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都内はそれぞれの地域に特徴がある

東京都を大きく分けると、東京23区と多摩地域があります(島しょ部もありますが、ここでは23区と多摩地域にフォーカスします)。都市機能が集中するのは東京23区で、なかでも千代田区、中央区、港区を中心とした地域は都心と呼ばれ、非常に便利な地域です。

東京23区をさらに細かくみていくと、松濤・田園調布・白金台のような高級住宅街、浅草・神田などの古くから続く下町、谷根千と呼ばれる昔ながらの情緒を残す谷中・根津・千駄木周辺、東京五輪開催を前に注目が集まる勝どき・月島・晴海などの湾岸エリアなど特色のある地域が多数あり、それぞれの地域で住宅価格の相場も異なるのです。

都内でマンションを買うときに知っておきたい事前知識

マンションを購入するならぜひ知っておきたいのが、「マンションを売ることになったらいくらぐらいで売れる見込みがあるのか」ということです。住宅購入は資産を得るという一面ももちます。

将来住み替えを考える場合、それまで住んでいたマンションを売ることもあり得るでしょう。つまり、マンションを資産と考えた場合、そのマンションが将来高く売れるかどうかというのはとても重要なポイントになるのです。

マンションの購入価格と同様に、売却価格もさまざまな要素によって決まりますが、立地は重要なポイントです。特に東京都内で売却を考えるにあたって、マンションがどのエリアにあるかということは大きな意味をもちます。

ここで役に立つのが、「分譲マンションを売却するとき、売却価格が新築分譲時の何倍になっているか」を示す「マンションPBR」です。東京カンテイ発表の、駅ごとに周辺マンションの資産価値を算出したランキング「マンションPBRランキング2016」によると、首都圏の第1位は六本木一丁目駅(東京メトロ南北線)で、マンションPBRは1.56でした。

同社の分析では、東京都内で上位に挙がっているのはJR山手線の内側・沿線エリア(特にJR中央線以南)と東京湾岸エリアで、これらのエリアの住宅は居住上での住みやすさに加えて資産性も兼ね備えているとされています。

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反対に、東京でランキング下位に入ったのは福生駅(JR青梅線)や上北沢(京王線)で、マンションPBRが0.65でした。これを分析すると、多摩地域などの郊外のエリアはどうしてもマンションPBRが下がりやすくなる傾向にあるということがわかります。

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さらにつけくわえると、都市部へのアクセスが容易な駅周辺の物件は新築分譲時に価格が高くなる傾向にあるため、売却価格がそれほど低くなくてもマンションPBRとしては下がってしまいます。上北沢のような比較的都心部に近いエリアが下位に入るというのは後者に該当するためです。

自分のニーズによって、マンションを購入する地域は変わる

そのように、マンションの購入にあたっては資産価値も考えておきたいものですが、そのことに必要以上にとらわれる必要はありません。住宅はあくまで住宅だということを忘れないでください。快適な住まいを手に入れて、これから長きにわたって家族の暮らしを支えることが何よりも重要です。

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そのために、マンションの購入エリア検討で最も重視するべきなのは、自身とご家族のニーズです。家族の就業状況、子育てのしやすさ、買い物などの利便性……そうしたことをふまえて、最適な地域を選ぶといいでしょう。

おわりに

地域や立地によって変わるのは、購入価格だけではなく売却価格も同様です。生活の利便性も大きく異なります。住宅の購入に際してはいろいろな点で迷いが生じがちですが、「この違いによってどういったことが起こり得るか」を知っておけば判断がよりしやすくなるでしょう。

専門家からのアドバイス

マンションPBRは傾向を見る程度の利用で十分でしょう。成約事例の商品内容、住環境、駅からの距離、新築分譲の時期、売却の時期などでデータが左右されるからです。上北沢はまさにそれが理由でPBRが低かったと思われます。
ただ、都心部ほど高くて買いづらいけど資産価値は落ちにくい、郊外ほど買いやすいけど資産価値は落ちやすいという傾向は現場感覚と合致しており、かつその傾向は長く続いていますので、もし買い易さよりも資産価値を重視し、自由にエリアを選べるなら上位にランキングする最寄駅を中心に探してみたら宜しいでしょう。

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監修:

畑中 学(はたなか おさむ)

Profile
不動産コンサルタント・武蔵野不動産相談室株式会社 代表 1974年東京都生まれ。設計事務所にて一戸建てや公団分譲地を手掛けた後、不動産会社へ移り最年少で店長になる等、7年間にわたり不動産の販売・企画・仲介を責任者として携わる。2008年に創業。家に関する相談を約800組受け、お金の面から多くの方に満足のいく家づくりと家の買い方をサポートしている。 「不動産の基本を学ぶ(かんき出版)」「不動産の落とし穴にハマるな(同)」「マンション・戸建 中古の選び方(日経ビジネス)」「お金持ち入門(実業之日本社 不動産編)」など著書は多数。