
本記事では、タワーマンションに住むメリットやデメリット、購入前に確認すべきポイントについて解説します。タワーマンションの購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
タワーマンションとは

タワーマンションというと、都市部に多い高層のマンションを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
眺望や立地のよいタワーマンションは、特に高所得層に人気のある物件です。実は、タワーマンションには明確な定義がありません。ここでは、タワーマンションの一般的な定義や法律上の建築基準についてご説明します。
タワーマンションの一般的な定義
明確な定義はないものの、一般的には20階以上のマンションがタワーマンションと呼ばれています。建築基準法では、タワーマンションは高さ60mを超える「超高層建築物」に該当します。
タワーマンションは厳しい基準をクリアしている
タワーマンションのような一定以上の高さがある建築物は、国の定めた厳しい建築基準を満たしています。高層の建築物は、建物の構造方法などの性能を確かめる技術評価を受ける必要があると建築基準法で定められているためです。技術評価は、国土交通大臣の指定を受けた指定性能評価機関によっておこなわれなければなりません。評価をクリアした建築物に国土交通大臣の認定が与えられます。
タワーマンションに住むメリット

タワーマンションに住むことは、一種のステータスであるだけでなく、生活面でも多くのメリットがあります。高い建物は、日当たりや眺望がよく、一日を快適に過ごせます。充実した共用施設や万全のセキュリティ対策、便利なコンシェルジュサービスは、日々の生活をより豊かにするでしょう。タワーマンションは、駅の近くなど利便性の高い場所に建っていることも多いため、通勤や通学にも便利です。
眺望や日当たりが良好
タワーマンションの最大の魅力は、高層階からの眺望でしょう。リビングや寝室などから眺める絶景は、入居者だけに許される贅沢です。周りに同じ高さの建物がない場合は、周囲の目を気にする必要もありません。高層階はもちろん、10~20階の中層階以上であれば、日当たりも抜群です。日当たりがよいと冬の寒い季節でも暖かく、エアコンなどを頻繁に使う必要がありません。洗濯物も太陽の光がよく当たるので早く乾くでしょう。
高層階は虫の侵入が少ない
中層階や高層階の部屋は、虫の侵入が少ないというメリットもあります。蚊やハエなどの虫は、自力では最高10m程度の高さまで飛べるといわれています。10m程度の高さはマンションの3階程度に相当するため、4階以上の部屋であれば虫の侵入が少なく快適に過ごせるでしょう。
セキュリティ面で安心感がある
タワーマンションのような住居数の多い物件は、セキュリティ対策がしっかりしています。物件を探す際には、どのようなセキュリティ対策がされているか確認しましょう。多くのタワーマンションでは、下記のようなセキュリティ対策が備わっています。
タワーマンションの主なセキュリティ対策
- ・オートロック付きのエントランス
- ・防犯センターの設置
- ・防犯カメラ
- ・モニター付インターホン
- ・防犯ガラスやルーバー面格子を設置している窓
共用施設が充実している
多くのタワーマンションは、共用施設が充実しています。物件探しの際には、どのような共用施設があるかチェックしましょう。
タワーマンションにある主な共用施設
- ・キッズルーム
- ・スポーツジム
- ・ゲストルーム
- ・パーティルーム
- ・スカイラウンジ
- ・シアタールーム
- ・ライブラリー
コンシェルジュサービスがある
タワーマンションには、コンシェルジュサービスを提供している物件が多くあります。コンシェルジュサービスでは、さまざまな生活面でのサポートを提供しています。例えば、ゲストルームなど共用施設の利用予約のほか、タクシーの手配、クリーニングや宅急便の取次代行など、忙しい方に嬉しいサービスが多くあります。コンシェルジュサービスのあるマンションでは、フロントに専任スタッフが常駐しているため、防犯面での安心感もあるでしょう。
周辺の生活環境が整っている
ほとんどのタワーマンションは、商業施設や医療施設などが多くある利便性の高いエリアに建っています。生活に欠かせない施設が身近にあるため、不自由なく暮らせるでしょう。駅に近いことが多く、通勤や通学にも便利です。タワーマンションは、子育て世代など幅広い層におすすめできる物件です。
タワーマンションに住むデメリット

タワーマンションには、生活するうえでのデメリットも存在します。高層マンションであるため、洗濯物を外に干せずに不便を感じることがあるかもしれません。また、部屋数が多いため、エレベーターの待ち時間が長く感じることもあるでしょう。災害時には、地震の揺れを感じやすかったり、地上に降りるのに時間がかかったりと不安を感じるかもしれません。費用面では、一般なマンションよりも管理費や修繕積立金が高いともいわれています。
洗濯物を外に干せない
タワーマンションでは、一般的に洗濯物を外に干すことが禁止されています。ベランダに干された洗濯物は、マンションの景観を損ねるだけでなく、高層階から落下したときに危険なためです。ベランダが使えない場合は、洗濯乾燥機や浴室乾燥機を活用しましょう。布団や洗濯物の外干しが好きな人には、タワーマンションは向いていないかもしれません。
エレベーターの待ち時間が長い
タワーマンションは、高層階になるほどエレベーターの待ち時間が長くなる傾向にあります。特に、平日の通勤・通学時間帯は混雑するかもしれません。自宅からマンションを出るまでに時間がかかると、朝の貴重な時間を無駄にしてしまいます。
タワーマンションによっては、エレベーターの台数と部屋数をよく計算した設計が施されていたり、高層階・中層階専用のエレベーターが設置されていたりと、混雑しない工夫がされています。物件選びの際は、エレベーターの位置や待ち時間なども必ずチェックしましょう。
地震の際に揺れを感じやすい
地震の際には、タワーマンションの高層階ほど揺れを感じやすくなります。高層階ほど地面から離れているため、揺れ幅を感じやすく、揺れが収まりにくいという性質があるのです。高層の建物は、地震の揺れる周期と建物の揺れる周期が近くなりやすく、揺れが次第に大きくなってしまうという特徴もあります。タワーマンションは、地震の揺れに強い弾力性のある作りとなっているので、揺れを感じやすくても安全性には問題はありません。
災害や停電時に外出しにくい
高層階では、災害や停電によりエレベーターが使えなくなると、外出が困難になってしまいます。エレベーターの復旧には時間がかかることもあるかもしれません。買い出しのたびに長い階段を上り下りしなくてもよいように、部屋に十分な量の水や食糧をストックしておきましょう。
管理費や修繕積立金が高い
タワーマンションに住むと、管理費と修繕積立金が毎月発生します。マンションの管理費と修繕積立金は、高層階ほど高く設定されているので、よく確認してください。
物件探しの際には、下記の階層別管理費・修繕積立金の平均額を参考にするとよいでしょう。修繕積立金は、築年数の経過とともに値上がりすることにも注意が必要です。
階層 | 管理費 | 修繕積立金 | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3階建以下 | 14,965円/月 | 10,340円/月 | |||||||||||||||
4~5階建 | 16,892円/月 | 13,631円/月 | |||||||||||||||
6~10階建 | 15,307円/月 | 12,078円/月 | |||||||||||||||
11~19階建 | 16,155円/月 | 10,872円/月 | |||||||||||||||
20階建以上 | 25,069円/月 | 13,699円/月 |
タワーマンションの購入価格の目安

タワーマンションの購入価格は、新築・中古の違いのほか、立地や階数、築年数などによって変動します。下の表には、東京都23区人気エリア別のタワーマンション購入価格を載せています。
人気エリアは、ニフティ不動産の「東京都住みやすい街ランキング」から上位5区を選出しました。購入価格と家賃の目安は、ニフティ不動産サイトの2022年12月時点の物件情報をもとにしています。実際の価格は時期によって変動するため、物件ごとに確認してください。
エリア | 購入価格の目安 | 家賃の目安(賃貸の場合) | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千代田区 | 7,980万~3億3,000万円 | 32万~89万円/月 | |||||||||||||||
荒川区 | 5階4,430万~1億1,500万円 | 20.5万~43万円/月 | |||||||||||||||
中央区 | 2階4,080万~2億6,800万円 | 16万~92万円/月 | |||||||||||||||
目黒区 | 5,220万~1億5,480万円 | 34.8万~245万円/月 | |||||||||||||||
品川区 | 3,880万~1億7,980万円 | 19万~58万円/月 |
エリアによっては、タワーマンションの5階以下の部屋ならば5,000万円以内で購入できます。駅から徒歩5分以内、20階以上の部屋だと1億円以上かかる物件が多くなるでしょう。
賃貸の家賃がもったいないという方には、特にマンション購入をおすすめします。子どもの数や転勤など今後のライフスタイルが変わる可能性がある方は、賃貸がよいかもしれません。
タワーマンションの購入前に確認すべきこと

高額なタワーマンションの購入には、慎重な判断が求められます。住み心地が悪いと、タワーマンションを購入してすぐに売却するということにもなりかねません。売るときに購入時から資産価値が下がっていると、損をしてしまうというリスクもあります。
リスクを回避するには、まず資産価値の落ちない物件を選ぶことが重要です。タワーマンションの購入前には、長期的に住みやすい階層か、共用施設は利用しやすいかなど、住環境が自分のライフスタイルに合っているかしっかり確認しましょう。
資産価値は落ちないか
タワーマンションを購入する際には、将来に物件の資産価値がどう変動するかをよく考える必要があります。
まず管理費が高いタワーマンションには要注意です。ジムやプールなどの共用施設には、高額のメンテナンス費がかかります。老朽化による機械の入れ替えなどで管理費が年々高くなるようであれば、売却時には買い手がつかなくなってしまうかもしれません。管理費の節約のため、もし共用施設が閉鎖されることがあればさらに資産価値が下がってしまうというリスクもあります。
無計画な修繕計画にも注意が必要です。タワーマンションの修繕にあたって、修繕積立金が不足したり、一時金の徴収ができなかったりすれば、建物の修繕の延期や中止を余儀なくされてしまいます。不十分な修繕は、タワーマンションの資産価値をさらに下げてしまう結果となるでしょう。
資産価値が落ちない物件を選ぶ際は、まず立地に注目してください。大規模都市の主要駅や高級住宅街など、人気のあるエリアのタワーマンションは資産価値が落ちにくいといわれています。また、高層階で眺望のよい部屋もタワーマンションのなかで特に人気が高く、資産価値があります。タワーマンションの共用施設やサービスに関しては、住居数や管理費とバランスがとれているか確認しましょう。マンションの管理をおこなう管理組合がしっかりしているかもよく確認してください。管理組合がしっかりしていれば、管理費・修繕費が計画的に運用され、将来に資金不足で破綻するということはないでしょう。
将来的に住みやすい階層か
タワーマンションの高層階は眺望など魅力的な面がたくさんあるものの、高齢になると外出がおっくうになるかもしれません。高層階に住むと、自宅を出てからマンションの外に出るまでに時間がかかるためです。タワーマンションの各階層のメリットとデメリットを考慮して最適な階層を選びましょう。下の表に各階層のメリットとデメリットをまとめているので、参考にしてみてください。
階層 | メリット | デメリット | |||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
低層階(9階以下) | |||||||||||||||||
中層階(10~19階) | |||||||||||||||||
高層階(20階以上) |
共用施設は利用しやすいか
タワーマンションの充実した共用施設はとても魅力的ですが、物件を選ぶ際には慎重に検討する必要があります。自身のライフスタイルを振り返りながら、各共用施設が自分にとって必要か、利用しやすいかをよく考えてみましょう。
施設によっては、利用できる人が限られていたり、機能していなかったりと、実際の状況がパンフレットの説明と異なっていることもあるかもしれません。購入前には、マンションの口コミサイトを閲覧する、内覧時に疑問点はすべて質問するなどして、共用施設に関する情報をしっかり集めましょう。
特に、ゲストルームやパーティルームなどは使用料がかかるケースが多いので、利用料金や申し込み手順、広さなどもチェックしておくとよいでしょう。
まとめ
タワーマンションには、素晴らしい眺望や日当たり、利便性のよさ、充実した共用施設やセキュリティ対策など多くの魅力があります。その一方で、災害時のエレベーター停止による移動の不便さ、高齢になったときの外出のおっくうさを感じるといったデメリットもあります。
タワーマンションは、購入価格だけでなく、管理費や修繕積立金も高額です。購入の際には、資産価値が落ちない物件か、自分のライフスタイルに合った階層の部屋か、不要な共用施設やサービスはないかしっかりチェックしましょう。マンションの管理組合がきちんと機能しているかどうかも重要なポイントです。
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