この記事では、火災保険で屋根修理が認められる具体的な条件や、保険適用となる損害の実例、経年劣化による損傷の違いを詳しく解説します。
さらに、経年劣化と判断された場合の対処法や悪質業者のトラブル事例も紹介するので、ぜひ最後まで読み進めてください。
- 火災保険で屋根修理が認められる基本条件
- 屋根修理で火災保険適用となる損害の具体例
- 経年劣化と自然災害による屋根損傷の見分け方
- 屋根修理のための火災保険申請手順【5ステップ】
- 自然災害なのに「経年劣化」と判断された時の4つの対処法
- 火災保険を使った屋根修理の悪徳業者トラブルと対策
- 火災保険の屋根修理に関するよくある質問
- 経年劣化でも諦めず適切な対処で火災保険受給を目指そう
火災保険で屋根修理が認められる基本条件
火災保険で屋根修理が承認されるには、事前に押さえておきたい基本的な条件があります。
・自然災害による損害が補償対象
・経年劣化や老朽化は原則補償対象外
・保険金請求の時効は損害発生から3年以内
・自己負担額(免責金額)の仕組みと確認方法
・地震による屋根損害は地震保険の領域
条件を事前に把握しておけば、保険請求がスムーズに進められます。
自然災害による損害が補償対象
火災保険が適用されるのは、あくまで「予期せぬ自然災害」によって生じた損害に限られます。
具体的な補償対象は以下のとおりです。
・風災(台風、春一番など)
・水災(洪水、高潮など)
・雹(ひょう)災
・雪災
台風の強風で瓦がズレた、大雪の重みで軒先が歪んだといったケースは、典型的な補償の対象です。
これらはいつ起こるか予測できない「突発的な事故」として保険約款で明確に補償対象として定められているからです。
経年劣化や老朽化は原則補償対象外
時間の経過とともに屋根が自然に傷んでいく、経年劣化や老朽化は火災保険の補償対象外です。
火災保険はあくまで「突発的なトラブル」に備えるものであり、建物の維持管理(メンテナンス)にかかる費用を肩代わりするものではないからです。
具体的には、以下のような症状が「経年劣化」として扱われます。
・金属部分のサビや腐食
・屋根塗装の剥がれ、色褪せ
・カビやコケの繁殖
・ゴムパッキンの硬化やひび割れ
これらは、日々の積み重ねで徐々に進行する「予測できる変化」です。そのため、「適切な時期に所有者が手入れをして直すべきもの」とみなされ、修理費用は自己負担となります。
判断の分かれ目として重要なのが、「機能に問題が出ているか」ではなく「何がきっかけで壊れたか」という点です。
たとえ雨漏りが発生していても、その原因が「台風で瓦が割れたこと(災害)」ではなく「防水シートが古くなって裂けたこと(劣化)」であれば、保険金は下りません。
保険金請求の時効は損害発生から3年以内
火災保険などの一般的な保険には、保険金を請求できる期間に制限があります。
保険法第95条(参照:保険法|e-Gov 法令検索)では、保険金を請求できる権利(請求権)は、損害が発生してから3年以内に行使しなければ、時効により消滅すると定められています。
そのため、火災保険を申請する際は、損害が発生してから(損害発生日)3年以内が請求期限です。
起算点となる「損害発生日」とは、台風や雪災などの事故が実際に発生した日付を指します。
屋根の損害を発見したらすぐに写真を撮影し、証拠を確実に残しておきましょう。
ただし、保険会社によっては、保険法とは別に独自の請求期限を設けている場合もあります。
申請漏れを防ぐためにも、被害を見つけたら後回しにせず、まずは保険証券で期限を確認しておくと安心です。
自己負担額(免責金額)の仕組みと確認方法
火災保険の契約時に「免責金額」が設定されている場合があります。
「免責金額」とは契約者が自己負担する金額のことで、実際に支払われる保険金は損害額から免責金額を差し引いた額になります。
たとえば、免責金額が5万円の契約で屋根の修理費用が30万円かかった場合、受け取れる保険金は25万円です。
火災保険を申請する際は、契約内容を事前に確認しておきましょう。保険証券や保険会社のマイページ、契約内容照会画面などから確認できます。
申請前に確認することで、実際に手元に入る保険金の額を正確に把握できますよ。
地震による屋根損害は地震保険の領域
地震、噴火、津波を原因とする屋根損害は、火災保険では補償されません。
地震による被害をカバーするには、別途地震保険への加入が必要です。
地震保険は火災保険とセットで加入する必要があるため、単独では契約できません。
すでに火災保険に加入済みの場合は、契約期間の途中から地震保険を追加することが可能です。
地震保険の保険金額は火災保険の30〜50%の範囲内で、建物は5,000万円が限度額(※)と定められています。
全額が補償されるわけではないため、不足分をどう補うかも考えておくと安心です。
(※)参照:一般社団法人日本損害保険協会|地震保険の保険金額の設定にあたっては、どのような制限がありますか。
屋根修理で火災保険適用となる損害の具体例
火災保険は、自然災害に加えて「突発的な事故」による被害も補償の対象です。
・風災による棟板金や瓦の飛散や破損
・雪災による屋根の損壊や歪み
・雹(ひょう)災による屋根材の穴あきやへこみ
・落雷や飛来物による突発的な損害
・災害が原因の雨漏り・二次被害
・屋根以外の付属物の損害
被害の具体例を知っておけば、いざというときスムーズに保険請求を進められるでしょう。
風災による棟板金や瓦の飛散や破損
台風や暴風などの風災による屋根の損害には、棟板金(むねばんきん)や瓦の飛散、破損が代表的です。
棟板金は屋根の頂上部分を覆う金属板で、強風の影響を受けやすく、浮いたり剥がれたりする被害が発生します。
また、瓦屋根が台風や突風にさらされると、瓦がズレたり飛散したりするケースも。
これらの損害が自然災害による突発的な被害と認められれば、火災保険の風災補償が適用される可能性が高くなります。
一方、錆びや老朽化など経年劣化が原因の場合は補償対象外となるため、専門家に調査を依頼して、災害との因果関係の証明が必要です。
雪災による屋根の損壊や歪み
雪災(せっさい)とは、豪雪や雪崩(なだれ)、落雪などが原因で生じた被害のことです。
「屋根が潰れる」といった大きな被害だけでなく、以下のような身近なケースも補償の対象になります。
・雪の重みで屋根が歪んだ、瓦が割れた
・落雪の衝撃でカーポートやテラスの屋根が破損した
・雪の重みや詰まりで雨樋(あまどい)やアンテナが壊れた
・屋根の破損が原因で、雪解け水による雨漏りが発生した
特に雨樋やカーポートの破損は見落としがちです。屋根そのものは無事に見えても、雪解け後に家の周りを一通りチェックし、付帯設備に異常がないか確認しておくと安心です。
雹(ひょう)災による屋根材の穴あきやへこみ
雹(ひょう)は氷の塊として空から落下するため、屋根に直撃すると強い衝撃を与えます。
屋根の種類によって、主に以下のような被害が挙げられます。
| 屋根の種類 | 被害の特徴 |
|---|---|
| 金属屋根(トタン・ガルバリウム鋼板など) | 屋根に凹みや変形が生じる 傷がつくことでサビの原因となり、屋根の劣化を早める |
| スレート屋根 | 表面に細かなひび割れが生じ、角や端が欠ける 雹痕が残りやすく防水性が低下する |
| 瓦屋根 | ひびが入り、割れることもある |
ゴルフボールのような大きな雹が降ると雨樋に穴が開く場合もあり、このような屋根に付随する設備も雹災補償の対象です。
雹による被害は見つけにくい場所ですが、損傷を放置すると錆の原因になり、屋根の劣化を早めるため注意が必要です。
落雷や飛来物による突発的な損害
落雷や飛来物による突発的な屋根の損害も火災保険の対象です。
雷が直撃すると屋根材や外壁が壊れるだけでなく、過電流によって室内の家電や給湯器が故障するケースもあります。
また、台風などで外部から飛んできた以下のような物体による被害も補償されます。
・倒木・折れた木の枝
・看板・物干し竿
・隣家の瓦・トタン
・プランター・バケツ・ゴミ箱・ベランダの椅子など
ただし、落雷や飛来物による被害は、原因が「不測かつ突発的な事故」によることを証明する必要があります。
被害を見つけた際は、飛んできた物をすぐに片付けてしまわず、そのままの状態で被害箇所と一緒に写真を撮っておくと、有力な証拠として役立ちますよ。
災害が原因の雨漏り・二次被害
自然災害が原因で生じた雨漏りも、火災保険の対象です。
台風や大雪で屋根材が破損し、そこから雨水が浸入してしまった場合などが該当します。
さらに、以下のような二次被害も、災害が直接の原因と判断されれば保険金を受け取れる可能性があります。
・集中豪雨によって河川があふれ、床上浸水した
・竜巻の強風で窓ガラスが割れ、家財が濡れてしまった
・落雷の影響で電圧に異常が生じ、家電が故障した
雨漏りや二次被害で重要なのは、「災害が直接の原因である」という証拠を残すことです。
被害に気づいた際は、天井のシミや濡れた家財を片付ける前に、写真や動画で状況を記録しておきましょう。
屋根以外の付属物の損害
火災保険の補償範囲は屋根だけにとどまらず、建物に付随する設備や外構も対象に含まれます。
屋根本体が無事でも、台風や大雪で雨樋が破損したり換気口が壊れたりすることも少なくありません。
見落としがちな補償対象は以下のとおりです。
| 屋根以外の付属設備 | 主な箇所 |
|---|---|
| 建物本体 | 基礎部分・サッシ・窓ガラス |
| 付属設備 | 雨樋・給排水管・給湯器・エアコンの室外機 |
| 付属物 | 門・塀・フェンス・カーポート |
被害状況をチェックする際は、屋根だけでなく敷地全体を見渡し、壊れている箇所がないか漏れなく確認しておきましょう。
経年劣化と自然災害による屋根損傷の見分け方
屋根の損傷は見た目だけでは区別しにくいケースも多く、判断を誤ると保険金を受け取れない可能性があります。判断の基準となる損傷の特徴を、原因別に解説します。
・経年劣化が原因とされる屋根損傷
・自然災害が原因とされる屋根損傷
それぞれの特徴を知っておけば、業者や保険会社とのやり取りでも自信を持って対応できるでしょう。
経年劣化が原因とされる屋根損傷
経年劣化とは、時間の経過とともに建物が自然に劣化していく現象を指します。
火災保険は予測困難な突発的事故による損害を補償する仕組みのため、経年劣化は原則として補償対象外です。
屋根の経年劣化の主な症状は、以下のとおりです。
| 屋根材の種類 | 主な劣化症状 |
|---|---|
| 瓦屋根 | ひび割れ・欠け・剥がれ・ズレ・落下 |
| スレート屋根 | ひび割れ・欠け・反り・色褪せ・コケの繁殖 |
| 金属屋根 | 変色・退色・サビ・塗膜のふくれや剥がれ |
屋根の経年劣化を放置すると、亀裂が拡大し雨漏りが発生するなどより深刻な損傷につながるおそれがあります。
定期的に屋根の状態を確認し、劣化の兆候を早期に発見しましょう。
自然災害が原因とされる屋根損傷
自然災害による損傷には、経年劣化とは異なり、「外部からの強い力」によって突発的に壊れた痕跡が残ります。
災害の種類ごとに認定されやすい損傷パターンを整理すると、以下のようになります。
| 災害の種類 | 認定されやすい損傷の特徴 |
|---|---|
| 風災 | 強風で棟板金が浮いている、瓦が飛散している |
| 雪災 | 雪の重みで軒先や雨樋が曲がっている |
| 雹(ひょう)災 | 屋根材に無数のへこみ傷や割れがある |
特に金属屋根では、強風の影響で「ケラバ(雨樋がついていない屋根の端部分)」や「棟包み(屋根の頂上を覆う金属板)」がめくれ上がったり、剥がれ落ちたりするケースが多く見られます。
経年劣化と見分けるポイントは、損傷箇所が「局所的」であり、新しい破損痕があるかどうかです。
全体的にボロボロになっているのではなく「そこだけ何かがぶつかって割れた」「強引に剥がされた」ような痕跡があり、傷口がまだきれいな状態であれば、自然災害によるものと判断される可能性が高くなります。
【業者の損害調査報告書で災害による損傷を証明する】
信頼できる屋根修理業者が作成する「損害調査報告書」は、火災保険申請時に自然災害による損傷を証明する有力な証拠となります。
報告書には損害箇所の詳細な特定、損傷原因の分析、具体的な修理内容、そして被害状況を示す写真が必須です。
信頼できる業者に調査を依頼し、客観的な証拠に基づいた損害調査報告書を作成してもらいましょう。
屋根修理のための火災保険申請手順【5ステップ】
保険会社への連絡から修理契約の締結まで、保険申請の手順を正しく踏むことで、スムーズに保険金を受け取れます。
ここでは、火災保険申請の流れを、5つのステップに分けて説明します。
1. 保険会社への連絡(雨漏り時の応急処置相談)
2. 専門業者による屋根の損害調査依頼
3. 業者による見積書の準備
4. 保険会社による現地調査(立ち会い推奨)
5. 保険金額の確定後に修理契約を締結
手順を間違えたり、自己判断で修理を先行させてしまうと、保険金が下りないトラブルにつながることもあります。
それぞれの工程で気をつけるべきポイントを詳しく見ていきましょう。
STEP1:保険会社への連絡(雨漏り時の応急処置相談)
屋根の損傷を発見したら、加入している火災保険会社に速やかに連絡を入れましょう。
連絡時には被害の状況、発生日時、原因と推定される自然災害の種類を具体的に伝えてください。
雨漏りが発生している場合、損害の拡大を防ぐためブルーシートでの仮修理が必要になることがあります。
「修理付帯費用」が補償内容に含まれている契約であれば、このような仮修理にかかる費用も保険の対象となる場合があります。
応急処置をする前に、必ず被害状況を写真で記録しておいてください。
連絡した日時、担当者名、やり取りの内容は必ずメモに残し、後の申請手続きに備えて記録を保管しておくことをおすすめします。
STEP2:専門業者による屋根の損害調査依頼
屋根の損傷を正確に把握し保険申請に必要な証拠を揃えるには、専門業者による調査を利用することで申請時の説得力を高められます。保険会社に連絡したら、信頼できる屋根修理業者に損害調査を依頼しましょう。
信頼できる専門業者を見極めるポイントは以下のとおりです。
・建築業許可番号を保有
・施工実績や経験年数が豊富
・詳細な見積書の提示が可能
・保証内容・アフターサービスが充実
専門業者の調査による被害写真の撮影は、保険審査の判断に大きく影響します。
屋根全体の画像、被害箇所が分かりやすい広範囲の写真、被害状況が鮮明に映る近距離の写真など複数の画像を用意してもらいましょう。
ドローンを使った屋根点検ができる業者であれば、足場を組まずに目視では確認困難な高所や傾斜屋根の損傷も安全かつ高精度で記録できます。
STEP3:業者による見積書の準備
被害状況を正確に伝えるには、修理費用の内訳や作業工法、人件費、工期など詳細を明示した見積書が必須です。
見積書は保険金の算出に必要な書類となるため、修理費用の総額だけではなく、以下の内容を明確に記載してもらいましょう。
・修理箇所
・使用材料・単価
・工法
・工期
・人件費
・費用内訳
上記項目を具体的に記載し提出することで、保険金の算定時に正当な評価を受けやすくなります。
STEP4:保険会社による現地調査(立ち会い推奨)
保険会社に修理見積書と被害箇所の写真を提出したら、現地調査が実施されます。
場合によっては、損害保険登録鑑定人が現地調査をおこなう場合もあります。
損害保険登録鑑定人とは、保険会社からの依頼を受けて屋根の損傷状況を詳しく調査し、損害額の鑑定や原因究明をおこなう専門家です。
現場の状況を正しく伝えるため、現地調査には必ず立ち会いましょう。
調査時には被害が発生した日時や状況、過去のリフォーム履歴などについて質問されるため積極的に説明してください。
調査時に不明点や疑問点がある場合は、その場で確認しておくと安心です。
STEP5:保険金額の確定後に修理契約を締結
保険会社から保険金額が確定した旨の通知を受け取ったら、支払われる保険金額、入金予定日、必要な追加書類など通知書の内容を丁寧に確認しましょう。
確定した保険金額を踏まえて、修理業者と最終的な打ち合わせをおこないます。
修理範囲と具体的な工事内容が見積もり通りか、使用する材料の種類や品質、工期、保証期間、支払い方法、さらに保険金額で修理費用をまかなえるかを必ず確認してください。
保険金の額と工事内容に納得できたら、修理契約(工事請負契約)を結びましょう。
ここで焦って保険金確定前に契約してしまうのは禁物です。
万が一、見積もり額より保険金が減額された場合、足りない費用をすべて自己負担することになってしまいます。
自然災害なのに「経年劣化」と判断された時の4つの対処法
「明らかに台風の後に屋根が壊れたのに、保険会社からは経年劣化と言われた」
このような判定結果に納得できない場合でも、すぐに諦める必要はありません。保険会社の調査結果が絶対ではなく、根拠を持って再交渉すれば、判定が覆るケースもあるからです。
不本意な結果通知が届いた際は、以下の4つのステップで対処を検討しましょう。
1. 保険会社の判断理由を詳しく確認する
2. 追加の証拠資料で再審査を依頼する
3. そんぽADRセンターへ相談する(不服申立)
4. 保険金請求に強い弁護士へ相談する
適切な手順で対処すれば、正当な保険金を受け取れる可能性は十分に残されています。
感情的にならず、客観的な事実を積み上げていくことが、納得のいく結果を得るためのポイントです。
1. 保険会社の判断理由を詳しく確認する
納得のいかない結果が届いた場合、まずは「なぜ経年劣化と判断されたのか」という具体的な根拠を確認します。
鑑定人が現場の状況を見落としていたり、認識にズレがあったりする可能性もゼロではないからです。
保険会社に電話やメールで連絡し、判断理由を文書で開示してもらいましょう。
どの箇所を経年劣化と判断したのか、損傷の程度はどうだったのか、どのような基準で判定したのかを明確にしてもらいます。
保険会社の判断が妥当かどうかを検討するために、建物の築年数や屋根材の一般的な耐用年数と照らし合わせることも欠かせません。
判断理由を具体的に把握できれば、次のステップの「追加証拠の収集」や「再審査の依頼」がスムーズに進められるようになります。
2. 追加の証拠資料で再審査を依頼する
たとえ保険申請が一度却下されたとしても、「自然災害が原因である」ことを示す新しい客観的な証拠を提示できれば、判定を覆せる可能性があります。
最初の申請では証拠が不十分だっただけかもしれません。
損害発生時期と一致する気象データの収集も、明確な証拠を示す有力な手段です。
気象庁の公式サイトでは過去の台風(※1)や気象データの詳細(※2)を無料で確認できます。
また、ドローンや専門機材などを使った精度の高い調査を実施できる専門業者に再審査を依頼することで、申請内容の根拠をより証明しやすくなります。
損傷個所を複数の角度から撮影し、災害による損傷と経年劣化による傷との違いを明確に示しましょう。
(※1)参照:気象庁|過去の台風資料
(※2)参照:気象庁|過去の気象データ検索
3. そんぽADRセンターへ相談する(不服申立)
保険会社との交渉が難航した場合は、第三者機関である「そんぽADRセンター(損害保険相談・紛争解決サポートセンター)」(※)への相談が有効です。
火災保険の相談や紛争解決のあっせんなど、無料で受けられます。
電話や書面、訪問により相談内容を申し出て、苦情申出書と保険証券、事故関連資料、見積書などを提出しましょう。
センターが保険会社に事実確認をおこない、必要に応じて専門家による紛争解決手続きを実施します。
保険金請求権は損害発生から3年で消滅するため、早めに相談してください。
(※)参照:日本損害保険協会|相談対応、苦情・紛争の解決(そんぽADRセンター)
4. 保険金請求に強い弁護士へ相談する
保険会社との交渉やADRセンターへの相談でも解決しない場合は、保険金請求に詳しい弁護士への相談が最も有効な手段です。
以下のようなケースでは、弁護士への相談が推奨されます。
・保険会社から不当に保険金を減額・不支給と判断された
・契約内容の解釈が複雑で、保険会社との見解が食い違っている
・悪質な申請サポート業者とのトラブルが発生した
弁護士を探す際は、弁護士会の無料相談窓口や弁護士検索サイトで「保険金請求」を得意分野とする専門家を選びましょう。
初回相談時には、火災保険に付帯している弁護士費用特約の利用可否を必ず確認してください。
火災保険を使った屋根修理の悪徳業者トラブルと対策
火災保険を利用した屋根修理では、悪徳業者によるトラブルが年々増えています。
ここでは、よくある手口と対策を解説します。
1. 保険金受給やキャンセルを口実に高額請求される
2. 経年劣化を「災害」と偽って申請させる
3. 点検と称して故意に屋根材を破損させる
トラブルの実態を知っておけば、不審な提案にすぐに気づけるようになります。
1. 保険金受給やキャンセルを口実に高額請求される
「保険金が確実に下りる」と甘い言葉で契約を迫り、実際には保険金額を大幅に超える工事費用を請求するケースが報告されています。
契約後に「追加工事が必要」などと理由をつけて高額請求したり、解約を申し出ると法外なキャンセル料を要求したりする手口です。
このような被害に遭った場合は、契約書の内容を改めて確認し、業者とのやり取りをすべて記録に残してください。契約から8日以内であればクーリング・オフ(契約解除)が可能です。
さらに、以下のような妨害行為があった場合は、8日間を過ぎていてもクーリング・オフが認められます。
・「この契約はクーリング・オフできない」と嘘をつかれた
・「解約するなら大事になる」などと脅された
参照:九州経済産業省|8日間を過ぎてもクーリング・オフできる可能性があります!~行政処分を受けた事業者と契約したことがある方へ~
地域の消費生活センターへの相談も有効です。悪質な要求が続く場合は弁護士に相談し、法的対応を検討しましょう。(参照:独立行政法人国民生活センター)
2. 経年劣化を「災害」と偽って申請させる
悪徳業者のなかには、本来は経年劣化による自然な損傷を「台風による風災」や「雹災」と偽って保険申請させようとするケースがあります。
屋根の色褪せ、ひび割れ、瓦のズレなど、明らかに経年劣化が原因の損傷を「最近の台風で壊れた」などと虚偽の説明をして、保険金の申請サポートを持ちかけてくる手口です。
不正申請に加担すると、契約者本人が保険金詐欺罪に問われる可能性があります。業者から「火災保険が使える」と言われても安易に信じてはいけません。
損傷の原因が本当に自然災害なのか、必ず自身で確認してください。
3. 点検と称して故意に屋根材を破損させる
「無料点検」を装って屋根に上がり、故意に屋根材を破損させて高額な修理契約を結ばせる手口が報告されています。
具体的には、以下の行為が確認されています。
・点検と称して瓦をずらしたり棟板金を曲げたりする
・コーキングを剥がして不自然な傷をつける
・脚立の設置や移動時にわざと屋根材を破損させる
このような被害を防ぐには、点検前に屋根の状態を写真で記録しておくことが有効です。
作業前に点検報告書の提出を求め、作業内容を明確にしておきましょう。
【信頼できる優良業者の見極め方】
悪徳業者のトラブルを避けるには、信頼できる優良業者を見極めることが欠かせません。依頼する際は、建設業許可の有無を必ず確認してください。
許可番号は見積書や名刺に記載されています。専門資格を持つ技術者が在籍しているかも大切なポイントです。
契約前には必ず複数社から相見積もりを取り、価格だけでなく工事内容の詳細や保証内容を比較しましょう。
火災保険の屋根修理に関するよくある質問
火災保険と屋根修理に関する5つのよくある質問に回答します。
火災保険で屋根修理をする場合いくらまで補償されますか?
火災保険の保険金金額は、建物の保険価額(評価額)をもとに決まります。
建物の保険価額の算出方法には、「時価」と「新価(再調達価格)」の2種類があります。
「新価」とは、屋根や建物を新たに交換・修理する際に必要な費用全額を基準にする方法です。
一方で「時価」は経年劣化を考慮して算定するため、修理費用全額をカバーできない場合があります。
現在の火災保険は「新価」での契約が主流ですが、古い火災保険や長期の契約では「時価」で契約していることもあるため、自分が加入している保険がどちらの方式かを事前に確認しておきましょう。
保険金で修理費用を全額まかなうことはできますか?
全額補償が受けられるかどうかは、契約内容や損害状況によって異なります。
建物保険金額が修理費用を上回る場合でも、免責金額の設定により自己負担が発生するケースもあります。
事前に設定した免責金額の内容を確認し、実際に受け取れる保険金の額を把握しておきましょう。
ベランダやカーポートの屋根修理にも火災保険は使えますか?
ベランダやカーポートの屋根も、火災保険の補償対象となる場合があります。
これらは「建物付属物」として扱われ、保険の対象に含まれるのが一般的です。
ただし、経年劣化による損害は適用外で、台風・突風・雹・落雷など突発的な事故が原因であることが前提です。
瓦屋根の一部が破損した場合でも申請は必要ですか?
瓦が数枚破損しただけでも、火災保険の申請は必要です。
軽微な破損だからといって放置すると雨水が浸入し、構造材の腐食やカビの発生など重大な被害を招くリスクがあります。
数枚の瓦の破損でも自然災害が原因で、かつ補修費用が免責金額を上回れば申請できます。
火災保険の申請サポート業者とは何ですか?
火災保険の申請サポート業者とは、契約者本人が保険申請する際に書類作成や現地調査などを支援する専門業者を指します。
火災保険申請のサポートや申請代行の手数料は、保険金の受給金額の25~40%が一般的な相場です。
不必要な修理を勧誘する悪徳業者も存在するため、申請サポートを利用する際は慎重な判断が必要です。
経年劣化でも諦めず適切な対処で火災保険受給を目指そう
火災保険は「経年劣化」には使えませんが、原因が「自然災害」であれば、築年数が古い家でも保険金を受け取れるチャンスは十分にあります。
仮に一度審査で落ちたとしても、客観的な証拠を揃えて再申請すれば、判定が覆るケースも珍しくありません。自己判断で諦めてしまう前に、まずはプロの目で正しく調査してもらうことが大切です。
屋根修理を検討している方は、相談から見積もりまで完全無料で利用できる、外壁塗装の適正価格診断サイト「外壁塗装の窓口」をぜひご活用ください。
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見積もり依頼後でも、料金や対応に不安が生じる場合は断ることも可能です。信頼できる修理業者を見つけて、火災保険を賢く活用した屋根修理を実現してください。
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