
そこで本記事では、オール電化住宅で使われる場合が多い「電気温水器」について詳しく解説します。
また、エコキュートとの違いやメリット・デメリット、おすすめのメーカーや注意点なども取り上げます。
電気温水器に興味をお持ちの方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
- 電気温水器とは?
- 電気温水器とエコキュートとの違い
- 電気温水器の種類
- 電気温水器の工事費込みの価格目安
- 電気温水器の寿命
- 電気温水器を導入するならおすすめのメーカー
- 電気温水器を導入するメリット
- 電気温水器を導入するデメリット
- 電気温水器の物件に入居するなら把握しておきたい注意点
- 電気温水器に関するよくある質問
- 特徴を比較して自分に合った給湯器を導入しよう!
電気温水器とは?
電気温水器とは、金属に電気を流して電熱ヒーターを発熱させ、水を温める給湯器のことです。家庭で使用する電気ポットを想像すると、仕組みがわかりやすいでしょう。
作られたお湯は、大容量の貯湯タンク内に高温のまま保存されるのが特徴です。お湯が必要になったタイミングで、タンクから配管を通じてキッチンや洗面台、お風呂などに直接給湯されます。
お湯はいつでも作れますが、夜の間に大量のお湯を作って貯蔵しておくのが一般的。夜間の方が電気料金が割安なので、コスト削減につながるからです。
ちなみに、電気温水器の他には、以下のような給湯器がよく使用されています。
・エコキュート…電気だけではなく空気中の熱も利用して水を温める
・ガス給湯器…ガスを使って水を温める
・エネファーム…ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて水を温める
それぞれに違った特徴や魅力があるので、電気温水器とともに検討してみてください。
電気温水器とエコキュートとの違い

「電気温水器とエコキュートの違いって何?」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
実は、電気温水器もエコキュートも、電気を利用してお湯を作るという部分は同じです。したがって、いずれも「電気給湯機器」に分類されます。
しかし、お湯ができるまでの流れは全く違うので、初期費用や電気代も異なります。
以下で詳しく解説していくので、電気温水器を選ぶかエコキュートを選ぶかで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
【電気温水器とエコキュートとの違い】仕組み
電気温水器とエコキュートでは、熱を作り出す方法が違います。
先述したように電気温水器は、金属に電気を流して電熱ヒーターを発熱させることで、タンク内の水を温めます。
一方でエコキュートは、熱をゼロから作り出すのではありません。空気中にある熱を利用する「ヒートポンプ」という仕組みを採用しています。
空気中から取り出した熱を、それより温度が低い冷媒(エコキュートの場合はCO2)に移し、冷媒を圧縮。
そして、圧縮したときに生まれる大きな熱で水を温めていくのが「ヒートポンプ」という手法です。
つまりエコキュートは、電気だけではなく自然の熱も利用してお湯を作り出しています。
【電気温水器とエコキュートとの違い】本体価格・電気代
メーカーや商品にもよりますが、給湯器の本体価格は、エコキュートよりも電気温水器の方が安い傾向にあります。
一方で毎月の電気代は、電気温水器よりもエコキュートの方が安いです。
エコキュートは、電気だけではなく空気中の熱も利用してお湯を作り出しています。したがって、その分消費電力を節約できるということです。
初期費用を安く済ませたいのか、それとも毎月の電気代を安く済ませたいのかによって、どちらを選ぶべきかも変わってくるでしょう。
【電気温水器とエコキュートとの違い】補助金
エコキュートを導入する場合は、国から補助金を貰える可能性があります。
2025年度の場合は、エコキュートを導入すると、1台あたり6万円の補助金が給付されますよ。
ただ、補助金の対象となるのは「エネルギー消費効率目標基準値」をクリアしている製品のみです。
気になる製品がある方は、補助金が適用されるかどうか、メーカーや販売店のスタッフに問い合わせてみましょう。
一方で電気温水器は、補助金の対象外となっているケースが多いです。
電気温水器の種類

電気温水器は主に、「貯湯式」と「瞬間式」の2つの種類にわかれます。
一般家庭で使われる場合が多いのは「貯湯式」です。
したがって、1章でも「貯湯式」の電気温水器の特徴を解説しました。
「瞬間式」の電気温水器は、スーパーや飲食店など、大規模な電気設備がある場所で使われやすい傾向にあります。
以下で特徴を解説するので、導入する可能性がある方はチェックしておきましょう。
貯湯式
「貯湯式」の電気温水器には、1章でも解説したように、貯湯タンクがついています。
タンクに水を貯めてから、電熱ヒーターを使って水を温めていく仕組みです。
一度沸かしたお湯も貯湯タンク内に貯めておけるので、停電や災害時にもお湯を使えるのがメリット。
また、「瞬間式」とは違って徐々に熱を加えていくので、ランニングコストも低いです。
ただ、貯湯タンクがある分、「瞬間式」に比べると広いスペースが必要になります。
瞬間式
「瞬間式」の電気温水器には、貯湯タンクがありません。
タンクに水やお湯を貯めておくのではなく、給湯栓が開くと同時に、瞬時に加熱しながら給湯する構造になっています。
徐々に温めていくのではなく、すぐに温度を上げる必要があるので、沢山の電力を消費するのが特徴。
そのため、大きな電気設備を用意できない家庭では導入が難しいかもしれません。
ただ、貯湯タンクがない分サイズがコンパクトなので、広い設置スペースがなくても導入できます。
電気温水器の工事費込みの価格目安

「電気温水器を取り付けるとなると、総額でどれくらいのお金がかかるの?」と疑問に思っている方は多いでしょう。
まずは、電気温水器の本体価格の目安を以下の表にまとめます。
タンクの容量 | タイプ | 本体価格(税別) |
---|---|---|
550L(4人~6人家族) | フルオート | 80万円前後 |
給湯専用 | 60万~70万円 | |
460L(3人~5人家族) | フルオート | 70万円前後 |
給湯専用 | 50万~60万円 | |
370L(2人~4人家族) | フルオート | 60万円前後 |
給湯専用 | 40万~50万円 | |
(1人~2人家族) | フルオート | 50万円前後 |
給湯専用 | 30万~40万円 |
メーカーや商品によって値段は変動しますが、表に記載されている数値くらいの費用はかかると見積もっておきましょう。
そして、本体価格とは別に工事費用がかかります。電気温水器の取り付け工事費用は7万円~10万円程度です。
ただ、メーカーによっては「取り付け工事込みのお得なパック」を提供している場合があります。
パックを利用すれば初期費用がかなり安くなるので、気になるメーカーがあれば、公式サイトなどをチェックしてみてください。
電気温水器の寿命

電気温水器の寿命は商品や使い方にもよりますが、10年〜15年程度です。
10年を超えると、お湯の温度にばらつきが出たり、お湯が出にくくなったりなど、不具合が起こりやすくなります。
お湯は、洗い物やお風呂などに毎日使用する、なくてはならないものです。
給湯器が故障するまで使い続けるのではなく、早めに買い換えるのがおすすめですよ。
なお、パッキンや減圧弁などの部品は、10年よりも早く寿命を迎えます。
3年に1度は定期点検を行い、不具合がある部分は新しいものに交換してもらうようにしてください。
電気温水器を導入するならおすすめのメーカー

電気温水器を導入するならおすすめのメーカーを、5つ紹介します。
1.パナソニック
2.三菱電機
3.コロナ
4.長府製作所
5.タカラスタンダード
特徴や魅力を以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
電気温水器のおすすめメーカー1.パナソニック
省エネに特化した電気温水器を販売しているのが「パナソニック」です。
たとえば、毎日のお湯の使用量を自動で学習し、過不足のない量のお湯を沸かすシステムが搭載されている商品もあります。
無駄なコストを削減できるだけではなく、お湯切れの心配も少ないので、初めて電気温水器を導入する方にもおすすめできるでしょう。
電気温水器のおすすめメーカー2.三菱電機
耐震性が高い電気温水器を販売しているのが三菱電機の特徴です。耐震クラスS、またはAの設計が行われているので、強い揺れが起きても水漏れの心配が少ないでしょう。
また災害時には、貯湯タンク内の水を生活用水として使える仕組みになっています。
タンク容量のラインナップも150L~550Lまでと豊富なので、一人暮らしや二世帯住宅の方にもおすすめです。
電気温水器のおすすめメーカー3.コロナ
特殊成型断熱材を使用しており、保温性が高いのがコロナの電気温水器の特徴です。また、貯湯タンクやヒーターの素材にもこだわっているので、耐久性にも優れています。
同時に違う温度のお湯を出す機能や、スピード追い炊き機能なども備わっており、利用者のニーズを満たしているのも魅力的です。
電気温水器のおすすめメーカー4.長府製作所
長府製作所の電気温水器は、本体内部に使用しているパイプが全てステンレスパイプなので、腐食に強いです。
また、震度7の地震にも耐えられる耐震クラスS設計を採用しており、災害に強い電気温水器だといえるでしょう。
フルオートタイプの商品には「自動配管クリーン機能」が付いているので、配管内を清潔な環境に保てるのもメリットです。
電気温水器のおすすめメーカー5.タカラスタンダード
タカラスタンダードは、タンク容量15Lの小型電気温水器を販売しています。
洗面化粧台の足元にもぴったりと収まるサイズなので、設置スペースの心配がありません。
水道管を直結して設置できるので、2階や離れでも短時間ですぐにお湯が使えますよ。
小型電気温水器を探している方は、ぜひ検討してみてください。
電気温水器を導入するメリット

電気温水器を導入するメリットを4つ紹介します。
1.保証期間が長い傾向にある
2.火災のリスクが低い
3.災害などの非常時でもお湯や水を使える
4.動作音が小さい
電気温水器よりもエコキュートを選択する家庭が増えていますが、電気温水器にしかない魅力も存在します。
マイホームの給湯器に何を選ぶか迷っている方は、しっかりと確認しておきましょう。以下で詳しく解説していきます。
電気温水器のメリット1.保証期間が長い傾向にある
電気温水器の保証期間は、他の給湯器に比べると長い傾向にあります。
メーカーや商品にもよりますが、無料保証期間は2年が一般的。加えて、有料で10年程度延長保証を受けられるケースが多くなっています。
電気温水器の寿命が10年〜15年程度なので、寿命を迎えるくらいまでは故障しても修理してもらえるということです。
電気温水器に交換するのに初期費用がかかったとしても、長い目で見ればコストパフォーマンスが良い給湯器だといえるでしょう。
電気温水器のメリット2.火災のリスクが低い
電気温水器やエコキュートなどの電気給湯機器は火を使用しないので、火災のリスクが低いです。
ガス給湯器の場合は、お湯を沸かす際に火を使用します。利用者がいくら気を付けていたとしても、火災は少しの不注意で起こってしまうものです。
特に地震や台風などの災害時には、火災のリスクが高くなってしまうでしょう。
一方で電気温水器は、そもそも火を使用しないので、火災の心配がほとんどありません。
万が一の事態に備えたいと考えている方には、ガス給湯器よりも電気温水器やエコキュートがおすすめです。
電気温水器のメリット3.災害などの非常時でもお湯や水を使える
貯湯式の電気温水器であれば、災害などの非常時でもお湯を使えます。まとめて作ったお湯をタンクに貯めておく仕組みだからです。
お湯の量に限りはありますが、しばらくの間なら停電・断水していてもお湯を使えますよ。
また、非常用取水栓からタンク内の水やお湯を取り出し、生活用水として活用することも可能です。
上記のような災害時対策の観点から、電気温水器を選択する家庭は増えています。
電気温水器のメリット4.動作音が小さい
電気温水器はガス給湯器に比べると、動作音が小さいです。
特に小さなお子さまがいる家庭では、昼寝中や夜間の物音が気になりますよね。
電気温水器ならほとんど気にならない程度の動作音なので、ストレスに感じることも少ないでしょう。
電気温水器を導入するデメリット

電気温水器を導入するデメリットを4つ紹介します。
1.初期費用が高い
2.水圧が低い傾向にある
3.広い設置スペースが必要である
4.湯切れを起こす可能性がある
電気温水器にはメリットやだけではなく、デメリットも存在します。
「他の給湯器を選べば良かった」と後悔しないために、デメリットもしっかりと把握しておきましょう。以下で詳しく解説していきます。
電気温水器のデメリット1.初期費用が高い
メーカーやサイズにもよりますが、電気温水器はガス給湯器に比べると、本体価格や設置費用などの初期費用が高くなる傾向にあります。
ただ、導入後のランニングコストはガス給湯器よりも安くなる可能性があるので、長い目で見れば節約につながるかもしれません。
コスト面が気になる方は、メーカーの公式サイトなどでシミュレーションを行ってみるのも一つの方法です。
電気温水器のデメリット2.水圧が低い傾向にある
貯湯式の電気温水器は、ガス給湯器に比べると水圧が低くなります。
ガス給湯器なら、水道管から給湯器に直接給水されるので、水道圧に近い圧力でお湯を使えるのが特徴です。
しかし、貯湯式の電気温水器は貯めていたお湯を使うので、勢いが弱まってしまいます。
ただ、高圧型の電気温水器も販売されているので「全ての電気温水器の水圧が低い」というわけではありません。
購入する前に、カタログや口コミなどをよく確認しておきましょう。
電気温水器のデメリット3.広い設置スペースが必要である
電気温水器には貯湯タンクが付いているので、広めの設置スペースが必要です。
どの程度のスペースが必要になるかは、貯湯タンクの容量によって異なります。タンクの容量が370Lの場合だと、「高さ180㎝・幅65㎝・奥行70㎝」程度です。
冷蔵庫くらいの大きさを想像するとわかりやすいでしょう。
住宅の形によっては、設置スペースを確保できないかもしれません。不安な方は、事前にメーカーに相談しましょう。
新築注文住宅に電気温水器を導入する場合は、間取り決めの段階から、設置スペースを打ち合わせておくのがおすすめです。
電気温水器のデメリット4.湯切れを起こす可能性がある
電気温水器を使用していると、湯切れを起こす可能性があります。
湯切れとは、夜間に貯めておいたお湯を日中に使い切ってしまって、お湯が出なくなってしまう状況のことです。
湯切れを起こしてしまうと、再び使えるようになるまで時間がかかります。
ただ最近では、フルオートやエコオート機能付きの電気温水器が増えたので、湯切れの心配は解消されつつあります。
電気温水器の物件に入居するなら把握しておきたい注意点

電気温水器を導入している賃貸物件に入居するなら、電気温水器の電源は入居前日に入れておかなければなりません。
深夜の時間帯にお湯を沸かす設定になっている場合が多いので、入居当日に電源を入れても、すぐにはお湯が出ないからです。
入居してすぐにお湯が使えるようにするために、不動産会社のスタッフとスケジュールを相談しておくようにしましょう。
電気温水器に関するよくある質問

最後に、電気温水器に関するよくある質問4つに回答します。
1.小型や大型など、電気温水器のサイズ選びのポイントは?
電気温水器のサイズの選び方は、以下を参考にしてください。
貯湯タンクの容量が
300L以下…1人~2人家族
370L…2人~4人家族
460L…3人~5人家族
550L…4人~6人家族
こちらは目安となります。
詳しい情報を知りたい方は、メーカーに問い合わせてみましょう。
2.電気温水器の業務用と家庭用の違いは?
業務用の電気温水器には、家庭用の電気温水器とは異なり、以下のような特徴があります。
・給湯量が多い
・給湯温度を高くできる
・耐久性が高い
・貯湯量が多い
飲食店などで電気温水器の導入を検討している場合は、業務用のものがおすすめです。
3.エコキュートの方が環境にやさしいって本当?
エコキュートや電気温水器は、ガス給湯器に比べると環境にやさしいといわれています。
ガス給湯器とは違って、燃焼による二酸化炭素の排出がないからです。
大気汚染や地球温暖化が問題視されているので、エコキュートや電気温水器は今後ますます広まっていくでしょう。
4.電気温水器を導入した場合の電気代の目安は?
電気温水器にかかる電気代の目安は、月々3,000円〜5,000円程度です。
ただし、上記は一人暮らしの場合の目安なので、家族が増えれば電気代も上がります。
また、使用する機種や地域、時間帯によって電気代は変動します。
電気代を抑えたい場合は、深夜の時間帯に電気代が安くなるプランを選択し、深夜にお湯を作っておく方法がおすすめです。
特徴を比較して自分に合った給湯器を導入しよう!

さまざまな種類の給湯器が販売されていますが、それぞれにメリット・デメリットが存在します。
しっかりと特徴を比較して、自分に合った給湯器を選ぶことが大切です。
保証期間が比較的長く、災害時でもお湯や水を使えるというメリットがある「電気温水器」。商品の改良が進み、今では湯切れの心配もほとんどなくなりました。
電気温水器に興味を持っている方は、本記事の内容を参考にしつつ、自分に合ったメーカーや機種を見つけてみてください。
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