工務店とは？ハウスメーカーとの違いやメリット・デメリット、選び方を解説

今回の記事では、工務店とは何か、ハウスメーカーとの違いや依頼するメリット・デメリット、選び方などを紹介しています。工務店についてしっかりと理解して、優良店を見つけましょう。

• 工務店とは？ハウスメーカーとどう違う？
• 工務店を選ぶメリットとデメリットは？
• 工務店の探し方は？
• 工務店の選び方のポイントは？
• 優良工務店に依頼して、理想の注文住宅を建てよう！

工務店とは？ハウスメーカーとどう違う？

注文住宅を建てる依頼先として工務店やハウスメーカーなどが候補となります。そもそも工務店やハウスメーカーとは何か分からないという人も少なくないですよね。それぞれ特徴が異なるため、目的に合わせて依頼先を選ぶことが大切です。

工務店とは？

工務店とは、基本的に特定の地域での住宅工事を請け負う業者のことです。工事をする職人の手配や管理をしており、新築工事だけではなく、増築やリフォームなどにも対応しています。
住宅工事以外にも、土地探しを依頼できる場合もあります。土地探しから依頼できれば、家づくりに関わる窓口が1つで済むため、非常に便利です。

また、工務店といっても、規模や形態はさまざまです。
大きく分けて
・地域密着型
・フランチャイズ加盟型
・中堅ビルダー型
の3つに分類できます。

地域密着型の工務店は、拠点を置いている市町村を中心に施工を行っており、社長と従業員合わせて数名もしくは家族経営など小規模です。

フランチャイズ加盟型は、本部が開発した規格や工法を使用しています。建築資材を本部が一括で仕入れるためコストが抑えられる点や技術などの情報を本部や加盟店同士で共有している点が魅力です。なかには、複数のフランチャイズに加盟して、さまざまなデザインや工法で施工可能な工務店もあります。

中堅ビルダー型は、地域密着でありながら、近隣の県や市町村に支店や営業所を置いているため、施工エリアが広いことが特徴です。ハウスメーカーのように、モデルハウスや住宅展示場を設けている工務店もあります。

ハウスメーカーとは？

ハウスメーカーとは、独自のブランドを持ち、全国規模で営業を展開している会社のことです。例として、ミサワホームや積水ハウス、タマホームなどが挙げられます。本部で開発した規格や工法を全国の支店で共有しているうえ、建築資材は工場で加工しているため、サービスや商品の品質が一定に保たれていることが特徴です。基本的には、モデルハウスや住宅展示場を設けており、完成後のイメージがしやすくなっています。

工務店とハウスメーカーの違いを比較

	工務店	ハウスメーカー
施工エリア	狭い	広い
費用	安い	高い
プランの自由度	高い	低い
施工精度	ばらつきあり	一定
工期の長さ	長い	短い
アフターメンテナンス	手厚いフォロー	マニュアルあり

工務店とハウスメーカーの違いは、施工エリアや費用、プランの自由度、施工精度、工期の長さ、アフターメンテナンスが挙げられます。上記の表では、簡単に比較しました。それぞれ詳しく解説します。

●施工エリア

工務店は、地域に密着していることが多く、施工エリアが狭いことが特徴です。ハウスメーカーと比較して、会社も小規模であり、拠点を置いている市町村を中心に施工しています。また、拠点を置いている市町村以外にも支店や営業所を置いている工務店もありますが、近隣の市町村や県までであることがほとんどです。

ハウスメーカーは、全国規模で営業を展開しており、各地に拠点があるため施工エリアが広いことが特徴です。会社の規模も大きく、全国で住宅展示場やモデルハウスを設けています。

●費用

工務店は、費用を安く抑えられる可能性があります。地域密着色が強いため、基本的に地元の評判により知名度が上がることが多く、ハウスメーカーのように多額の広告費がかかっていません。そのため、建築に関わっていない費用の上乗せがありません。

ハウスメーカーは、工務店と比較すると、高くなることが考えられます。大手ハウスメーカーのCMを見たことがある人も多いかもしれませんが、多額の広告費がかかっています。また、そのほかにも技術開発費もかかっています。建築資材を大量生産しており、コストを抑えられる点がメリットではありますが、広告費や技術開発費がかかっている分、上乗せしていることもあるため、結果的に高くなる可能性があります。

●プランの自由度

工務店は、あらかじめ決められた間取りや設備などがないため、自由な設計に対応しており、プランの自由度が高いことが魅力です。外観デザインや間取り、建築資材など希望がとおりやすく、細部までこだわりたい人に適しています。ただし、工務店によって、得意なデザインが異なります。施工例などを見せてもらい、デザインセンスを確認しましょう。

ハウスメーカーは、外観デザインや間取り、建築資材などを決められたパターンのなかから選んで組み合わせることが多く、プランの自由度が低い傾向にあります。自由設計型もありますが、決められたパターンに変更を加えていったり、浴室やキッチンなどの設備は変更ができなかったりする可能性もあるうえ、規格外の場合、割高になることも考えられます。

●施工精度

工務店は、建築資材の加工を現場で行うことが多く、精度は不安定です。職人の腕次第であるため、当たり外れがあります。事前に利用者の口コミや評判を確認しておきましょう。

ハウスメーカーは、加工を工場で行っており、一定した品質を期待できます。加工した建築資材を現地で組み立てるうえ、ある程度の規格や工法なども決められているため、安心感がある点が魅力です。

●工期の長さ

工務店は、少人数で作業を行うことが多く、建築資材の加工も現場で行うため、工期は長い傾向にあります。また、プランの自由度も高いため、プランが複雑であればあるほど長くなるでしょう。一般的に延床面積が約35坪の住宅では、約4〜5か月かかります。

ハウスメーカーは、建築資材を工場で加工しているうえ、施工の流れがマニュアル化しており、工務店と比較してスムーズに進むため、工期は短い傾向にあります。一般的に延床面積が約35坪の住宅では、約3.5〜4か月かかります。

●アフターメンテナンス

工務店は、会社の規模が小さいため、倒産のリスクがあり、長い目で見るとアフターメンテナンスの利用ができなくなる可能性があります。しかし、地域密着型である点が魅力で、トラブルがあるとすぐに駆けつけてくれる工務店もあり、手厚いフォローを受けられます。

ハウスメーカーは、会社規模が大きいため、倒産のリスクも少なく、アフターメンテナンスを安心して受けられる傾向にあります。マニュアルに基づいた対応を行い、無料修理期間や定期点検などの制度も充実していることがほとんどです。

工務店を選ぶメリットとデメリットは？

工務店とハウスメーカーとの比較からも分かるように、工務店を選ぶ場合はメリットとデメリットがあります。工務店を検討する際は、メリットとデメリットを考慮し、ニーズに合っているか確認しましょう。

工務店を選ぶメリット

工務店を選ぶメリットは、低コストで施工可能である点や自由度が高い点、サポートが手厚い点などです。それぞれ詳しく解説します。

●低コストで施工可能

工務店を選ぶと低コストで施工ができる傾向にあります。工務店は少人数で経営しており、人件費が少ないうえ、ハウスメーカーのように莫大な広告費をかけていません。そのため、無駄な上乗せがないため、コストを抑えることが可能です。

また、人件費や広告費などではなく、建物自体に費用をかけることができるため、ハウスメーカーと同じ費用でも、工務店の方がより良い仕様の家を建てられる可能性もあります。つまり、工務店であれば、低コストで施工できるだけではなく、コストパフォーマンスも良い傾向にあります。

●自由度が高い

自由度が高い点も工務店を選ぶメリットのひとつです。施工における制約が少なく、デザインや間取り、建築資材など細部までこだわりやすい傾向にあります。自由度が高い分、決めることが多く、手間がかかるかもしれません。しかし、手間を掛けることでより想いのこもった家を建てることが可能です。

また、地域の特徴や風土などを考慮した家づくりができることも魅力です。地域密着色の強い工務店だからこそ行えることでしょう。

●サポートが手厚い

工務店を選ぶメリットとして、サポートを手厚く行ってくれることも挙げられます。工務店は地域に根ざして業務を行っているため、住人からの信頼を得ることが必要です。地域での評判が業績にもつながるため、トラブルがあった場合、スピーディーかつ柔軟な対応を期待できます。

また、増築やリフォームなどの相談もしやすい傾向にあります。大きな相談でなくても、何か気になることがあれば、親身になってくれるでしょう。

工務店を選ぶデメリット

工務店を選ぶデメリットとして、完成物件の見学ができない点や品質が一定ではない点、倒産リスクがある点が挙げられます。それぞれ詳しく解説します。

●完成物件の見学が不可

工務店では住宅展示場やモデルハウスが設けられていないことが多く、完成物件の見学ができない可能性があります。仕上がりのイメージが沸かないまま施工がはじまるため、完成後のギャップが大きくなることも考えられるでしょう。

しかし、なかには完成見学会を行っている工務店もあります。工務店の場合、建築棟数が少ないため、機会が少ないかもしれませんが、タイミングが合えば、できる限り見学するようにしましょう。工務店のデザインセンスを直接確認できる良い機会となります。

●品質が一定ではない

品質が一定ではない点が工務店を選ぶ際のデメリットとして挙げられます。工務店の場合、建築資材を現場で加工するため、精度は大工の腕次第です。品質の高い家を建てるためには、腕の良い大工や知識のある担当者がいる工務店を探す必要があります。

工務店を選ぶ際には、評判や施工実績などを確認しておきましょう。大工が社員として働いているかどうかもポイントです。社員として働いている大工は、腕の良さを認められている可能性があります。

●倒産リスクがある

工務店は、会社規模が小さいため、倒産する可能性があります。倒産により施工が継続できない可能性もあるかもしれません。万が一に備えて、「住宅完全保証制度」に加入している工務店を選ぶことをおすすめします。住宅完全保証制度とは、事業者が倒産などで工事を継続できなくなった場合、発注者が最小限の追加負担で住宅を完成できるようにサポートする制度です。

工務店の探し方は？

工務店は、ハウスメーカーのように、住宅展示場・モデルハウスの設置や広告などを行っていないことがほとんどです。工務店を探す場合は、検索エンジン以外にもSNSや口コミ、工務店紹介サイトなどを活用しましょう。

検索エンジンで探す

代表的な検索方法の1つに検索エンジンがあります。お住まいの地域名とこだわりなどを合わせて検索してみましょう。例えば「千葉 木造 平屋 工務店」などと入力すると、千葉の木材にこだわった平屋づくりが得意な工務店を見つけることができます。

公式ホームページでは、工務店の紹介や施工事例、会社案内などが掲載されています。デザインの方向性や会社の雰囲気、情報などを確認しましょう。

SNSで探す

工務店を探すためにはSNSの活用もおすすめです。とくにインスタグラムでは、多くの施工例の写真を見ることができます。工務店が運営している場合以外にも、注文住宅の発注者が個人的に情報を発信していることもあります。

お住まいの地域名を入れたハッシュタグを使用して検索してみましょう。例えば、神奈川注文住宅や神奈川工務店、神奈川新築などに#（ハッシュマーク）を付けて検索してみてください。工務店を見つけるだけではなく、デザインや間取り、設備などの参考にもなります。

口コミを頼る

実際に工務店を利用した人の口コミを頼りに探すこともひとつの手です。Googleマップの口コミ欄を参考にしてみてはいかがでしょうか。「埼玉 工務店」などお住まいの地域を含めて検索すると登録されている工務店が表示されるため、口コミを確認できます。Googleマップの口コミは誰でも投稿できるため、信憑性が低い可能性もあります。ほかの評判と合わせて参考にするようにしましょう。

また、工務店の公式ホームページに掲載されているお客様の声も参考になります。掲載内容は工務店次第なので、良い点だけではなく、不満点も隠すことなく公表しているかにも注目してみてください。お客様の不満点もしっかり掲載している工務店は、信頼できる可能性が高いでしょう。

工務店を探す専門のWEBサービスで探す

工務店紹介サイトを利用すれば、簡単に複数の工務店の情報を得られます。エリアや予算、特徴などを選択すると、条件に合った工務店を抽出してくれるため非常に便利です。まとめて資料請求できるため、時間をかけることなく複数の工務店を比較検討できます。家を建てることは安い買い物ではありません。一生ものの家づくりを失敗しないためには、1つだけではなく複数比較して、ニーズに合った優良な工務店を見つけることが大切です。

工務店の選び方のポイントは？

優良工務店を選ぶためには、工務店と建設地の近さや企業の安定性、スタッフの人間性などに注目しましょう。選び方のポイントについて解説するので、参考にしてください。

工務店と建設地の近さ

工務店を選ぶ際は、建設地との近さを確認しましょう。地域に密着している工務店は、作業や対応の評判がそのまま地元での評価につながります。そのため、工務店のエリアに近ければ近いほど、より責任を持って対応してくれる可能性があります。建築後のフォローも一層丁寧に行ってくれるでしょう。

また、工務店が近ければ、入居後にトラブルがあった場合でも、スピーディーに対応してもらえるため安心です。施工中も距離が近い方が現場の管理を行いやすく、コストを抑えられるというメリットがあります。

企業の安定性

ハウスメーカーと比べて、倒産リスクの高い工務店を選ぶ場合は、企業の安定性を確認することが必要です。創業年数や年間施工数、経営状況などを調べましょう。工務店が倒産してしまうと、アフターメンテナンスどころか、施工にも影響を及ぼす可能性があります。先述したとおり、住宅完全保証制度に加入している工務店を選ぶことをおすすめしますが、万が一の事態が起こらないような安定した工務店を見つけることが大切です。

スタッフの人間性

社長や従業員の人間性が高い工務店を選びましょう。家を建てるためには、工務店と何度も打ち合わせをする必要があります。さらに、施工期間だけではなく、入居後にもメンテナンスやトラブルの際には工務店と関わることになります。コミュニケーションは欠かせないため、検討段階で少しでも不信感を抱くようであれば、依頼しないようにしましょう。

実際に社長や従業員に関わったときに相性の良さや信頼を感じる工務店に決めることが大切です。良好なコミュニケーションを築ける工務店に依頼すれば、要望も伝えやすく、入居後にトラブルが起こった場合にも相談しやすくなります。

自社で施工

自社で施工を行っている工務店であれば、家づくりに関わるすべてのことに対して責任を持って業務を行ってくれます。下請け業者に施工を依頼する工務店もありますが、トラブルが起こった際に責任の所在で揉める可能性も考えられます。自社で施工していないことにより、コストが加算されたりアフターメンテナンスに影響が出たりするかもしれません。自社施工の工務店の方が家づくりを安心して任せられるでしょう。

プランの提案力

工務店のメリットであるプランの自由度の高さを活かすためには、提案力に優れている必要があります。専門的な技術や知識のあるプロは、顧客の要望や状況を聞き出し、最適なプランを提案する力が求められます。要望に答えることが難しい場合も、自社の考えや都合を押し付けてくることなく、代替案や修正案を提示してくれる工務店に依頼しましょう。

技術力の高さ

品質の良い家を建てるためには、技術力の高さが大切です。工務店の場合、大工の腕や担当者の知識により品質が変わるため、当たり外れがあります。技術力の高い工務店を見極めるためのポイントのひとつは、大工が社員であることです。人件費がかかる社員として雇われている大工は、技術が認められているといえるでしょう。

また、施工管理士や建築士なども常駐しているか確認してください。専門的な資格を保有している人が常駐していれば、より高品質な家づくりができると考えられます。

ほかには、施工事例や口コミなどを確認することも技術力を見極める手段です。公式ホームページや口コミサイトなどを活用して調べてみましょう。

優良工務店に依頼して、理想の注文住宅を建てよう！

今回の記事では、工務店とは何かをはじめとして、ハウスメーカーとの違いや依頼するメリット・デメリットなどを紹介しました。工務店は、プランの自由度が高く、細部にまでこだわった家を建てられます。一生ものである家づくりに失敗したくないですよね。優良工務店を見つけて、安心して家づくりを任せましょう。