
初めての戸建て売却でも流れやポイントを押さえれば、問題なく売却を進められます。この記事では、戸建て売却の流れや売却後に必要なこと・売却のコツについて分かりやすく解説します。
戸建ての売却の流れ

まずは、戸建て売却の全体の流れを確認していきましょう。
- 1.売却の準備
- 2.不動産会社への査定の依頼
- 3.不動産会社との媒介契約
- 4.売り出し価格の決定
- 5.売却活動
- 6.売買契約締結
- 7.決済・引き渡し
戸建て売却は、基本的に不動産会社と媒介契約を結んで売却を進めていきます。
売却がスムーズに進んだ場合の必要な期間は、以下の通りです。
- ・売却の準備を始めてから媒介契約まで1ヵ月ほど
- ・媒介契約から売買契約まで1~3ヵ月ほど
- ・売買契約から引き渡しまで1ヵ月ほど
このように、準備から引き渡しまで3ヵ月から半年ほど掛かるのが一般的でしょう。ただし、買い手がすぐに見つかればそれよりも短期で売却できる反面、条件が悪く買い手が見つからない場合は1年以上かかるケースもあります。
特に戸建ては、マンションと比較すると売りにくい不動産でもあるため、半年ほどは期間を見ておくとよいでしょう。そのうえで、いつまでに売却したいか、逆算して売却を進めていくことが大切です。
それでは、売却の流れを以下で詳しくみていきましょう。
➀売却の準備
売却を進める際はまず、不動産会社に査定に出すことから始まります。しかし、何の準備もないまま査定に臨んでも、必要な書類が足りないなど時間がかかってしまうものです。また、予備知識がなければ不動産会社の言うとおりの売却となり、損してしまいかねません。
売却を進める前には、売却の準備を整えるようにしましょう。売却準備としては、次のようなことが挙げられます。
- ・物件の名義人の確認
- ・住宅ローン残債の確認
- ・隣地と境界線の確認
- ・必要書類の準備
- ・売却にかかる費用の確認
- ・売却相場の確認
物件の名義人の確認
不動産を売却できるのは、不動産の名義人のみです。例えその家に住んでいる人であっても、名義人でなければ売却ができません。
特に、相続した家の場合、名義が変更されていないケースも多いので注意しましょう。物件の名義は、法務局で登記簿謄本を取得することでわかります。
住宅ローン残債の確認
住宅ローンが残っている物件の場合、抵当権が残っているためそのままでは売却できません。売却するためには抵当権の抹消が必要となり、抹消には住宅ローンを完済しなければならないのです。
住宅ローンが残っている場合は、売却額で一括返済するのが一般的でしょう。そのため、どれくらい住宅ローンが残っているかを正確に把握し、売却価格で完済できるかを判断する必要があります。
住宅ローンの残債は、ローン返済予定表やローン残高証明書・金融機関の窓口などで確認できます。確認した結果、売却してローンを完済できそうなら売却に進んでも問題ないでしょう。
売却しても完済が難しい場合は、自己資金で補填するか住み替えローンを利用するなどの工夫が必要になります。
隣地との境界線の確認
古くからある一戸建てのような場合、隣地との境界線があいまいな場合があります。境界線があいまいなまま売却に進んでしまうと、売却後に買主が隣地の住人とトラブルに発展する可能性があり、買い手から避けられやすくなるのです。
境界線が明確でない場合は、境界線を確定すると売りやすくなります。
必要書類の用意
戸建ての売却にはさまざまな書類が必要です。基本的には適宜不動産会社から指示されますが、入手には時間がかかる書類もあるので、できるだけ早めに用意しておくとスムーズに売却ができます。
必要書類は、主に次の通りです。
書類 | 内容 | 入手方法 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
身分証明書 | 売主の身分を証明するもの | ― | |||||||||||||||
実印 | 印鑑登録した印鑑 | ― | |||||||||||||||
印鑑登録証明書 | 印鑑登録を証明する書類 | 自治体の窓口やマイナンバーカードがある場合はコンビニでも入手可能 | |||||||||||||||
登記済証または登記識別情報 | 登記内容を記載した書類 | 登記時に受け取っている | |||||||||||||||
測量図や境界線確認書 | 面積や境界線を記した書類 | 保管しているか新たに作成する | |||||||||||||||
建築確認済証 | 建築時の検査確認書 | 保管している | |||||||||||||||
間取り図 | 家の間取り図 | 保管している | |||||||||||||||
固定資産税納税通知書 | 固定資産税評価額や納税額が記載されている | 毎年4~6月頃に送付される |
売却にかかる費用の確認
戸建の売却では売却代金を得られるだけではなく、仲介手数料や税金などの支出が必要な点には注意しましょう。高額な取引になる不動産取引は、売主側の支出も大きくなる場合があるので、どれくらいの費用がかかるのかを把握しておく必要があります。
売却にかかる費用や税金は、主に次の通りです。
費用項目 | 内容 | 金額の目安 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社に支払う手数料 | ― | |||||||||||||||
印紙税 | 売買契約書にかかる税金 | 1万円~10万円(売却価格により異なる) | |||||||||||||||
登録免許税 | 抵当権抹消にかかる税金 | 不動産個数×1,000円(土地と建物で2,000円) | |||||||||||||||
譲渡所得税 | 売却利益に対して課せられる税金 | 売却利益×税率(20%~40%) | |||||||||||||||
ローン完済手数料 | ローンの完済に必要な手数料 | 1~5万円 | |||||||||||||||
司法書士費用 | 抵当権抹消登記を依頼する場合に必要 | 1~3万円 | |||||||||||||||
間取り図 | 家の間取り図 | 保管している | |||||||||||||||
その他費用 | 売却の際に必要なその他の費用 | ハウスクリーニング代
解体費用 引越し費用など |
売却相場の確認
売却にあたり、どれくらいで売却できるかの相場を把握しておくことが大切です。相場からかけ離れて高値を付けてしまうと買い手が付きにくくなります。反対に安値すぎると、すぐに売れるものの売主に損失が出る場合もあるでしょう。
相場を把握していないと、不動産会社の提示する査定額が妥当なのかも判断が付かないものです。
売却相場は、新築時の金額と築年数からおおよその売却額を計算することも可能です。建物の売却相場は築年数が経過するごとの資産価値の低下に伴い、減少していきます。
以下では、首都圏での売却額を基にした築年数ごとの売却相場です。なお、下落率は、「{(対象の価格÷下落前の価格)-1}×100」で算出しています。
築年数 | 下落率 | 購入時の価格 | |||
---|---|---|---|---|---|
2,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 | 5,000万円 | ||
~5年 | 0% | 2,000万円 | 3,000万円 | 4,000万円 | 5,000万円 |
~10年 | 3.3% | 1,934万円 | 2,900万円 | 3,867万円 | 4,834万円 |
~15年 | 8.5% | 1,830万円 | 2,744万円 | 3,659万円 | 4,574万円 |
~20年 | 20.7% | 1,586万円 | 2,379万円 | 3,172万円 | 3,965万円 |
~25年 | 22.3% | 1,554万円 | 2,331万円 | 3,109万円 | 3,886万円 |
~30年 | 29.0% | 1,420万円 | 2,130万円 | 2,840万円 | 3,550万円 |
31年~ | 51.7% | 965万円 | 1,448万円 | 1,931万円 | 2,413万円 |
参照:レインズ|首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2022年01~03月】
例えば、新築時に3,000万円で購入した戸建は、築15年で約2,700万円、築30年を超えると約1,450万円と大きく売却額が下がります。
このように、戸建ての売却額は築15年を超えると急激に下がっていく傾向があります。築30年を経過する頃には新築時の価格の半分になるのです。
また、売却相場は公示価格や過去の不動産取引価格を参考にすることもできます。過去の取引価格については、以下のサイトで検索できるので類似物件から自分の戸建ての価格の目安にするとよいでしょう。
- ・国土交通省「土地総合情報システム」
- ・レインズマーケットインフォメーション
戸建ての売却相場については以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事:【2023年5月】家の売却相場はいくら?戸建て・マンションの調査方法をご紹介!
➁不動産会社への査定の依頼
売却を進める場合、不動産会社に査定依頼を出す必要があります。査定方法には、次の2種類があります。
- ・机上査定
- ・訪問査定
机上査定とは、築年数や面積・所在地などデータだけを基に査定する方法です。インターネット上で査定できる不動産会社も多く、簡単な入力だけで即日や数日で査定結果がわかるので、とりあえず価格を知りたいという場合にも適しています。ただし、机上査定はデータのみで査定し内部の状況などは考慮されないので、売却額と大きく異なる場合があります。
訪問査定とは、不動産会社の担当者が家を訪れて査定する方法です。内部の状況などを確認したうえで査定するので、精度の高い査定結果を得られます。しかし、担当者との日程調整などが必要になり、査定結果が出るのも1週間程かかる点には注意が必要です。
査定を受ける場合、机上査定で不動産会社を2~3社に絞って訪問査定を受ける方法をおすすめします。机上査定の段階で、できるだけ多くの不動産会社の査定額や対応を比較することで、高値での売却も実現できるでしょう。
机上査定を複数依頼する場合は、一括査定サイトの利用がおすすめです。ニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」なら、全国の大手から地元密着型の不動産会社まで幅広い不動産会社の査定額を比較できるので、納得できる売却に近づけるでしょう。
③不動産会社との媒介契約
査定後に仲介する不動産会社が決まったら、不動産会社との媒介契約を結びます。媒介契約には、契約方法によって3種類ありそれぞれ特徴が異なるので、慎重に契約方法を選ぶことが大切です。
媒介契約ごとの特徴を一覧にまとめました。
種類 | 複数業者との契約 | 自己発見の契約 | 業務の報告義務 | 契約期間 | |||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
専任媒介契約 | できない | できる | 2週間に1回以上 | 3ヵ月 | |||||||||||||||||||||||||
専属専任媒介契約 | できない | できない | 1週間に1回以上 | 3ヵ月 | |||||||||||||||||||||||||
一般媒介契約 | できる | できる | なし | 規定なし |
一般媒介契約とは、複数の不動産会社と契約できる方法です。自分で買主を見つけて契約もできます。ただし、レインズへの登録義務や業務の報告義務がないため、販売活動の状況を把握しにくいというデメリットがあります。また、不動産会社によっては他の不動産会社と契約される契約でもあるため、営業の優先度も低くなる恐れがあるのです。
一方、専任媒介契約と専属専任媒介契約は、不動産会社1社としか契約できません。レインズへの登録義務や業務の報告義務があり、一般媒介契約よりも制限が多い契約です。
ちなみに、専任媒介契約では自己発見の買主との契約ができますが、専属専任媒介契約では自己発見の買主との契約ができないので、自分で見つける可能性がある人は専任媒介契約が適しているでしょう。
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、他の不動産会社と契約できないため不動産会社の優先度が高く、熱心に売却活動してもらいやすいというメリットもあります。
立地や良い・家の状態がいいなど比較的売りやすい物件や自分でも買主を見つける予定があるなら、一般媒介契約がおすすめです。反対に、自分で買主を見つける予定がない人やすべてを不動産会社に丸投げしたい場合は、専属専任媒介契約が適しています。
④売り出し価格の決定
媒介契約後、不動産の売り出し価格を決めていきます。この売り出し価格は、成約価格とは異なる点に注意しましょう。
売り出し価格は、チラシなどに掲載される売り出しの価格です。一方、成約価格は買主と合意した最終的な売却価格となります。
売り出し価格は常に一定である必要はありません。販売状況を見ながら適宜変更することで、売却につながりやすくなるでしょう。
また、買主から価格交渉されることもあるため、基本的に「売り出し価格=成約価格」となるケースは多くありません。そのことを踏まえて売り出し価格を決めることが大切です。
また、売り出し価格を決める際には、次のようなポイントも意識するとよいでしょう。
- ・査定価格と同程度にする
- ・早く売りたいなら最初から価格を低くする
- ・値下げ交渉時の最低売却価格を決めておく
査定価格と同程度にする
不動産会社の査定額は、おおむね3ヵ月で売れる価格を提示しています。そのため、基本的には査定額を参考に同程度に値付けすると相場からかけ離れることはないでしょう。
どうしても高値で売りたいといった場合は、査定額に上乗せして価格を付けることも可能です。しかし、あまりに高値では売却自体が難しくなるので、不動産会社に相談しながら決めることをおすすめします。
早く売りたいなら最初から価格を低くする
転勤までに売りたいなど売却時期が決まっており、少しでも早く売りたいなら、相場よりも低く値付けすることで割安な物件となり買い手の目につきやすくなります。
ただし、売り急いでいることが買手に伝わるとさらに値下げ交渉を受ける可能性もがあるので、注意しましょう。
値下げ交渉時の最低売却価格を決めておく
購入希望者から、値下げ交渉を受けるのは珍しくありません。すべての値下げに応じる必要はありませんが、ある程度応じる姿勢を見せることで売却もしやすくなるでしょう。
しかし、過度な値下げに応じてしまうとローンが完済できない・新居の資金が足りないなどの事態に陥りかねません。ローン残高や必要な資金から、いくらまでなら値下げできるのかをあらかじめ把握しておくと、売却損を出さずに売却できるようになるでしょう。
⑤売却活動
売り出し価格が決まれば、売却活動がスタートします。チラシの作成やサイトへの掲載・問い合わせ対応といった基本的な活動は不動産会社が行うので、売主が売却活動ですることはほどんとありません。
しかし、次のような対応は売主にも必要です。
- ・内覧の準備や立ち合い
- ・購入申し込みの確認
内覧の準備や立ち合い
購入希望者から内覧の申し込みがあれば、内覧の対応が必要です。また、内覧は購入の決め手ともなる大事なポイントでもあるので、整理整頓や清掃など念入りに準備し少しでも印象がよくなるようにしておきましょう。
ハウスクリーニングを検討するのも一つの手です。しかし、ハウスクリーニングを家全体にすると高額に費用になります。費用を抑える場合は、水回りなど一部だけでもハウスクリーニングを導入するのも効果的でおすすめです。
実際の内覧の際には、売主も立ち会います。基本的な案内は不動産会社の担当者が行うので、売主は聞かれたことを応える程度で問題ありません。
反対に、アピールしたい気持ちが強すぎると購入希望者がゆっくり内覧できなくなり、マイナスに影響する恐れもあります。アピールポイントは数か所にしぼり、不動産会社の担当者にも伝えて案内してもらうなどの工夫も大切です。
内覧は、基本的に週末や休日に行われます。売却期間は内覧対応で週末の予定が立てにくくなる点には、注意しましょう。
購入申し込みの確認
内覧後購入を希望する場合、希望者は購入申込書を記載するのでその内容を確認し、対応します。購入申込書には次のような内容が記載されています。
記載事項 | 内容 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
購入希望価格 | 希望価格 | ||||||||||
入居希望日 | 入居の希望時期 | ||||||||||
購入希望者の情報 | 購入希望者の氏名や住所 | ||||||||||
購入者の希望条件 | 手付金などの購入希望条件 | ||||||||||
住宅ローンの有無 | 住宅ローンを利用するかどうか |
購入申込書で特にチェックしておきたいのは、購入希望価格と住宅ローンの有無です。売主の売り出し価格に対していくらなら購入するかが書かれており、それに対していくらまで対応するかを検討する必要があります。必ずしも値下げに満額応じる必要はありませんが、ある程度応じる姿勢も大切です。
ただし、購入申し込みは確約ではなく、買い手がキャンセルする恐れもあります。買い手の購入の意志の強さを不動産会社の担当者に確認したうえで、価格を決めていくようにしましょう。
また、住宅ローンを利用して購入する場合、ローンの審査に落ちてしまうと契約が進んでから契約解除となるので、それまでの時間や労力が無駄になってしまいます。担当者に、仮審査の結果や本審査に通りそうかなども確認するとよいでしょう。
⑥売買契約締結
購入希望者との条件が合意できれば、売買契約を締結します。売買契約時の流れは次の通りです。
- 1.売主と買主の顔合わせ
- 2.重要事項説明書の説明
- 3.売買契約書など書類の説明
- 4.各書類への署名・捺印
- 5.手付金の受け取り
- 6.締結完了
売買契約前に、重要事項説明や契約書の内容が、不動産会社の担当者から説明されます。内容に問題がなければ、契約書に署名・捺印して契約締結となるのです。
売買契約書の確認ポイント
売買契約書には、売買契約に関する重要なことが記載されています。細かい文字で見にくいですが、隅々までしっかりとチェックし、不明点は確認したうえで、署名・捺印するようにしましょう。
契約書に記載されている内容は、主に次の通りです。
- ・売買の目的物(不動産の情報)
- ・売買金額や支払い期日・支払い方法
- ・引き渡し期日
- ・所有権移転時期
- ・検査をする場合の検査方法や期間
- ・災害などで物件が破損した場合の取り決め
- ・欠陥など契約不適合に関する取り決め
- ・契約解除について
- ・損害賠償について
- ・その他特約について
手付金の目安
売買契約後には、買主から手付金を受け取ることになります。契約にもよりますが、一般的には売却額の10%程が手付金の目安となるでしょう。
手付金には、解約手付の性質があります。売主から契約を解除する場合は、手付金の2倍を支払って解除することが可能です。
また、特約などで、無条件で契約が解除になる場合は手付金の返還が必要です。そのため、手付金を貰ってもすぐに使わず、決済が終わるまでは取っておくようにしましょう。
⑦決済・引き渡し
売買契約後1ヵ月ほどで決済・引き渡しとなります。決済・引き渡しの流れは次の通りです。
- 1.残代金の受け取り
- 2.登記手続き
- 3.鍵の引き渡し
決済日には、売主・買主だけでなく、金融機関の担当者や司法書士・不動産会社の担当者が同席して手続きが進められます。手付金を除いた売却額を買主が支払った後、不動産の所有権移転手続きを行い、鍵を引き渡して完了です。
決算・引き渡し日には、さまざまな書類が必要になります。書類に不備があると、手続きを進められず日程を再調整してやり直しになる恐れもあるので、書類の準備は入念にしておきましょう。
戸建ての売却後に必要な手続き

戸建ては売却したらすべて完了というわけではありません。売却後にもいくつか手続きが必要になるので、忘れないようにしましょう。戸建て売却後に必要な手続きには、次の2つがあります。
- ・不動産会社や司法書士への手数料の支払い
- ・住宅ローン完済・抵当権抹消登記
不動産会社や司法書士への手数料の支払い
不動産会社の仲介で戸建てを売却した場合、不動産会社への仲介手数料が発生します。仲介手数料は上限が次のように決められています。
仲介手数料上限(売却額400万円以上の場合)=売却額×3%+6万円+消費税
例えば、3,000万円で売却した場合、96万円+消費税が仲介手数料の上限となるのです。仲介手数料は、一般的に「決済日に全額」「売買契約時と決済日に半分ずつ」のどちらかのパターンで支払うケースが多いでしょう。仲介手数料の支払い日や支払い方法は、不動産会社によって異なるので事前に確認する必要があります。
また、抵当権抹消登記を司法書士に依頼する場合、司法書士への報酬も必要です。司法書士にもよりますが、1~3万円が目安となります。抵当権抹消登記を自分でできれば、司法書士報酬は必要ありません。しかし、登記手続きは煩雑で自分でするには時間がかかります。金融機関によっては、ミス防止のため司法書士への依頼を必須としている場合もあるので注意しましょう。
住宅ローンの完済・抵当権抹消登記
住宅ローンの残っている戸建てを売却した場合、売却額で住宅ローンを完済する手続きも同時に行います。事前に売却に伴い一括返済する旨を金融機関に相談し、返済日の調整を進めておきましょう。また、一般的には一括返済では金融機関への手数料が1~3万円ほどかかります。
戸建を売却する場合、抵当権を抹消する必要もあります。住宅ローンを完済したら、抵当権抹消登記手続きを進めましょう。基本的には司法書士が手続きしてくれるので、必要書類など司法書士に指示に従えば問題ありません。
住宅ローンの完済と抵当権抹消登記は、決済・引き渡し時に同時に行われるのが一般的でしょう。
戸建ての売却後は確定申告が必須

戸建て売却後に忘れてはいけない手続きとして、確定申告もあります。戸建て売却で利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税が課せられます。その税金を申告・納税する手続きが確定申告となります。3,000万円特別控除など各種特例を適用する場合も、確定申告での申請が必要です。
確定申告は、戸建てを売却した年の翌年2月16日から3月15日の期間の間に行います。確定申告書と、必要書類を揃えて管轄の税務署に申請するようにしましょう。
期限を超えて申請した場合や申請忘れの場合、無申告課税などのペナルティが科せられる恐れがあるので、期限内に申告できるよう早めに用意しておくことが大切です。
確定申告は、利益が出た場合のみ必要となり、売却で利益が出ない場合は申告の必要はありません。ただし、特別控除を利用すれば税金が発生しないというケースでは、税金が発生しないから申告不要というわけではなく、申告して初めて特例が適用できるという点に注意が必要です。
戸建て売却の利益の計算や特例の適用・申告手続きに不安がある人は、一度税理士に相談してみるとよいでしょう。確定申告時期になると、自治体でも相談窓口が設置されるので、そちらを利用するのもおすすめです。
不動産売却後の確定申告については、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事:不動産売却後の確定申告で必要な書類は?自分で入手する方法や書き方を解説
戸建てを希望価格で売却するコツ

戸建ては、マンションと比較すると売りにくい不動産といわれています。購入希望者にしてみれば、土地と建物両方をセットで購入することになるので、土地がよくても建物が悪い、建物はよいけど立地が悪いというケースは珍しくありません。
また、築年数が古い・メンテナンスができていない、価格が高いなどの理由で売れない場合もあります。このように、戸建てはさまざまな要因が重なり、条件の良い戸建てであっても売りにくい可能性があるのです。
ただし、戸建てであっても工夫することで希望通りの売却を実現することは可能です。戸建を希望価格で売却するコツとしては、次の3つが挙げられます。
- ・住宅のアピールポイントをまとめておく
- ・室内から外観まで抜かりなくメンテナンスする
- ・戸建ての売買が得意な不動産会社を選ぶ
住宅のアピールポイントをまとめておく
自分の戸建てのアピールポイントを明確にしておくことで、不動産会社や内覧希望者にアピールしやすくなります。家の築年数や設備に関わることだけでなく、学校が近いといった住むうえでのメリットもアピールポイントになります。
アピールポイントとしては、次のようなことが挙げられます。
- ・病院や学校が近い
- ・公園が近い
- ・スーパーやコンビニが徒歩圏内にある
- ・近隣の小学校の教育制度がいい
- ・人気の校区である
- ・陽当たりや風通しがよい
- ・近隣トラブルがない
- ・騒音問題がない
物件の状態は内覧で見てみればわかりますが、住んでみないとわからないことというものも多いものです。生活していくうえでのメリットを内覧時にアピールできれば、内覧者の印象アップにつながります。
戸建て希望者はファミリー世帯がメインとなるので、子どもがいる内覧者には、学校までの距離や通学路の状態などもアピールできれば有効的でしょう。
また、いざアピールしようとしてもいきなりでは何をアピールすればいいのは忘れてしまう可能性があります。あらかじめ書きだしてメモにしておくと、スムーズにアピールできるだけでなく、そのメモを内覧者に渡すのも印象アップにつながります。
室内から外観まで抜かりなくメンテナンスする
内覧に備えて、室内は徹底的に清掃・整理整頓しておくことが大切です。売却後には引っ越しすることになるので、できるだけ荷物を片付けてスッキリ見せられると印象もアップします。
キッチンやバス・トイレといった水回りは、内覧でも重点的にチェックされるポイントなので、ピカピカにしておくとよいでしょう。状態によっては、設備の交換を検討することをおすすめします。
意外と見落としがちなのが臭いです。住んでいると室内の臭いには気づきにくいものですが、内覧者にとっては匂ってしまう可能性があります。気になるなら一度担当者に確認してもらうとよいでしょう。
また、室内だけでなく外観のメンテナンスも欠かせません。屋根や塗装などが定期的にメンテナンスされているかは、外観を見ればすぐにわかります。
外構をきれいに清掃しておくことも大切です。内覧で部屋に入る前には家も外を見られます。見た目が悪いと室内に入る前に印象が悪くなってしまう恐れもあるので、注意しましょう。
屋根や外壁などのメンテナンス記録は、査定時に提出できると査定額アップにつながる可能性があるので、記録をしっかりと取っておくことも大切です。
戸建ての売買が得意な不動産会社を選ぶ
売却できるかどうかは、不動産会社の力量によって大きく左右されます。戸建てを売却するなら、戸建て売却に強い不動産会社を選ぶことが大切です。
不動産会社といっても、得意分野は異なります。マンションやアパート・土地・戸建てなど強みは異なり、マンションが得意な不動産会社に戸建てを依頼しても売却しにくくなる恐れがあるのです。
また、地域に精通しているかも重要になってきます。不動産会社を選ぶ際には、実績や評判などもチェックするようにしましょう。
その際には、できるだけ多くの不動産会社を比較検討することが大切です。不動産会社の比較ならニフティ不動産の「SUUMOの無料一括査定」がおすすめです。数多くの不動産会社を簡単に比較できるので、戸建てに強くあなたの不動産を高値で売ってくれる不動産会社に出会えるでしょう。
まとめ
戸建て売却の流れや、高く売るコツについてお伝えしました。戸建て売却は大まかな流れをつかめれば、不動産会社がサポートしてくれるので初めてでも問題なく売却できます。売却後にも抵当権抹消や確定申告などの手続きがあるので、最後まで忘れずに手続きすることが大切です。
ただし、戸建ては売りにくい物件でもあることから、高値で売れるかは不動産会社の力が重要になってきます。戸建てに強く、高値で売ってくれる不動産会社を選ぶことが大切です。
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