住宅ローンが払えないときの対処法|実際に滞納した後の流れについても解説

住宅ローンの返済ができなくなると、マイホームを手放さなくてはならなくなります。とはいえ、すぐに手放すわけではなく状況に応じた適切な対処で家に住み続けることも可能です。

この記事では、住宅ローンの支払いが厳しくなったときに取れる対処方法を分かりやすく解説します。併せて、払えなくなった場合にどうなるか、よくある払えなくなる理由を解説するので、参考にしてください。



住宅ローンが払えないときの対処法

住宅ローンが払えないときの対処法|実際に滞納した後の流れについても解説

コロナ渦による収入減少のように、住宅ローンの長い返済期間中は予想もしない理由で住宅ローンの支払いが厳しくなる可能性があります。また、収入は変わらなくても子どもの誕生や進学などで支出が増えて、住宅ローンの負担が大きくなってしまう場合もあるでしょう。

住宅ローンの支払いが厳しくなる理由はさまざまありますが、支払が厳しくなった場合はできるだけ早い段階で対処することが大切です。ここでは、払えなくなった場合の対処法として次の8つを紹介します。

  • ・家を売却する
  • ・任意売却をする
  • ・ローンを組んでいる金融機関へ相談
  • ・団体信用生命保険を利用する
  • ・住宅ローンを借り換える
  • ・リースバック
  • ・リバースモーゲージ
  • ・個人再生
 

ちなみに、「任意売却」や「個人再生」は、最後に取れる手段でもあります。その状態になる前に、他の対処法などで早めに対処していくようにしましょう。

家を売却する

住宅ローンの支払いが厳しくなった場合、通常の方法で家を売却するという手段が取れます。家の売却金で住宅ローンを完済し、負担の少ない住居に引越しすることで生活の負担を軽減できます。

ただし、家を売却する場合、住宅ローンの残高と家の売却予定額には注意が必要です。売却額で住宅ローンの完済が見込めるアンダーローンの場合は、問題なく売却に進めます。しかし、売却額ではローン残債を賄えないオーバーローンの場合、足りない分を自己資金で補えなければ売却できません。まずは、金融機関にローン残債の確認をし、不動産査定を受けて売却額を把握してから売却を検討するようにしましょう。

オーバーローンにならないためには、少しでも高値で家を売却できるかが重要になります。不動産査定を受ける場合は、できるだけ複数の会社に査定依頼をして高値で売却できる不動産会社を見つけるようにしましょう。複数査定は一括査定サイトの「SUUMOの無料一括査定」を利用すれば、手間なく査定額や不動産会社の比較ができるのでおすすめです。

オーバーローンであり、自己資金で残債の完済も難しい場合は、次に紹介する任意売却を検討することになります。

任意売却をする

任意売却とは、金融機関(債権者)の合意のうえで不動産を売却する方法です。任意売却後の残債は金融機関と交渉して返済方法を決められるので、返済の負担を大きく軽減できます。

任意売却は、競売を避ける手段として利用するのが一般的です。任意売却であれば、競売よりも高値で売却でき、売却金から引っ越し費用を捻出できるなどの融通も利きやすいというメリットがあります。

ただし、競売の入札開始までに売却を決めなければ任意売却できません。任意売却を検討する場合は、早めに売却手続きをすすめる必要がある点には注意しましょう。

任意売却は、住宅ローンをすでに滞納し競売が避けられない場合に取るべき手段です。基本的には滞納が始まる前に、対処しておくことをおすすめします。

ローンを組んでいる金融機関へ相談

金融機関に相談することで、住宅ローンの条件の変更や返済期間の見直しなどができる可能性があります。

一時的に返済期限を延長し、期間が延びる分毎月の返済額を軽減する対応が一般的です。金融機関としてもローンの滞納は避けたいところなので、誠意をもって交渉することで返済の負担を軽減できる可能性があります。

ただし、条件変更が認められるのは、病気による一時的な収入減少など正当な理由が認められる場合のみです。また、返済期間を延長した場合、金利負担が増えるので返済総額は増えてしまう点にも注意しましょう。

とはいえ、返済が厳しい状況を放置していると、時間が経過するごとに取れる対処方法も少なくなってきます。一人で抱え込んで手に負えなくなる前に、金融機関に相談してみるようにしましょう。

団体信用生命保険を利用する

団体信用生命保険(団信)とは、契約者の死亡や高度障害などで返済できない状況に陥った場合、保険金でローン残債を完済する制度のことです。基本的に、住宅ローンの契約時には団信への加入を必須としています。

近年の団信は、保障内容が充実している商品も多く、死亡だけでなくがんや特定疾病・ケガなどに対応しているものもあるのです。所定の状態になった場合、ローン残債全額や毎月の返済が免除されるものもあります。

病気やケガによる収入減少が理由に住宅ローンの支払いに影響している場合、団信の保障を適用できる可能性があるので適用条件を確認するとよいでしょう。

住宅ローンを借り換える

住宅ローンの借り換えとは、今の住宅ローン金利よりも低い金利の住宅ローンに借り換えることで返済の負担を軽減する方法です。例えば、次の条件での借り換えを見ていきましょう。

借り換え前:借入額2,500万円/金利1.8%/借入期間35年

上記ぼ住宅ローンを、残債2,000万円(残期間25年)で次の条件に借り換えたとします。

借り換え後:借入額2,000万円/金利1.0%/借入期間25年

この場合の毎月返済額は次の通りです。

毎月の返済額
借り換え前 8万272円
借り換え後 7万5,374円
 

上記のように、毎月約5千円の負担減となっています。

ただし、住宅ローンの借り換えでは50~100万円ほどの手数料がかかるため、返済の軽減額によっては手数料を含めると返済総額が増えてしまう可能性があります。

一般的には、次のような条件の場合、借り換えのメリットがあるといわれているので、目安としてください。

  • ・金利差1.0%以上
  • ・返済残期間10年
  • ・残債1,000万円以上
 

借り換えは、新しくローンを組む金融機関の審査を通る必要があります。収入が減少している場合などでは審査が厳しくなる恐れもあるので注意しましょう。

リースバック

リースバックとは、住宅をリースバック会社に売却し、新たに賃貸契約を結ぶことでそのまま家に住む方法です。売却でまとまった資金を得られるので、ローンの完済が可能になります。

そのうえで、家賃を支払えばそのまま家に住み続けられるため、生活環境の変化もなく周りに売却したことも知られないというメリットもあるのです。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、住宅を担保に資金を借入れる方法です。契約者の生存中は利息分のみの返済となり、死亡した際に家を売却して残債を一括返済する仕組みです。

リバースモーゲージは、基本的に老後資金対策として取られる手段でもあります。金融機関でも年齢制限を60歳以上としているところが多いため、若い層では利用できない点には注意しましょう。

また、リバースモーゲージの場合、契約者が死亡した際に残債を現金で完済できなければ、自宅が強制的に売却されてしまいます。そのため、配偶者や同居人が住む場所がなくなってしまう可能性もあるので、利用は慎重に判断するようにしましょう。

個人再生手続をする

個人再生とは、借金を大幅に減額する手段である債務整理の一種です。裁判所に返済が厳しいことを認めてもらい、返済額を軽減して新たな返済計画を立てます。

同じ債務整理として代表的なものが「自己破産」です。自己破産の場合、すべての債務を免除できますが、マイホームを含め財産を手放さなくてはなりません。

一方、個人再生であれば「住宅ローン特例」を適用することで、住宅は手放さなくても済みます。この特例では、住宅ローンの支払いはそのままで、ほかの借金の減額が可能です。

住宅ローンの支払い以外にもほかに債務があり、生活を圧迫している場合には、個人再生を検討してみるとよいでしょう。

住宅ローンが払えなくなるとどうなる?

住宅ローンが払えないときの対処法|実際に滞納した後の流れについても解説

大和総研の調査によると、住宅ローンの延滞率は2020年9月までコロナ渦による上昇を見せたものの、延滞率の上昇は小幅にと止まっています。

とはいえ、一定数の延滞があることからも住宅ローンの支払いが厳しい人は現実にいることが分かるものです。住宅ローンの支払いができなくなった場合、最終的には家が競売にかけられ強制退去させられます。

しかし、延滞してすぐに退去につながるわけではなく、延滞を開始してから段階を踏み1年半ほどで退去となるのが一般的です。ここでは、住宅ローンが払えなくなった後の流れを見ていきましょう。

参照:大和総研レポート|家計の住宅ローンを点検する

家が競売にかけられるまでの流れ

住宅ローンが払えなくなり、競売にかけられるまでの大まかな流れは次の通りです。

  • 1.督促状が届く:延滞から1~3ヵ月後
  • 2.期限の利益の喪失
  • 3.一括返済を求められる:6ヵ月後
  • 4.保証会社による代位弁済
  • 5.競売が申し立てられる
  • 6.競売開始決定通知が届く
  • 7.現況調査
  • 8.競売実施:延滞から1年程
 

まず、延滞が始めると金融機関から書類や電話での通知がきます。通知に対応しなければ3ヵ月ほどで督促状が届き、最終的に「期限の利益喪失通知」が送られてきます。期限の利益とは、住宅ローンを分割で支払う権利のことをいいます。この期限に利益を喪失すると、分割払いができなくなり、一括返済が求められるのです。

一括返済に対応できない場合、ローン残債を保証会社が肩代わりする代位弁済が行われます。代位弁済後、債権は保証会社に移り、保証会社からの一括返済に対応できない場合、保証会社は裁判所に競売の申立てを行います。申立て後、裁判所から物件を差し押さえた旨の「競売開始決定通知」が届き、現況調査ののちに競売が開催されるのです。

現況調査では、裁判所の執行官などが自宅に訪れ、間取りや周辺環境などを確認していきます。立ち入りを拒否することはできず、拒否した場合でも強制的に現況することが可能です。現況調査が開始されると、周りにも滞納や競売の事実が知られてしまうので、知られたくない場合はそれより前に任意売却を進めておくようにしましょう。

最終的には退去を命じられる

競売が開始されると、入札を経て家が落札されます。落札後は、家の所有権は落札者に移り、家を明け渡さなくてはなりません。退去時に落札者との交渉によっては、立ち退き料として引っ越し代などを出してもらえる可能性もありますが、あまり期待はできないでしょう。立ち退き交渉が難航した場合や退去を拒んだ場合、落札者が裁判所に申し立てることで強制退去となります。

延滞開始から家の落札・立ち退きまでは、1年半ほどの期間があります。強制退去となってしまうと執行員により荷物が運び出されてしまうため、競売・強制退去はできるだけ避けられるように対処していくようにしましょう。

住宅ローンが払えなくなる主な理由

住宅ローンが払えないときの対処法|実際に滞納した後の流れについても解説

住宅ローンが支払えなくなる理由には、どのようなことがあるのでしょうか。ここでは、よくある理由として次の2つを見ていきましょう。

  • ・さまざまな要因による収入減少
  • ・そもそも返済負担が大きすぎる
 

さまざまな要因による収入減少

住宅ローンが支払えなくなる大きな原因のひとつが、収入減少です。経営悪化による会社の倒産、リストラ・転職による収入減少だけでなく、病気やケガで働けなくなってしまうケースも珍しくありません。

近年は、新型コロナウイルスによる収入減少で住宅ローンの支払いができなくなる人も一時的に増加していました。コロナの影響によって支払いが困難になる場合、特例などの支援を受けられる可能性があります。

該当する場合は、一度金融機関や自治体に相談してみるとよいでしょう。

そもそも返済負担が大きすぎる

年収に対しての住宅ローンの負担が、そもそも無理である場合もあります。

先述した大和総研の調査によると、返済比率が30%を超える人の割合が20%を超えているという結果が出ています。

返済比率とは、年収に占める年間返済額の割合です。金融機関では、住宅ローンの審査の際返済比率を30~35%以下が一般的な目安となります。そのため、返済比率30%を超えて借入れることは可能ですが、生活への負担は大きくなる点には注意しましょう。返済比率は手取り年収ではなく年収で算出されるので、手取り年収での比率はそれ以上になってしまうのです。

理想的な返済比率は年収の20~25%以下といわれています。返済比率が高い場合、収入減少や支出増加時に対応できなくなり支払えなくなる可能性が高くなります。

住宅ローンが払えなくなる前に取り組めること

住宅ローンが払えないときの対処法|実際に滞納した後の流れについても解説

住宅ローンは、滞納が始まってしまうと競売まで目前となります。滞納が始める前、返済が厳しいと感じた時点で対策しておくことで、最悪の事態を防ぎやすくなるでしょう。ここでは、住宅ローンが払えなくなる前にとれる対処法として、次の2つを紹介します。

  • ・無理な返済負担額になっている場合は借り換えを検討
  • ・金融機関・専門家に相談する
 

無理な返済負担額になっている場合は借り換えを検討

毎月の返済額の負担が大きい場合、借り換えで返済の負担を減らすことが可能です。適切な返済比率にすることで、返済の負担も軽減できるでしょう。

仮に、年収500万円で返済比率30%と20%の返済額を見ていきます。

返済比率 年間返済額 月ごとの返済額
30% 150万円 12.5万円
20% 100万円 8.3万円
 

ちなみに、年収500万円での手取り額年間400万円ほどとなり、ボーナスなしの場合、月額では約34万円です。手取り月収34万円で毎月12.5万円の住宅ローン返済は、家族構成によっては負担が大きくなってしまうでしょう。

適切な返済比率になるように借り換えることで、住宅ローンの負担を軽減できるようになります。

金融機関・専門家に相談する

支払いが厳しいと感じたら、まず、金融機関や専門家に相談することをおすすめします。滞納前であれば、取れる手段も多くあります。早めに相談して、払えなくなるといった事態を防げる可能性が上がるでしょう。

最も避けたいのは、払えない分をカードローンやキャッシング・別のローンで支払うことです。住宅ローンは最も金利の低いローンであり、その返済のために高い金利のローンを増やすのは得策とはいえません。他の借金で返済するのは一時しのぎにはなりますが、根本的な解決は難しいでしょう。

金融機関も債権を回収できなくなる事態は避けたいところなので、早い段階で相談することで何かしら対策が立てられるものです。最悪の事態を防ぐためにも、一人で何とかしようとせず早め早めに相談することをおすすめします。

住宅ローンの支払いに関するよくある質問

住宅ローンが払えないときの対処法|実際に滞納した後の流れについても解説

最後に、住宅ローンの支払いに関するよくある質問を見ていきましょう。

住宅ローンを滞納するとブラックリストに載る?

住宅ローンの滞納から61日以上、または3回目の支払い日を超えた場合、信用情報に延滞情報が記載され、いわゆるブラックリストとなります。

ブラックリストに載ってしまうとほかのローンなどが組めなくなるため、借り換えや売却時に新しく住宅ローンを組めなくなる恐れがあります。ブラックリストは、1~2日の滞納では掲載されないので、滞納が分かったら早めに対応するようにしましょう。

住宅ローンを滞納することで差し押さえされないものはある?

不動産会社に囲い込みがないかを確認してみましょう。確認したところで、実際に囲い込みされているかは返答してくれないでしょう。

しかし、囲い込みについて理解があることを担当者に認知されれば、牽制の役割を果たせるものです。

複数の不動産会社に査定を依頼する

住宅ローンの滞納での差し押さえは、担保となっている不動産が対象です。しかし、不動産を競売にかけても債権が回収できない場合、ほかの借金の差し押さえと同様に、債権者が手続きすることでほかの財産も差し押さえの対象となる可能性があります。

差し押さえの対象となるものには、給与や預貯金・貴金属だけでなく預金債権などの債権もあります。ただし、必要最低限の生活を保障するため、一部の動産は対象外となります。

【差し押さえできない財産例】
  • ・生活に欠かせない衣服や寝具・家具など
  • ・66万円以下の金銭
  • ・手取り給与の4分の3
 

すべての財産が差し押さえられないといっても、差し押さえが実施されると大きな負担となるものです。差し押さえまで発展しないように、適切に対処していくようにしましょう。

まとめ

住宅ローンを払えなくなった場合の対処方法や払えなくなった場合にどうなるのかについてお伝えしました。

住宅ローンが払えなくなると最悪自宅が競売にかけられ手放さなくてはなりません。しかし、滞納からいきなり競売になるのではなく段階によって対処方法は異なります。滞納が始まってしまうと取れる手段も少なくなるので、できるだけ早めに対処して最悪のケースを防ぐことが大切です。

住宅ローンに支払いが厳しいと感じた場合に取れる手段として「売却」があります。売却では住宅ローン残債を完済できる額で売却できるかが重要なポイントのため、不動産会社選びが大切になります。

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