
「売り主」と「仲介会社」の違い
物件の売買は、「買い主」と「売り主」が売買契約を締結し、買い主が代金を支払い、売り主が物件を引き渡すことで成立する。これが基本的な契約形態となっています。
新築一戸建ての売買の場合、この「売り主」に該当するのは、多くがデベロッパーやハウスメーカーです。建売住宅の建築・販売、注文住宅の工事請負を受けているような会社と直接契約して、家の建築や購入をやりとりしながら進めていくことになります。
一方で、不動産広告などを見ていると、「販売代理」「仲介(媒介)」といった項目で会社名が記載されているのを目にすることがあります。これは、買い主と売り主の間に第三者が入るということを意味します。その一つが「仲介会社」です。
仲介会社は、文字通り、売り主と買い主の間を仲介する役目を受け持ちます。賃貸物件を探すときに不動産会社を訪れるケースを想像するとわかりやすいでしょう。
仲介会社は、物件購入を検討している買い主に対して、可能な限り希望通りの物件を紹介します。物件が見つかったら、売り主であるハウスメーカーや工務店との間に入っていろいろな調整を行い、最終的に契約手続きを行うまでの段取りをつけてくれるというわけです。したがって、買い主はデベロッパーやハウスメーカーと直接ではなく、仲介する不動産会社とやりとりすることになります。
仲介手数料の計算方法
仲介会社を通して契約が成立した場合、仲介会社に「仲介手数料」を支払うことになります。また、仲介手数料はあくまで成功報酬ですので、どれだけ相談しても、最終的に契約が成立しなければ支払う必要はありません。
この仲介手数料は、法律で下記のように上限額が決まっており、多くはこの金額が請求されます。計算に用いる「取引金額」は「消費税を含まない売買価格」です。一方、仲介手数料は消費税の課税対象ですので、別途消費税がかかります。
- 売買する物件の取引金額のうち、200万円以下の部分に対して………………取引金額の5%
- 売買する物件の取引金額のうち、200万円超400万円以下の部分に対して… 取引金額の4%
- 売買する物件の取引金額のうち、400万円超の部分に対して…………………取引金額の3%
たとえば、税抜き1000万円の物件を購入する場合の仲介手数料の上限額は、以下のように計算します。
- (1)1,000万円のうち、0~200万円までの部分に対して
→200万円×5%=10万円 - (2)1,000万円のうち、200万円~400万円以下の部分に対して
→(400万円−200万円)×4%=8万円 - (3)1,000万円のうち、400万円超の部分に対して
→(1000万円−400万円)×3%=18万円 - (1)+(2)+(3)=合計36万円(税抜)
この金額は下記の式で速算できます。
- 物件の売買金額が200万円以下の場合………………取引金額の5%
- 物件の売買金額が200万円超400万円以下の場合… 取引金額の4%+2万円
- 物件の売買金額が400万円超の場合…………………取引金額の3%+6万円
税抜き3,000万円の物件を購入する場合は、3,000万円×3%+6万円=96万円という計算です。
なお、新築ではなく中古でも、仲介手数料は同じ計算式となります。

仲介手数料の注意点
仲介手数料は、売買契約の成立段階で請求できることになっているため、契約が済んだ段階で全額の支払いを求められるケースがあります。しかし、契約締結時に半分を支払い、物件の引き渡しが終わった段階で残りの半分を支払うのが一般的です。
最近は「仲介手数料半額」や「手数料ゼロ」をうたう不動産会社もあります。法律で決まっている仲介手数料は、先にもふれたように「上限」ですので、それより低い額であれば法律上は問題ありません。コスト削減やビジネスモデルの工夫で、買い主の仲介手数料を低く抑えているサービスなら安心して活用していただければと思いますが、中には集客手段としているところもあり、その場合、満足いくサービスを受けられないことも見受けられますので、注意しましょう。
また、売買契約が成立した後に何らかの事情で解約になった場合は、一旦契約が成立しているため、仲介手数料を請求されるケースがあります。これらを踏まえて、契約は慎重に行いましょう。
まとめ
不動産会社は、専門知識といろいろな物件情報を持っており、頼りになる存在です。しかし、なかには対応がしっかりしていなかったり、残念ながら悪徳と呼ばれるようなところもあります。「手数料ゼロ」にまどわされて「安かろう悪かろう」にならないように、丁寧に対応してくれる会社を選びましょう。
専門家からのアドバイス
仲介手数料を支払う前提として、媒介契約書という仲介を依頼する契約を結びます。この契約の意味は大きく、法律上では準委任契約と呼び、簡単に言うならプロとして当然の義務を果たす契約といえます。
そのため皆さんが希望する内容を仲介会社に伝えても適えてくれないなら、それは仲介会社の責任となり、契約の解除や損害賠償請求ができるようになります。これが直接売主との契約なら、そうはいかないことが多くあります。
ある意味、希望する内容の物件を得るための保険。そう考えると仲介手数料の価値が分かってくるのではないでしょうか。
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監修:
畑中 学(はたなか おさむ)
Profile
不動産コンサルタント・武蔵野不動産相談室株式会社 代表
1974年東京都生まれ。設計事務所にて一戸建てや公団分譲地を手掛けた後、不動産会社へ移り最年少で店長になる等、7年間にわたり不動産の販売・企画・仲介を責任者として携わる。2008年に創業。家に関する相談を約800組受け、お金の面から多くの方に満足のいく家づくりと家の買い方をサポートしている。
「不動産の基本を学ぶ(かんき出版)」「不動産の落とし穴にハマるな(同)」「マンション・戸建 中古の選び方(日経ビジネス)」「お金持ち入門(実業之日本社 不動産編)」など著書は多数。