違いを解説します。
1.生物学上の分類の違い
2.呼吸の仕方の違い
3.繁殖方法の違い
4.体温調節方法の違い
5.尻尾を使った防御方法の違い
6.鳴き声の違い
7.食べるものと寿命の違い
主な違いを表にまとめたので、各項目を読む際に参考にしてください。
項目 | イモリ(両生類) | ヤモリ(爬虫類) |
---|---|---|
呼吸 | 幼生:えら呼吸 成体:肺呼吸・皮膚呼吸 |
生涯を通じて肺呼吸のみ |
卵 | 水中に産む 柔らかい |
陸上に産む 硬い殻 |
成長 | 変態する | 変態しない |
尻尾 | 自切はしない 再生する |
身を守るために自切する 再生する |
鳴き声 | 鳴かない | 小さな鳴き声 |
食べるもの | 小魚やミミズ、昆虫、オタマジャクシなど | 昆虫類 |
寿命 | 飼育下では20年以上生きることも | 5年から10年ほど |
1.生物学上の分類の違い
最も根本的な違いは、生物学上の分類です。イモリは「両生類」で、幼生期を水中で過ごします。
足が生えそろい、皮膚呼吸と肺呼吸ができるようになる幼体期には陸上で生活しますが、成体になると再び水辺に戻り、繁殖も水中でおこないます。
一方、ヤモリは「爬虫類」で、硬いウロコや肺呼吸など、陸上での生活に適応した体のつくりが特徴です。
2.呼吸の仕方の違い
生物学上の分類が違うため、呼吸の仕組みもまったく異なります。
イモリの幼生は、魚のように「えら」を使って水中で呼吸し、成体になると肺呼吸と皮膚呼吸を両方おこなうようになります。
皮膚が常に湿っているのは、この皮膚呼吸を助けるためです。
一方、ヤモリは生まれてから死ぬまで一貫して肺呼吸のみ。人間と同じように肺だけで呼吸しているため、皮膚を湿らせておく必要がありません。
参考:国立研究開発法人科学技術振興機構|似姿違質「アカハライモリ VS ニホンヤモリ」
3.繁殖方法の違い
イモリとヤモリでは、卵の産み方や幼生の成長過程も大きく異なります。
▶卵の産み場所と形
イモリの卵は乾燥に弱いため、水中の水草などにゼラチン状の膜で覆われた柔らかい卵を1つずつ産み付けます。

ヤモリは、壁の隙間や木の皮の下などに、硬い殻で覆われた卵を数個まとめて産み付けるのが特徴です。

卵は乾燥に強く、陸上で孵化(ふか)します。
参考:国土交通省 九州地方整備局|河川・水辺の生物図鑑 は虫類 ヤモリ
▶幼生の成長
イモリの幼生は、オタマジャクシのように親とはまったく違う姿で生まれ、水中で生活します。
えらが外に飛び出しているのが特徴で、成長するにつれて手足が生え、えらがなくなり、親と同じ姿に変態します。

一方、ヤモリの幼生は、卵からかえったときから親とほとんど同じ姿です。小さいサイズのヤモリが生まれ、そのまま成長して大きくなります。
4.体温調節方法の違い
イモリもヤモリも、周りの温度によって体温が変わる「変温動物」ですが、体温の調節方法に違いが見られます。
ヤモリは、日光浴をしたり日陰に移動したりして、能動的に体温を調節します。
一方で、イモリは水の中で生活することが多く、日光浴の習性は見られません。
5.尻尾を使った防御方法の違い
ヤモリは敵に尻尾をつかまれたり命の危険を感じたりすると、尻尾を自ら切り離す「自切(じせつ)」をします。
切り離された尻尾はしばらく動き回るため、敵の注意をそちらに引きつけている間に逃げることが可能です。
イモリも尻尾を失った場合に再生する能力はありますが、ヤモリのように積極的に切り離すことはありません。
6.鳴き声の違い
ヤモリは「ケッケッ」や「チッチッ」と聞こえるような、小さな鳴き声を出します。 この鳴き声はコミュニケーションとして使われ、縄張りの主張や威嚇、求愛の場面で発せられます。
一方、イモリはごく一部の種類を除き、鳴き声を発することはありません。
7.食べるものと寿命の違い
イモリは野生では小魚やミミズ、昆虫、オタマジャクシなどを食べています。ヤモリは主に昆虫類を捕食します。
寿命はイモリのほうが圧倒的に長く、飼育下では20年以上生きる例もあるほど。一方、ヤモリの寿命は5年から10年ほどといわれています
イモリとヤモリの興味深い生態

イモリとヤモリは、それぞれが厳しい自然環境を生き抜くために、驚くべき能力や特徴をもっています。
・イモリの能力|毒と再生能力を持っている
・ヤモリの能力|家中を歩き回り害虫を捕食する
・飼育するならどっち?|費用と手間を比較
知れば知るほど興味深い、イモリとヤモリの生態を紹介します。
イモリの能力|毒と再生能力を持っている
アカハライモリは、フグと同じ種類の強力な神経毒である「テトロドトキシン」をもっています。
これは外敵から身を守るための武器であり、派手な赤いお腹はこの毒の存在を警告するサインです。
素手で触る程度なら問題ありませんが、触った手で目や口をこすると危険なため、触れた後は必ず手を洗いましょう。
また、イモリは非常に高い再生能力をもっています。
手足や尻尾はもちろん、心臓や脳の一部までも再生できることがわかっており、この能力は再生医療の分野でも研究されています。
ヤモリの能力|家中を歩き回り害虫を捕食する
ヤモリの最大の特徴は、壁や天井を自由に歩き回れる能力です。
これは指の裏にある微細な毛による能力で、粘着物を出している訳ではなく分子の力で張り付いています。
一方、ヤモリは夜行性で、家に侵入してくる蛾やクモ、ゴキブリの幼虫などの害虫を食べてくれます。
もし家でヤモリを見かけたら、そっと見守ってあげるのがよいでしょう。
飼育するならどっち?|費用と手間を比較
イモリとヤモリを飼育する場合、必要な設備や餌が異なるため、費用と手間にも違いが出ます。
一般的には、温度管理や生き餌の準備が必要なヤモリのほうが費用と手間がかかる傾向にあります。
それぞれの違いを以下の表にまとめました。
項目 | イモリ | ヤモリ |
---|---|---|
初期費用 | 比較的安価(水槽、砂利など) | やや高価(飼育ケース、パネルヒーター、シェルターなど) |
維持費用 | 餌代(冷凍アカムシなど) 水道代 |
餌代(生きた昆虫) 電気代(ヒーター) |
主な手間 | 定期的な掃除と水換え(週1回~2週間に1回程度) | 温度管理、生き餌の確保と管理、糞の掃除 |
イモリの飼育で最も重要なのは水質の管理です。定期的な水換えを怠らなければ、比較的飼育しやすいでしょう。
ヤモリを飼育するには、温度管理のほか生き餌を常に用意する必要があるため、飼育するには少しハードルが高いかもしれません。
ヤモリを飼いたい、という方は「ヤモリの飼い方と種類まとめ!縁起が良い理由、イモリとの違い、寿命を解説」記事で詳しい飼い方やかわいい写真を紹介しているので、ぜひ併せてお読みください。
イモリとヤモリに関するよくある質問

最後に、イモリとヤモリに関するよくある3つの質問にお答えします。
ヤモリは害虫を食べてくれる益獣ですか?
ヤモリはハエや蛾、クモ、ゴキブリの幼虫など、人にとって不快な虫を食べてくれる益獣です。
そのため、古くから「家守」として、家を守る縁起の良い生き物とされてきました。
壁に張り付いているのはイモリとヤモリのどちらですか?
もし家の壁に張り付いていたら、それは間違いなくヤモリです。ヤモリは指の裏にある特殊な器官を使って、垂直な壁や天井にも張り付きます。
イモリにはこの能力はなく、壁は登れません。
イモリやヤモリは家で飼えますか?
どちらも適切な環境を整えれば飼育できます。
イモリの飼育では、濾過フィルターの使用や定期的な水換えが重要です。一方、ヤモリは脱走しないように蓋のある飼育ケースを用意し、隠れ家や登り木を設置します。
飼育を始める前に、ペットショップで生態や必要な用品について相談してみましょう。
正しい知識でイモリとヤモリを見分けよう

本記事ではイモリとヤモリの違いについて、見た目から生態、名前の由来まで詳しく解説しました。
それぞれの生態を知ることは、住まいの周囲の環境や、より快適な暮らしについて考えるきっかけにもなります。
身近な生き物たちの存在にも目を向けつつ、安心して快適に過ごせる住まいを探してみてはいかがでしょうか。
さらに、イモリとヤモリはどちらもペットとして飼えるので、興味のある方は本記事を参考にして飼育に挑戦してみてください。
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