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購入する住宅価格の目安を考える

三井住友トラスト基礎研究所が2015年に発表した住宅購入価格に関する分析レポートによると、住宅の購入価格が年収の何倍に相当するかを示す「価格年収倍率」は、推計4.94倍となりました。

この調査は、住宅金融支援機構と民間金融機関の住宅ローン「フラット35」の利用者のデータを分析した平均値です。そのため、現金での購入や、そのほかの民間の住宅ローンを利用した購入データは含まれていませんが、住宅購入のトレンドを考えるうえで参考になります。

これを見ると、購入する住宅価格の目安は2000年代には4倍前後でしたが、今や5倍程度が一般的になってきているといえます。ここから計算すると、年収が400万円の場合、購入できる住宅価格の目安は2000万円ということになるわけです。

しかし、この5倍というのはあくまでも目安です。その金額で購入して余裕のある返済が可能になるかどうかは、その人その人の条件によってすべて異なります。

購入する年齢も返済に影響する

住宅ローンをどのように返済していくかというのは、戸建て住宅を購入する時期によっても大きく違いがあります。

まだ20代の、ちょっと早いかなと思われるような時期に住宅ローンを借り入れて戸建て住宅を購入してしまえば、最初は少し大変かもしれませんが、全体で見ると余裕を持った住宅ローンの返済計画を立てやすいと考えられます。年齢が若い分、就業期間もまだまだ長く、安定した収入を見込みながら長期間の返済を考えることができるからです。

一方、30代後半から40代に入って以降に戸建て住宅を購入する場合はその逆で、余裕を持った返済計画を立てることは少し難しくなってしまいます。住宅ローンの返済は何十年にもわたるものです。ローン返済の終盤にはすでに定年を迎える可能性もあります。

また、住宅ローンのほかにも、生活を送るうえでは生活費が必要になりますし、お子さんが大きくなるにつれて教育費が必要になってきます。購入した住宅も時間が経つにつれてメンテナンスをしなければなりません。そうした費用が発生することを考えながら、資金計画を立てていきましょう。

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専門家からのアドバイス

平成29年3月現在では、住宅ローンの金利は1%台前半のため支払いがかつてよりかは楽になっています。それによって金融機関によっては年収の7~10倍を上限に融資してくれるようになっています。
ただ、それはあくまでも融資の上限のお話し。できれば年収の5倍を目安に資金計画を立てた方が支払い面では安心です。

一方で、同じ年収400万円台でも融資を受ける年齢によって審査の結果は異なります。20~30代の方はスムーズでも、40代を境に融資審査は厳しくなってくるからです。その理由は融資期間の問題と、定年後の支払いはどうするのか、20~30代と比べると高くなっているだろう生活費などの可分所得の問題があるからです。

いつまでも年収からこれぐらい借りられると考えていると、ダメと言われることもありますので注意をしたいところです。

年収400万円の場合の住宅費用予算

年収が400万円の場合、購入できる戸建て住宅の適正価格はいくらぐらいになるでしょうか。

住宅ローンの年間返済金額は、年収の20%から25%におさめるのが望ましいとされているのが一般的です。年収が400万円とすれば、住宅ローンの返済金額は年間80万円から100万円が目安と考えられます。

安定して返済するという観点から、年間80万円の返済と仮定して単純に12カ月で割ると、毎月の返済額は約6万7000円です。無理せずに安定的にローンを返済していくためには、毎月の返済額をこのラインに基準に考えたほうがいいでしょう。

この返済金額をもとに、購入できる住宅価格がいくらぐらいになるか、@nifty不動産の住宅ローンシミュレーションで試算してみましょう。「年収400万円、返済は月6万7000円、金利2%、返済期間は35年、頭金100万円、ボーナス時の増額返済なし」という条件で試算してみると、「購入可能物件価格」は2,123万円でした。

同シミュレーション画面で、試算金額で購入可能な物件情報を見てみると、例えば神奈川県川崎市の小田急線沿線では駅から徒歩5分の新築戸建てといった物件もありました。中古も含めれば選択肢はさらに広がります。

住宅ローン設定

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※物件価格の80%以下でお借入れの場合
※50歳以下で一般団信をご選択の場合
※住宅ローン金利優遇割適用後の変動金利(全期間引き下げプラン)
※実際のお借入日の金利により変動します。
※審査の結果によっては保証付金利プランとなる場合があり、この場合は上記とは異なる金利となります。
※別途借入金額の2.20%(税込)の事務手数料が発生します。


こうして、年収から返済可能な金額を算出し、購入可能な物件価格の試算を行ってみることによって、購入可能な住宅のイメージをより具体的にふくらませることができるというわけです。

おわりに

戸建て住宅を購入して新しい生活を始めると、住宅の維持や生活にもお金がかかります。前述の試算額を超えて「毎月7万5000円ぐらいなら返済できるのではないか」「いや、8万円ぐらいなら」といまは思っていても、時が経つにつれて生活にどのような変化が起こるかわかりません。何かの理由で返済が苦しくなってしまう可能性もあります。

かといって、月々の返済金額を減らすために返済期間を長くすると、その期間の分金利が発生しますし、場合によっては退職後にもローンを返済することになります。いまの生活にも老後の生活にも支障が出ないよう、無理のない返済計画を立てていきましょう。

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監修:

畑中 学(はたなか おさむ)

Profile
不動産コンサルタント・武蔵野不動産相談室株式会社 代表 1974年東京都生まれ。設計事務所にて一戸建てや公団分譲地を手掛けた後、不動産会社へ移り最年少で店長になる等、7年間にわたり不動産の販売・企画・仲介を責任者として携わる。2008年に創業。家に関する相談を約800組受け、お金の面から多くの方に満足のいく家づくりと家の買い方をサポートしている。 「不動産の基本を学ぶ(かんき出版)」「不動産の落とし穴にハマるな(同)」「マンション・戸建 中古の選び方(日経ビジネス)」「お金持ち入門(実業之日本社 不動産編)」など著書は多数。