
この記事では、家の売却の流れや注意点、高く売るためのポイントについて、初めて家を売る人向けにわかりやすく解説します。この記事を参考に、家の売却について理解し、納得いく売却ができるようにしましょう。
家を売る流れ

まずは、家を売るまでの流れを見ていきましょう。大まかな流れは、次の通りです。
- 1.住宅ローンの残債確認・必要書類の準備
- 2.相場調査・希望売却価格の決定
- 3.売却方法の選択
- 4.媒介契約の締結
- 5.販売活動の実施
- 6.売買契約の締結・引き渡し
- 7.確定申告
なお、家に売却については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:不動産を売却する流れ7ステップ|必要な書類や業者選びのポイントを説明
1.住宅ローンの残債確認・必要書類の準備
家を売る前の準備として、まずは住宅ローン残債の確認と必要書類の準備が必要です。
家を売る場合、住宅ローンの完済が必須条件となります。住宅ローンが残った状態では、抵当権を抹消できないため、家の売却ができません。
一般的には、売却代金でローンを完済することになります。もし、売却代金だけでは完済できない場合、足りない部分を自己資金で補えれば売却が可能です。
しかし、自己資金で賄えない場合、売却ができません。そのため、今いくらローンが残っているのかを正確に把握する必要があります。ローン残高を把握することで、必要な売却額や自己資金を判断できるでしょう。
また、家の売却では多くの書類が必要になります。書類によっては、取得に時間がかかる場合もあるので、早めに準備しておくことをおすすめします。必要な書類やそのタイミングを以下で確認しましょう。
必要なタイミング | 必要書類 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
査定時 |
|
||||||||||
決済・引き渡し時 |
|
必要な書類はその都度不動産会社から指示されますが、用意できる範囲で準備を進めておくと、慌てずに対応できるでしょう。
2.相場調査・希望売却価格の決定
自分の物件がどれくらいの価格で売れるのか、相場を調査することが大切です。相場観がつかめていないと、相場よりも高値を付けて売れなくなってしまったり、逆に安値で売却してしまったりする可能性があります。また、査定時に不動産会社に提示された価格の妥当性も判断できないでしょう。
相場を調べるには、次の方法があります。
- ・「土地総合情報システム」で公示価格を調べる
- ・近隣の取引価格を調べる
- ・不動産会社に査定に出す
国土交通省の「土地総合情報システム」では、公示価格や取引価格を調べられるので、類似物件の価格を調べてみるとよいでしょう。
また、不動産会社に掲載されている類似物件を調べることでもおおよその目安がつかめます。
ただし、不動産の価格は個々の事情によって大きく異なるものです。より自分の物件に合った価格を知りたいなら、査定に出すことをおすすめします。
不動産会社への査定は、次の2種類があります。
- ・机上査定:データのみで査定する方法
- ・訪問査定:実際に物件の内部を確認して査定する方法
一般的には、まず机上査定で不動産会社を絞り、訪問査定で詳細な査定を受ける流れが多いでしょう。机上査定時には、できるだけ多くの不動産会社を比較することが大切です。その際は、「SUUMOの無料一括査定」を利用すれば、効率よく査定結果を比較できます。
相場調査や査定を元に、売却希望額を決めていきます。少しでも高値で売りたい気持ちもありますが、相場よりも極端に高値ではなかなか買い手が付きません。買手が付かないことで結局値下げせざるを得なくなる場合もあるので、適正な価格を付けるようにしましょう。
3.売却方法の選択
売却価格が決まったら、売却方法を決めていきます。家を売却する方法としては、次の3つがあります。
- ・仲介
- ・買取
- ・個人売買
仲介
仲介とは、不動産会社が間に入り、買主を探して売却する方法です。一般的な不動産売却では、ほとんどのケースで仲介となります。
仲介では、不動産会社が売却活動や契約のサポートをしてくれます。売却額も買い手との交渉で決まるので、高値での売却を目指せる点もメリットです。
ただし、仲介では、売却に3ヵ月~半年ほどの時間がかかるというデメリットもあります。物件によってはなかなか買い手が付かずに、1年以上かかるケースも珍しくありません。
また、仲介の場合は、仲介手数料が発生する点にも注意が必要です。
買取
買取とは、不動産会社が不動産を直接買い取る方法です。不動産会社との交渉がまとまればすぐに売却できるので、短期間で売却できるというメリットがあります。
しかし、買取は仲介よりも安値での売却となるのが一般的です。市場相場の70%程の売却になるので、メリットと比較して選択するようにしましょう。
個人売買
個人売買とは、不動産会社を利用せずに自分で買い手を探し、売買契約を進める方法です。不動産会社を介さないので、仲介手数料を省けるというメリットがあります。
しかし、不動産売買には法律なども絡んでくるため、知識が十分でない状態で個人間での契約を進めると、トラブルに発展する可能性が高くなります。
買手をすぐに見つけられる、法律などの知識が十分あるなどでは適していますが、そうでない場合は、不動産会社に仲介してもらい、売却するほうがよいでしょう。
4.媒介契約の締結
不動産会社に仲介で売却してもらう場合、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には、次の3つがあります。
- ・一般媒介契約
- ・専任媒介契約
- ・専属専任媒介契約
それぞれ契約内容が異なるので、違いを理解したうえで自分に適した方法を選択することが大切です。以下で、違いを確認しましょう。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
契約期間 | 規定なし | 3ヵ月まで | 3ヵ月まで | ||||||||||||||||||||
自分で買主を探して直接取引 | 可能 | 可能 | 不可 | ||||||||||||||||||||
他の不動産会社との契約 | 可能 | 不可 | 不可 | ||||||||||||||||||||
レインズへの登録義務 | なし | 7日以内 | 5日以内 | ||||||||||||||||||||
営業活動の報告義務 | なし | 14営業日に1回以上 | 7営業日に1回以上 |
一般媒介契約
一般媒介契約とは、他の不動産会社とも複数社と契約できる方法です。買主を自分で見つけて契約を進めることもでき、その場合は仲介手数料が発生しません。
ただし、一般媒介契約はレインズへの登録や営業活動報告の義務がないため、売却の進捗を把握しにくいというデメリットがあります。
また、複数の不動産会社と契約できるため、不動産会社にとっての優先順位が落ちるという点にも注意しましょう。自分で買い手を見つけられる人や人気の高い不動産を売却するなら、一般媒介契約が適しているでしょう。
専任媒介契約
専任媒介契約とは、不動産会社1社のみと結ぶ契約です。
専任媒介契約では、レインズへの登録義務と営業活動の報告義務があり、販売活動を把握しやすいというメリットがあります。また、買い手を自分で見つけて契約することもできるので、不動産会社に頼りつつ自分でも買い手を見つけられる可能性がある人におすすめです。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約とは、専任媒介契約同様、不動産会社1社のみと結ぶ契約のことをいいます。レインズへの登録義務や営業活動報告義務は、専任媒介契約よりも厳しくなります。
ただし、専属専任媒介契約では、自分で買い手を見つけても、不動産会社を介して契約しなければならない点に注意が必要です。その代わり、不動産会社にとっては仲介手数料が確実に入る契約でもあるため、営業に熱心に取り組んでもらえるというメリットもあります。
買い手を自分で見つける見込みがなく、売却を丸投げしたいなら、専属専任媒介契約が適しているでしょう。
5.販売活動の実施
媒介契約を結んだら、いよいよ販売活動が始まります。販売活動では、チラシなどの広告やインターネットサイトへの掲載、問い合わせ対応などを不動産会社が進めてくれるので、売主が販売活動をする必要はありません。
しかし、内覧対応や部屋の片づけは売主がする必要があります。少しでも早く高く売りたいなら、買い手の印象をよくする必要があり、部屋の整理整頓や清掃は必須です。
内覧対応は不動産会社に任すことも可能ですが、その場合はどのような点をアピールしてもらいたいなどの打ち合わせをしておくとよいでしょう。
6.売買契約の締結・引き渡し
買い手が見つかり、売却条件に合意したら、売買契約を締結します。売買契約では、宅地建物取引士による重要事項説明で契約の条件を確認し、問題がなければ契約書に署名・押印して契約締結となります。
重要事項説明の内容や契約書に記載されている内容は、契約についての重要な項目です。細かい内容でわかりにくいかもしれませんが、トラブルを防ぐためにも隅々までしっかりと確認するようにしましょう。不明点や疑問点があれば、その都度確認し納得したうえで契約書にサインすることが大切です。
なお、売買契約から1ヵ月後ほどで、決算・引き渡しとなります。物件の代金が支払われ、カギなどを買主に渡して売買完了です。
決算・引き渡しの際には、さまざまな必要書類があります。書類の準備が漏れていると、その日の決済ができなくなる恐れもあるので、入念にチェックして用意するようにしましょう。
7.確定申告
不動産を売却して利益が出た場合、利益に対して税金がかかります。そのため、売主は確定申告して納税が必要です。
確定申告は、売却した年の翌年の2月16日から3月15日の間で、管轄の税務署に申告します。確定申告を忘れて脱税とならないように、しっかりと準備を進めて期間内に納税できるようにしましょう。
家を売る際にかかる費用・税金

家を売却する場合、さまざまな費用や税金がかかります。費用について理解しておかないと、予想以上にお金がかかってしまう可能性があります。
また、高額な取引になる不動産売却では、かかる費用や税金も高額になる場合もあります。どのような費用がかかるのかを把握して、資金計画を立てておくようにしましょう。家を売る際にかかる費用と税金は、以下の通りです。
費用の名称 | 金額・詳細(計算方法など) | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
仲介手数料 | 不動産会社へ支払う手数料
仲介手数料の上限(取引額400万円以上)=売却価格×3%+6万円+消費税 |
||||||||||
印紙税 | 売買契約書の作成に必要な税金
契約書に記載された金額に応じた税額を収入印の貼付・消印で納税する。目安額:1~10万円 |
||||||||||
登録免許税 | 不動産の登記にかかる費用
売却の場合は、抵当権抹消費用が必要(不動産個数×1,000円) |
||||||||||
司法書士費用 | 登記を依頼する際の報酬(1~3万円ほど) | ||||||||||
譲渡所得税 | 売却利益にかかる所得税・住民税
各種特例の適用で控除可能(3,000万円特別控除など) |
||||||||||
その他費用 | 引っ越し代、解体・測量代など |
家の売却にかかる費用や税金は、以下の記事でも詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事:家を売る際に税金はいくらかかる?売却時の税金の計算方法や特別控除について解説!
家を少しでも高く売るためのポイント

ここでは、家を少しでも高く売るためのポイントとして、次の4つを解説します。
- ・売却価格を決める際の査定は複数社に依頼
- ・値下げ交渉に対して過度に応じすぎない
- ・不動産会社選びは慎重に
- ・ホームインスペクション(住宅診断)を実施しておく
それぞれ詳しく見ていきましょう。
売却価格を決める際の査定は複数社に依頼
不動産会社に査定を依頼する際には、できるだけ多くの不動産会社に依頼することが大切です。最初から1社に絞って依頼すると、査定額が適切かの判断できません。
多くの不動産会社の査定結果を比較することで、極端に安値での売却を防げるでしょう。
また、この際相場よりも高値で査定する会社には注意が必要です。相場よりも高すぎる場合、契約欲しさに高値を付けている場合もあります。高値で売却を進めても買い手が付かずに結局安値での売却になってしまう可能性があるでしょう。高値を付けている場合、その根拠まで説明してもらうことが大切です。
値下げ交渉に対して過度に応じすぎない
売却活動を進めていると、購入希望者から値下げ交渉を受ける場合があります。値下げ交渉にはある程度応じる姿勢も大切ですが、売りたい余りに過度な値下げに応じるのはおすすめできません。
値下げして売却できたとしても、利益はその分下がります。売却額でローン返済や次の家の購入を検討している場合、売却額が安くなることで、資金計画が大きく崩れる可能性もあるでしょう。
事前にローン残債や次の家の予算計画を立てて、どこまでなら値下げできるのかを明確にしておくことで、過度な値下げを防ぎやすくなります。
不動産会社選びは慎重に
売却のパートナーとなる不動産会社選びは、重要なポイントです。仲介で売却する場合、不動産が売れるかどうかは不動産会社の力にかかってきます。査定額の高い会社を選びたいところですが、査定額だけでなく次のようなポイントもチェックするようにしましょう。
- ・実績や評判
- ・担当者の対応
- ・サービス
- ・レスポンスの早さ
不動産会社の対応が悪いと、売主が振り回されてしまう場合があります。なるべく丁寧な対応をしてくれる会社のほうが、売主が振り回されずにスムーズに売却を進められるでしょう。
また、担当者との相性によっても売れる金額が異なる場合があります。希望額に少しでも近い価格で売りたいなら、できるだけ担当者との相性がよいほうが好ましいでしょう。
不動産会社を選ぶ際には、価格だけでなく総合的に比較して判断することが大切です。
ホームインスペクション(住宅診断)を実施しておく
ホームインスペクションとは、住宅診断士が第三者の立場で住宅の劣化状況や欠陥の有無などを診断することです。
家の状態を正確に把握しておくことで、築年数が経過した物件では過度な値引き交渉の要素を減らせることにつながります。買主側にしても、家の状態が明確にわかれば安心して購入できるというメリットがあるので、スムーズに売却しやすくなるでしょう。
家を売る際の注意点

家を売る際の注意点として、次の2つが挙げられます。
- ・内覧時の物件状態は良くしておく
- ・オーバーローンに注意
家を売る時に注意点については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
関連記事:家を売却する時の注意点は?経験者の後悔に学ぶ「やってはいけないこと」と家を売る方法まとめ
内覧時の物件状態は良くしておく
家を早く売れるかは、内覧に大きく左右されます。よい条件の物件でも内覧時の印象が悪ければ、なかなか売却につながりません。
反対に、条件が多少悪くても内覧でよい印象を残せれば、売却につながりやすくなります。内覧の際には、徹底的に掃除し整理整頓して少しでも印象をよくするようにしましょう。
ハウスクリーニングを検討するのもおすすめです。特に水回りは重視する人も多いので、水回りのみの部分的なハウスクリーニングでも効果を得やすいでしょう。
オーバーローンに注意
先述したように、家の売却では住宅ローンの残債に注意が必要です。家を売却する場合、抵当権を抹消する必要があるため、ローン完済が必須となります。ローン残債と家の売却額の関係は、次の通りです。
- ・オーバーローン:売却額<ローン残債
- ・アンダーローン:売却額>ローン残債
売却額がローン残債を上回るアンダーローンの場合は、問題なく売却を進められるでしょう。しかし、売却額がローン残債を下回るオーバーローンの場合、売却できない可能性があります。
オーバーローンで自己資金でも対応できない場合は、住み替えローンを利用することで売却できる可能性があります。ただし、住み替えローンは審査が厳しく金利も高いため、利用は慎重に検討することが大切です。
まとめ
今回は、家を売る流れや注意点、高く売るためのポイントをお伝えしました。家を売却する流れや費用などの基本的な知識を理解しておくことで、スムーズな売却が可能です。売却方法や媒介契約、かかる費用などをしっかりと把握して、適切な方法で売却できるようにすると、手元にお金を残しやすくなるでしょう。
また、高値で売却するには、不動産会社選びが重要です。一括査定サイトを利用して、複数の不動産会社を比較し、あなたにぴったりの不動産会社を選ぶようにしましょう。「SUUMOの無料一括査定」なら、大手から中小まで多くの不動産会社の査定結果が簡単に入手できるので、効率よく不動産会社選びができます。ぜひ活用してみてください。
アプリなら新着物件を見逃さない!ニフティ不動産アプリ
部屋を借りる!賃貸版はこちら
住宅を買う!購入版はこちら