
この記事では、2024年以降には住宅ローン控除がなくなるのか、住宅ローン控除の仕組み、住宅ローン控除の今後、最大限活用する方法などを解説します。住宅ローン控除の今後について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
2024年以降は住宅ローン控除がなくなる?

結論からいうと、2024年を迎えても住宅ローン控除が完全になくなるというわけではありません。しかし、2024年以降は「その他の住宅」という区分に該当すると、控除額が引き下げられる、住宅ローン控除が受けられない可能性があるので注意が必要です。
2024年以降住宅ローン控除が受けられない「その他の住宅」とは?
2024年1月1日以降に住宅ローンを契約して購入したマイホームに入居する場合は、省エネ基準適合住宅以上の住宅であることを証明できなければ、住宅ローン控除を受けることができません。省エネ基準適合住宅とは、以下のような住宅です。
- ・認定長期優良住宅・認定低炭素住宅
- ・ZEH水準省エネ住宅
- ・省エネ基準適合住宅
参考:国土交通省|住宅ローン減税省エネ要件化等についての説明会資料
「その他の住宅」とは、上記の省エネ基準に適合しない住宅のことです。その他の住宅に該当しても、2023年末までに建築確認を受けた場合は借入限度額2,000万円までは住宅ローン控除を利用できます。
しかし、それ以降については住宅ローン控除を利用できないので注意してください。
そもそも住宅ローン控除とは

住宅ローン控除とは、住宅ローンを契約してマイホームを購入する際に支払う金利負担を抑えるための減税制度です。住宅借入金等特別控除が正式名称です。
住宅ローン控除は2021年までに入居した場合に適用される予定でしたが、2022年の税制改正で2025年までに4年間延長されました。
延長された理由として、新型コロナウイルスの流行で景気が低迷したことが挙げられます。2023年には、感染症法上の分類がインフルエンザウイルスと同じ5類相当に引き下げられました。そのため、住宅ローン控除の適用を受けられるのは余程の理由がない限り2025年までとなるでしょう。
現行の住宅ローン控除の適用条件や借入限度額などを詳しく説明していきます。
住宅ローン控除の適用条件
住宅ローンを契約すれば、誰でも住宅ローン控除が適用されるというわけではありません。契約する住宅ローンの内容、住宅ローンを契約する人、購入する住宅などにそれぞれ以下のような条件が定められており、それらを満たした場合のみ適用されます。
- ・契約者自身が主として居住の用に供する家屋であること
- ・床面積が50㎡以上(2023年末までに建築確認を受けた新築住宅の場合は40㎡以上50㎡未満の場合、合計所得金額が1,000万円以下)であること
- ・住宅の引き渡しや工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること
- ・店舗等併用住宅の場合は、床面積の1/2以上が居住用であること
- ・中古住宅の場合は以下のいずれかの条件を満たす必要がある
- ・1982年1月1日以後に建築された
- ・地震に対する安全性にかかる基準を満たす
(耐震基準適合証明書や建設住宅性能評価書の写しの取得など)
購入を検討している物件が住宅ローン控除の適用対象かどうか判断するのは難しいため、不動産会社に購入する前に聞いてみましょう。
【住宅の種類別】借入限度額と控除期間
住宅ローンの借入額全額に住宅ローン控除が適用されるとは限りません。住宅の種類によって適用される借入限度額、控除期間が以下のように異なるため、違いを事前に把握しておくことが大切です。
住宅の性能 | 借入限度額 | 最大控除額 | 控除期間 | ||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新築住宅、買取再販 (一定の増改築を行った) |
①長期・低炭素認定住宅 | 5,000万円 | 455万円 | 13年 | |||||||||||||||||||||||||
➁ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 409.5万円 | |||||||||||||||||||||||||||
③省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 364万円 | |||||||||||||||||||||||||||
その他の住宅 | 3,000万円 | 273万円 | |||||||||||||||||||||||||||
既存住宅 | 上記①➁③の住宅 | 3,000万円 | 210万円 | 10年 | |||||||||||||||||||||||||
その他の住宅 | 2,000万円 | 140万円 |
2023年までの住宅ローン控除では、長寿命で二酸化炭素の排出量が少ない長期優良住宅や高度の省エネ性能を有する低炭素住宅のように、質の高い住宅に対して借入限度額や控除期間が長くなっています。
例えば、長期・低炭素認定住宅の購入で適用される住宅ローン控除の借入限度額は5,000万円で、最大控除額は「借入限度額×0.7%×13年=455万円」です。
省エネ基準を満たしていないその他の住宅や既存住宅(中古住宅)の購入でも住宅ローン控除が適用されました。
住宅の性能 | 借入限度額 | 最大控除額 | 控除期間 | ||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
新築住宅、買取再販 (一定の増改築を行った) |
①長期・低炭素認定住宅 | 4,500万円 | 409.5万円 | 13年 | |||||||||||||||||||||||||
➁ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 318.5万円 | |||||||||||||||||||||||||||
③省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 273万円 | |||||||||||||||||||||||||||
その他の住宅 | 0円 | 0円 | ※ | ||||||||||||||||||||||||||
既存住宅 | 上記①➁③の住宅 | 3,000万円 | 210万円 | 10年 | |||||||||||||||||||||||||
その他の住宅 | 2,000万円 | 140万円 |
しかし、2024~2025年は既存住宅(中古住宅)に変更はないものの、新築住宅や買取再販では借入限度額の引き下げによって最大控除額が少なくなっています。また、その他の住宅については住宅ローン控除が適用されないため、既存住宅を購入したほうが税負担を軽減できる内容です。
物件価格や維持コストなどにも差があるため、一概にどの住宅が良いとは言い切れません。最大控除額も踏まえながら総合的に判断しましょう。
2024年以降に入居するとどうなる?

2024年以降に「その他の住宅」に入居する場合は、住宅ローン控除の適用外となり、控除の恩恵を受けられません。2023年中に入居した場合との違いを比較すると以下の通りです。

2023年中に省エネ基準住宅に入居すると最大364万円の控除、その他の住宅の場合は最大273万円の控除を受けられます。
しかし、2024年に省エネ基準住宅に入居すると最大274万円の控除、その他の住宅の場合は控除なしになるため、2023年の91万円の差から274万円の差へと拡大します。住宅ローン控除が適用される借入限度額も2024年に引き下げられるため、省エネ基準住宅であっても住宅ローン控除の恩恵が小さくなる点に注意が必要です。
住宅ローン控除の恩恵を少しでも受けたい方は、なるべく2023年中の入居を目指しましょう。
省エネ基準適合住宅以上の住宅であることの証明書が必要になる
2024年に建築確認を受ける住宅は省エネ基準適合住宅以上の住宅でなければ住宅ローン控除が適用されません。住宅ローン控除の適用を希望する場合は、購入したのが省エネ基準適合住宅以上の住宅であることを証明する以下のいずれかの証明書の提出が求められます。
- ・建設住宅性能評価書の写し
- ・住宅省エネルギー性能証明書
上記の書類は、いずれも住宅取得者単独で取得することは困難です。設計者、施工者などの協力を必要とするため、住宅を購入する際に相談しましょう。
住宅ローン控除を最大限活用するには

住宅ローン控除を最大限に活用するには、以下の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
- ・2023年中に入居する
- ・控除額の大きい住宅を選ぶ
- ・中古住宅の場合はリフォームも行う
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
2023年中に入居する
2024年に入居した場合は、その他の住宅は住宅ローン控除の対象外となるので控除の恩恵を受けられません。また、省エネ適合住宅以上の場合でも、借入限度額が2023年よりも引き下げられることで最大控除額が小さくなります。
そのため、その他の住宅で住宅ローン控除の恩恵を受けたい、省エネ適合住宅以上で恩恵を最大限に受けたい場合は2023年中に入居しましょう。
一部例外として、2024年にその他の住宅に入居した場合でも、以下の要件を満たせば適用対象となります。
- ・2023年12月31日までに建築確認を受けた
- ・2024年6月30日までに竣工済である
上記に該当する場合には、その他の住宅であっても借入限度額2,000万円、控除期間10年で住宅ローン控除の恩恵を受けられます。その他の住宅の購入を検討している方は、2023年中の入居もしくは上記の条件を満たすように間に合わせましょう。
控除額の大きい住宅を選ぶ
住宅ローン控除は、省エネ基準適合住宅、ZEH水準省エネ住宅、認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の順番で受けられる控除が大きくなります。そのため、控除を最大限に活かしたい方は、控除額の大きい住宅を選びましょう。
性能の高い住宅は住宅ローン控除の恩恵が大きいだけでなく、光熱費の負担が小さい、補助金や金利優遇などの面でお得です。建築コストは他よりも高めですが、暮らした場合の維持コストを抑えられるため、長い目で見るとお得な住宅といえるでしょう。
中古住宅の場合はリフォームも行う
住宅ローンを契約して中古住宅を購入する場合も住宅ローン控除の恩恵を受けられます。控除の恩恵を高めたい方は購入した中古住宅にリフォームを行うことをおすすめします。
その理由は、リフォームにかかったローンも、住宅ローン控除の対象となるためです。また、省エネ住宅や省エネリフォームに手厚い補助金を支給するケースも増えているのでお得にリフォームできるでしょう。
ただし、対象物件やリフォームの種類には条件があります。どのような物件やリフォームに対して補助金が支給されるのか事前に確認しておきましょう。
2026年以降、住宅ローン控除はどうなる?

現時点では、住宅ローン控除の適用を受けられるのは2025年中の入居となっています。従来は2021年に終了する予定だった住宅ローン控除が4年引き延ばされたため、今度も引き延ばされると考えている方も多いでしょう。
しかし、景気対策として引き延ばされたとしても、2024年と2025年は2023年よりも借入限度額が引き下げられて最大控除額が小さくなったことを考えると、住宅ローン控除で受けられる恩恵が今後は小さくなる可能性が高いです。
今後どうなるかは全く予想できませんが、住宅購入を検討している方は、将来的に制度そのものがなくなる、受けられる恩恵が小さくなる可能性があるため、早めに購入したほうが良いでしょう。
まとめ
住宅ローン控除の適用を受けることができた場合、一定期間税負担を軽減できます。しかし、住宅ローン控除の適用を受けられる期間は決まっており、2024年に入居する場合は物件の種類によっては控除対象外になる、対象であっても最大控除額が小さくなるので注意が必要です。
現時点では2024年、2025年までに入居した場合は、住宅ローン控除を受けられます。しかし、将来的にどうなるかは決まっていません。住宅ローン控除の廃止、控除額の引き下げなどで恩恵が小さくなる可能性があるため、控除の恩恵を受けたい方は、なるべく早めに住宅を購入しましょう。
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