
そこで本記事では、プロパンガスと都市ガスの料金やメリット・デメリットを比較して解説します。それぞれのおすすめの人の特徴やガス料金を安くする方法も紹介しているため、どちらのガスを利用するか検討している人はぜひ参考にしてください。
プロパンガスと都市ガスの違い

住宅に使用されるガスには、プロパンガスと都市ガスの2種類があります。プロパンガスとは、プロパンやブタンなどの気体燃料を冷却して液化したガス燃料です。都市ガスとは、メタンを主成分とする天然ガスを冷却して液化したガス燃料です。
プロパンガスと都市ガスの違いを以下の表でまとめました。主に原料・主成分や重量、供給方法、供給エリア、熱量に違いがあります。
プロパンガス | 都市ガス | ||||||||||||||||
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原料・主成分※1 | 原料:液化石油ガス 主成分:プロパン・ブタン |
原料:液化天然ガス 主成分:メタン |
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重量※2 | 空気より重い | 空気より軽い | |||||||||||||||
供給方法※1 | ガスの入ったボンベを事業者が配送 | 道路下のガス管を通じて供給 | |||||||||||||||
供給エリア | 全国各地 | 人口が密集した都市 | |||||||||||||||
熱量※2 | 24,000Kcal/㎥ | 11,000Kcal/㎥ |
※1参照:一般社団法人 日本ガス協会「都市ガスとLPガスの違い」
※2参照:LPガス安全委員会「LPガスとは?」
原料・主成分・重量
プロパンガスの原料は、プロパン・ブタンを主成分とする液化石油ガスです。空気の1.5〜2倍ほどの重さであり、ガスが室内に漏れ出した際には足元にたまることから、ガス探知機は低い位置に取り付けられます。ガス漏れ時は天井付近をうちわなどで仰いで、室外にガスを放出しましょう。
一方、都市ガスの原料は、メタンを主成分とする液化天然ガスです。空気の半分ほどの重さであり、ガスが室内に漏れ出した際には高い場所にたまることから、ガス探知機は高い位置に取り付けられます。ガス漏れ時は、引火の可能性があるほうきの使用を避けて、床をうちわなどで仰ぐことによって室外にガスを放出しましょう。
供給方法・供給エリア
プロパンガスは、ガス会社がガスの入ったボンベを配送する方法で供給されます。必要な設備さえを整えていれば、全国どこでも使用することが可能です。一方、都市ガスは、道路下のガス管を通じて供給されるため、ガス管が設置されていないエリアには供給されません。そのため、道路下にガス管が設置されている、人口が密集した都市が主な供給エリアとなっています。
熱量
プロパンガスの熱量は24,000Kcal/㎥と高く、火力が強い点が特徴です。それに対し、都市ガスの熱量は11,000Kcal/㎥と低く、プロパンガスと比較すると火力は弱くなっています。プロパンガスの熱量は都市ガスの約2倍であることから、お湯を沸かすなど同じ作業を行う場合、作業に必要なプロパンガスの量は都市ガスの約2分の1となります。
プロパンガスと都市ガスの料金を比較

プロパンガスと都市ガスを同じ量使用した場合、プロパンガスの方が料金が高くなります。以下の表で、1か月あたりのガス使用量別の料金を比較しました。
1か月あたりの使用量 | プロパンガス | 都市ガス(東京ガスの場合) | |||||||||||||||
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5㎥使用 | 4,820円 | 1,830円 | |||||||||||||||
10㎥使用 | 7,911円 | 2,901円 | |||||||||||||||
20㎥使用 | 13,978円 | 5,043円 | |||||||||||||||
50㎥使用 | 31,172円 | 11,023円 |
※都市ガス:小数点以下は四捨五入
※2023年3月時点
例えば、一人暮らしで1か月にガスを5㎥使用した場合の料金は、プロパンガスで4,820円、都市ガスで1,830円です。プロパンガスの料金が都市ガスの約2.5倍となっています。しかし、これらの料金の差がそのままコストパフォーマンスの差というわけではありません。
前述したとり、プロパンガスの方が都市ガスよりも熱量が高く、1㎥あたりの熱量は、プロパンガスが都市ガスの2.18倍です。5㎥使用した場合の都市ガスの料金に2.18を掛けると3,989円であり、プロパンガスの料金よりも安いことから、都市ガスの方がコストパフォーマンスは高いと言えます。
プロパンガスの料金
一般的なプロパンガスの料金は、基本料金に使用量に応じた従量料金を加えて算出します。2023年3月時点では、東京都の基本料金は1,809円です。
以下の表で、東京都におけるプロパンガス1か月あたりの料金を使用料別にまとめました。
1か月あたりの使用量 | ガス代(基本料金+従量料金) | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5㎥使用 | 4,820円 | ||||||||||
10㎥使用 | 7,911円 | ||||||||||
20㎥使用 | 13,978円 | ||||||||||
50㎥使用 | 31,172円 |
※すべて消費税込み
参照:一般財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター「最新価格情報」
都市ガスの料金
都市ガスの料金の計算方法として、本記事では東京ガスを例に出して紹介します。東京ガスにおける都市ガスの料金は、プロパンガスと同様に、基本料金と使用量に応じた従量料金の合算額です。従量料金は、使用量に応じた調整単位料金に使用料を乗じて算出します。ただし、使用料に応じて基本料金が変動する点で、プロパンガスと異なっています。
以下の表で、東京地区における1か月あたりのガス代を使用料別にまとめました。
1か月あたりの使用量 | 基本料金 | 調整単位料金 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
0㎥から20㎥まで | 759.00円 | 214.18円 | |||||||||||||||
20㎥から80㎥まで | 1,056.00円 | 199.33円 | |||||||||||||||
80㎥から200㎥まで | 1,232.00円 | 171.41円 |
※すべて消費税込み
参照:東京ガス「ガス料金の算定方法について」
プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリット

プロパンガスと都市ガスのメリット・デメリットを以下の表でまとめました。
メリット | デメリット | ||||||||||||||||
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プロパンガス |
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|
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都市ガス |
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それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、どちらの種類を利用するか検討してください。なお、賃貸物件の場合は自分で使用するガスの種類を選べない場合があります。物件探しの段階で利用するガスを決めておくことがおすすめです。
プロパンガスを利用するメリット・デメリット
プロパンガスを利用するメリット・デメリットを解説します。
メリット
プロパンガスのメリットとして、災害に強い点が挙げられます。各家庭にボンベが設置されており、災害でガスが止まったとしても、業者が各家庭のボンベや設備を点検することで短期間で復旧できます。被災地にボンベを輸送できれば、ガス管を地下に埋めることなく、すぐにガスを利用することも可能です。
また、初期費用をかけずに利用を開始できることも、プロパンガスのメリットです。地下にガス管を引き込む必要がないため、都市ガスのような高額な初期費用がかかりません。
デメリット
プロパンガスの料金は、都市ガスよりも高めに設定されています。ガスを収納したボンベを各家庭に届けるためには、配送にかかる人件費やガソリン代などがかかってしまうからです。すでに紹介した通り、2023年3月時点の東京地区における5㎥使用した場合のガス料金は、プロパンガスで4,820円、都市ガスで1,830円となっています。
プロパンガスの毎月の利用料は都市ガスと比較すると高いものの、大きな初期費用がかからないため、多くの費用が必要となる引越しでは、初期費用を抑えられる点は大きな魅力でしょう。
都市ガスを利用するメリット・デメリット
都市ガスを利用するメリット・デメリットを解説します。
メリット
都市ガスの料金はプロパンガスより安く、毎月の利用料を抑えられる点が都市ガスのメリットです。都市ガスは道路下のガス管を通して供給するため、一度ガス管を通してしまえば、毎月人件費やガソリン代などのランニングコストはかかりません。また、都市ガスには環境負荷が少ないという特徴もあります。燃焼時に排出される二酸化炭素量がプロパンガスより少ないうえに、輸送による二酸化炭素の排出もありません。
デメリット
災害時にガスが止まってしまった場合は、ガス管全体の安全確認を行なってからガスの供給を再開するため、復旧までに多くの時間を要します。ときには、復旧まで数ヶ月かかることも。
また、高額な初期費用が発生する点もデメリットです。ガス管を自宅に引き込む必要があるため、10万円ほどの初期費用がかかります。引越し時には引越し料金や新しい家具の購入などで多くの費用がかかるため、都市ガスの初期費用は痛い出費と言えるでしょう。ただし、毎月の利用料は低いことから、長期的に見ると損ではありません。
プロパンガスと都市ガスは結局どっちがいい?

プロパンガスと都市ガスにはそれぞれメリット・デメリットがあり、一概にどちらが良いとは言えません。しかし、暮らしの中で何を重視するかによってどちらを選べばよいのか変わってきます。
プロパンガスがおすすめの人
プロパンガスの利用がおすすめの人の特徴には、以下のようなものがあります。
- ・自宅で料理をよく行う人
- ・シャワーで済ますことが多い人く
プロパンガスは火力が強いことから、自宅で料理をよく行う人に向いています。特に揚げ物の料理を好む人にとっては、プロパンガスが最適です。また、お湯が沸くスピードが早いことから、普段からシャワーで済ますことが多い人にとっては時間短縮につながります。
都市ガスがおすすめの人
都市ガスの利用がおすすめの人の特徴には、以下のようなものがあります。
- ・毎月の料金を抑えたい人
- ・自宅の外観にこだわりがある人
毎月発生する料金は、プロパンガスより都市ガスの方が安くなっています。そのため、毎月のランニングコストを抑えたい人に向いています。また、都市ガスは自宅の外にボンベを置く必要がないことから、自宅の外観にこだわりがある人にもおすすめです。
ガス料金を安くする方法

ガス料金を安くする方法には、以下のようなものがあります。
- ・ガスの使用を節約する
- ・プロパンガスから都市ガスに切り替える
- ・ガス会社を見直す
ガスの使用を節約する
お風呂やキッチンでのガスの使用方法を見直すことで、料金を節約できます。たとえば、お湯の設置温度を高めに設定していると、ガスを多く使います。必要以上にお湯を高めに設定している場合は、お湯の温度を下げることで、料金を節約することが可能です。また、料理を長時間煮込む場合にも多くのガスを使用するため、圧力鍋や保温性の高い鍋を使用することで、煮込む時間を短縮して節約できます。
プロパンガスから都市ガスに切り替える
プロパンガスよりも都市ガスの方が毎月の料金が安いため、プロパンガスから都市ガスへ切り替えることで、ガス料金を抑えられます。しかし、都市ガスのガス管が道路下に通っているのは、都市部が多くなっています。供給エリアが都市部に限定されているため、住んでいる場所によっては都市ガスに切り替えられない点に注意が必要です。
ガス会社を見直す
使用方法の見直しだけではなく、ガス会社の見直しでもガス料金を節約できる場合があります。ガス会社によって料金設定は異なるため、各会社の料金プランを比較して選ぶことがおすすめです。
ガス会社を選ぶ際は、料金が安いことだけではなく、アフターサービスが充実しているかどうかも確認しておきましょう。契約後に設備が故障して修理が必要になる可能性もあるため、アフターサービスの充実度が重要なのです。
まとめ
自宅で使用するガスにはプロパンガスと都市ガスがあり、それぞれメリット・デメリットが異なります。プロパンガスには災害時の復旧が早かったり、初期費用を抑えられたりするメリットがある一方、都市ガスは毎月の料金を抑えられたり、環境負荷が少なかったりする点がメリットです。それぞれの特徴を理解したうえでどちらのガスを利用するか検討してください。
風呂やキッチンでのガスの使用方法を見直したり、プロパンガスから都市ガスに切り替えたりすることで、ガス料金を安くできます。ガス会社を見直すことでも節約できる場合があるため、ガス料金を安くしたい場合には複数の会社の料金プランを比較しましょう。
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