
住宅購入にはいろいろとお金がかかる
まず、購入時にかかるお金の全体像を理解しましょう。 一戸建てやマンションをを買うときにはその物件の価格以外にもさまざまな資金が必要になります。その資金の事を諸費用と一般的に言います。

住宅購入時にかかる諸費用
住宅を購入する際、物件の価格とは別に諸費用がかかります。この諸費用は購入時の頭金というものとは別に現金で用意する必要があります。
頭金はご存じの通り、物件の購入価格の一部を購入時に現金で支払う代金のことです。物件を抑えておく時に支払う手付金は後でこの頭金に充当されます。一般的には頭金は物件価格の2割以上用意しておくとローンの審査に通りやすく、また金利の優遇(低い金利)を利用出来ます。不動産会社によっては売りたいために頭金ゼロで購入できると薦めてくるケースもありますが、金利やローン保証料が高い提携ローンの場合が多いので注意しましょう。
かかる諸費用の目安は新築一戸建ての場合、物件価格の5%程度、新築マンションでは物件価格の4%程度が目安とされています。たとえば、5000万円の新築一戸建てを購入する場合は250万円程度かかります。(売主が個人の場合の仲介手数料は別途必要となります。また地域によって変わります、例えば水道加入金が高い地域などはそのぶん諸費用がかかる場合があるのでご注意下さい)
物件購入に関する費用の例
- ・申込証拠金や手付金(購入代金の一部)
- ・仲介手数料(仲介会社を通して購入する場合、売主が不動産会社の場合不要)
- ・不動産の登録免許税、司法書士に依頼する場合の報酬
- ・売買契約書に貼る印紙代
- ・不動産取得税
- ・固定資産税・都市計画税(購入する年の分を日割りで支払うことが多い)
消費税は新築だけかかる
消費税は新築マンションと新築一戸建ての「建物」部分が対象となり、販売価格は「税込み」で表示されあまり目にすることはありません。また、「土地」や「個人が売り主の中古住宅」の売買には消費税はかかりません。(仲介手数料には消費税がかかります)
住宅ローンの契約に関する費用
- ・ローンの契約書に貼る印紙代
- ・借り入れの事務手数料や保証料
- ・火災保険や団体信用生命保険特約料などの保険料
その他の費用
- ・固定資産税や管理費等の清算金
- ・修繕積立金一時金(新築マンション購入の場合)
- ・表示登記費用(新築一戸建て・マンションの場合)
- ・水道加入負担金(新築一戸建て購入の場合。自治体によって異なる)
- ・引っ越しに伴う備品購入費用や引っ越し費用
住宅購入後にかかる諸費用
一方、住宅を購入した後にかかる費用というものもあります。それは「住宅ローンの返済」と「維持に関する諸費用」で、毎月支払っていくものです。
住宅ローンの返済は、全額の返済が完了するまで毎月支払い続けます。プランによっては、ボーナス月は返済額を増やすといった場合もあります。返済期間は最長35年が一般的で、買い主のライフプランに応じて期間を設定できます。
維持に関する諸費用は、住まいを適切に維持・管理するためにかかる費用です。また。毎年支払う固定資産税・都市計画税は、どのような物件であっても費用が発生します。
加えて、マンションを購入する場合は、
- ・共用部分の清掃や設備の管理などに充てられる管理費
- ・マンションの大規模な修繕に備えて積み立てる修繕積立金
- ・駐車場代(使用する場合)
などが発生します。
なお、一戸建ての場合は、マンションのように管理費や積立金を徴収されることはありませんが、メンテナンスはすべて自分で行うことになります。その費用はもちろん自己負担で、長期的にはリフォームが必要となる場合もあるでしょう。これらを踏まえて、自身できちんと備えておく必要があります。

少しでも節約する方法
思いの外多くの費用がかかるとわかり、焦る方もおられるのではないかと思います。では、これらの諸費用を少しでも安く抑えるには、どうすればいいのでしょうか。
節約できる費用
まず節約しやすいのは、引っ越し費用です。引っ越しの料金は、会社や季節、曜日によって大きく異なります。繁忙期の週末に午前中を指定して依頼するケースと、オフシーズンの平日に時間指定なしで依頼するケースとでは、料金はかなり変わってきます。
お客さんの少ない時期であれば値引き交渉もしやすくなりますし、荷物の梱包は自分で行うプランにすればさらに料金を下げることができます。
また、引っ越しする距離や荷物量によっては、大手の会社よりも地域密着の会社に依頼する方が安く抑えられる場合があります。いろいろな会社に見積もりを依頼して比べてみるといいでしょう。
それから、家具・家電などの購入費用も、コントロールしやすいところです。新しい家に住むときは、家具・家電を新調したくなってしまいがちですが、そうした買い物はまとまると大きな額になります。必要以上に出費しないよう心がけたいものです。
また、工夫次第で節約できるのは、住宅ローンに関する諸費用です。金融機関やローン商品によって、金利が違ったり、保証料が不要のものもあります。手数料の多寡は、使えるケースや融資額との兼ね合いもありますが、いろいろ商品を調べて手数料の違いなどを比較検討してみるとよいでしょう。
保険についても、内容を精査して必要なものだけを選択することで節約につながります。たとえば、マンションの高層階の住宅を購入する場合、水災の補償は不要かもしれません。
節約できない費用
住宅の購入に伴う手続きに関する費用については、その多くは自分で額を変えることはできません。
考えられるとすれば、仲介会社を介さないで直接取り引きして仲介手数料を節約する、司法書士に頼まないで不動産登記を自分で行うなどです。しかし、それだけ手間がかかりますし、専門知識を持たずに行うことでトラブルを招く懸念があります。
そうでなくても、しなければならないことはとても多いです。時間コストやトラブルリスクにも留意して、必要なところではプロフェッショナルの手を借りた方が無難でしょう。
専門家からのアドバイス
住宅購入時の諸費用は新築か中古か、一戸建てかマンションかでかかる費用項目が大きく異なります。また、築年数や建物の面積などでも違いが出てきます。そのため各々かかる費用項目を洗い出してまとめていった方が早いでしょう。
おおまかな概算は記事の通りですが、詳細は不動産会社の営業担当者に聞く方が早いです。遠慮なく尋ねていきましょう。
まとめ
住宅の購入には、さまざまな場面でお金が必要だとわかっていただけたのではないでしょうか。資金計画を考えるときは、これらも試算した上で考えていきましょう。
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監修:
畑中 学(はたなか おさむ)
Profile
不動産コンサルタント・武蔵野不動産相談室株式会社 代表
1974年東京都生まれ。設計事務所にて一戸建てや公団分譲地を手掛けた後、不動産会社へ移り最年少で店長になる等、7年間にわたり不動産の販売・企画・仲介を責任者として携わる。2008年に創業。家に関する相談を約800組受け、お金の面から多くの方に満足のいく家づくりと家の買い方をサポートしている。
「不動産の基本を学ぶ(かんき出版)」「不動産の落とし穴にハマるな(同)」「マンション・戸建 中古の選び方(日経ビジネス)」「お金持ち入門(実業之日本社 不動産編)」など著書は多数。