
今回は、スマートシティを知るための基礎知識や、各種の事例を解説していきます。
スマートシティに住みたいと考えている人は、自分が目指すライフスタイルに合っているかチェックしてみてくださいね。
後半ではスマートシティ関連の仕事に転職したいと考えている人に向けて、市場規模や企業動向なども紹介しています。ぜひ最後まで読んでみてください!
- スマートシティを理解するための3つのキーワード
- スマートシティの事例(海外編)
- スマートシティの事例(国内編)
- スマートシティの市場規模と関連企業を見てみよう!
- スマートシティはテクノロジーが創る新しい街のカタチ☆
スマートシティのことを理解するには、具体的な事例を見るのが一番!
マイホームを検討している人は、トレンドに乗り遅れないようにしよう。
スマートシティを理解するための3つのキーワード

スマートシティのことを知るためには、押さえておきたいキーワードが3つあります。
「スマートシティ」という言葉は少し抽象的ですので、具体的なテクノロジーを学ぶと理解が深まりますよ。
ここで紹介するキーワードは以下の3つです。
①AI(Artificial Intelligence)
②IoT(Internet of Things)
③MaaS(Mobility as a Service)
これらのキーワードは1つ1つ奥が深いので、全部を完全に理解しようとするのではなく、まずはどんなものかを大まかに把握していきましょう!
スマートシティのキーワード①:AI(エーアイ)

AI(Artificial Intelligence)は、「人工知能」と訳されることが一般的です。
この言葉はどこかで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
AIは機械が人間のように「考える」ことや「判断する」ことを目標にしています。
人間が目や耳から情報を得るように、AIにもさまざまな情報を学習させることで、速く正確な判断ができるようになります。
スマートシティでは、AIを活用して社会のインフラとなる交通や環境・エネルギーなどを機械が運営・管理することを目指しています。
従来の都市では人間が行っている仕事を、賢くなったAIが24時間体制で担ってくれるのです。
スマートシティとAIについては以下の資料にも詳しく掲載されています。
専門的な内容となりますので、AIの歴史から詳しく知りたい人におすすめです。
<参考>一般財団法人 日本エネルギー経済研究所|スマートシティにおけるAIの役割と活用
スマートシティのキーワード②:IoT(アイオーティー)

IoT(Internet of Things)は、「モノのインターネット」と訳される用語です。
言葉だけを聞いてもイメージが湧きませんが、簡単に言うと生活に使うすべてのモノがインターネットに接続されている状態を表しています。
たとえば、身近なところでは「スマート家電」と呼ばれるテレビや洗濯機、調理機器などもIoTの1つです。
それぞれが単体で置かれているのではなく、インターネットに接続することで、最新情報の受信やスマホでの操作を可能にしています。
IoTはスマートシティの中核となる技術で、家の中だけではなく外にある自動車や交通機関もインターネットにつながります。すべてのモノがネット接続されることにより、モノ同士が情報を共有して最適な判断を下すことができるようになるのです。
スマートシティのキーワード③:MaaS(マース)

MaaS(Mobility as a Service)は、「サービスとしての移動性」と訳されます。
なかなかイメージしにくい言葉ですので、もう少しわかりやすく説明します。
日常生活で考えると、どこかへ出かけるときには自転車や自家用車、電車やバスなどを組み合わせて移動していると思います。これらは移動するための「モノ」としてそれぞれ独立していますが、MaaSではすべてを統合した「サービス」として扱います。
スマートシティでは、これまで説明してきたAIやIoTによって移動手段もインターネットに接続されます。
ここにMaaSが導入されることにより、移動に必要な予約や決済が1つにまとまり、電車やタクシーなどをスムーズに乗り継いで目的地にたどり着くことが可能になるのです。
スマートシティの事例(海外編)

つづいて、スマートシティの事例(海外編)です。
海外でもスマートシティ構想は進んでおり、次々と事例が報告されています。
ここでは代表的な事例として、アメリカのニューヨーク州と中国の杭州市を紹介します。
アメリカや中国は世界でもIT技術のトップを争う国。そのためスマートシティについても早い段階から計画がはじまっており、実証実験も進んでいます。
海外の事例を知ることで日本との違いや、スマートシティに関する新たな発見もありますよ。
【アメリカ】ニューヨーク州

アメリカのニューヨークでは、オバマ政権のときに「スマートシティ・イニシアティブ」と呼ばれる検討文書が発表されました。
このプロジェクトでは地域社会が抱える以下の課題を解決することを目的としています。
・交通渋滞
・防犯対策
・経済成長
・気候変動
・市民サービスの向上
スマートシティはこれだけ多くの課題に対応できる力を秘めているのです。
日本でも同じような課題を抱えているので参考になりそうですね。
またニューヨーク州では、スマートシティを構築する中で、都市分野ごとに技術・コンセプトと目標を定めています。
都市分野 | 技術・コンセプト | 目標 |
---|---|---|
交通・運輸 | ・オンデマンドのデジタル交通 ・自動運転車 |
・移動時間の削減 ・交通機関事業者の管理費削減 |
エネルギー | ・エネルギー効率の高い照明 ・先端的な暖房換気空調システム |
・エネルギーの効率化 ・大気汚染ゼロ |
施設・住宅 | ・新しい建設技術とデザイン ・適応性のあるスペースデザイン |
・健康的な生活・労働環境 ・快適な温度 |
水道 | ・統合された水道システムデザインと管理 ・スマートメーターを活用した水の効率的利用 |
・動的なエコシステム統合 ・システムとしての水道、下水、洪水管理、農業環境のスマートな統合 |
都市製造 | ・ハイテク、オンデマンド ・3D印刷 |
・新規雇用の創出 ・都市スペースの転用と再利用 |
都市農業 | ・都市農業と垂直農業 | ・より清潔な配達 ・より新鮮な生産物 |
<参考>国立研究開発法人 情報通信研究機構(北米連携センター)|米国におけるスマートシティ に関する研究開発等の動向
【中国】杭州(こうしゅう)市

中国・上海の南西に位置する杭州では、巨大IT企業であるアリババを中心とするスマートシティが開発されています。
アリババは中国の主要IT企業4社をまとめた「BATH(バス)」の1つとしても有名で、「中国版Amazon」とも呼ばれています。
■BATH(バス)とは・・・
中国を代表するIT企業4社の頭文字を取ったものです。
・Baidu(バイドゥ)
・Alibaba(アリババ)
・Tencent(テンセント)
・Huawei(ファーウェイ)
アメリカのGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)になぞらえて名付けられたと言われています。
杭州のスマートシティは2017年10月に正式リリースされており、プロジェクト名は「ET City Brain」。
このET City Brainは、2018年8月にバージョン2.0が早くもリリースされ、圧倒的なスピードで日々進化しています。
特に注目されているのは、数千台の路上カメラを使って交通状況の可視化に成功したこと。これにより事故や渋滞をスピーディーに検出することが可能になりました。
また、緊急車両(警察、救急、消防)が少しでも早く現場に到着できるよう、この交通システムを使って信号の制御も行われています。
日本でこのような高度なシステムが導入されるにはまだ時間がかかりそうですが、将来のスマートシティ像として知っておくと良いでしょう。
<参考>Alibaba Cloud|ET City Brain(ETシティブレイン)
スマートシティの事例(国内編)

まずは、スマートシティの事例(国内編)を紹介していきます。
まだ日本全国に広まるには時間がかかりますが、いくつかの都市で実験的にスマートシティが運営されていますよ。
具体的な事例を知ることで、スマートシティのメリットや今後の課題などが見えてきます。
将来スマートシティに住みたいと考えている人は、自分のライフスタイルに合っているかを見極めてくださいね。
【千葉県柏市】柏の葉(かしわのは)スマートシティ
施策 | 内容 |
---|---|
環境への取り組み | 人と環境をITテクノロジーで融合させて、住んでいる人が快適な生活を営めるようさまざまな工夫を施す |
新産業への取り組み | スマート化された街には最先端の企業や研究機関が集まり、優秀な人材も豊富にそろう その中で新たな産業を生み出して、社会に貢献することを目指す |
健康への取り組み | 各種の医療施設に加えて、テクノロジーを使った健康管理も進め、高齢者でも安心して生活できる街へ |
<参考>柏の葉スマートシティ
【神奈川県藤沢市】Fujisawaサスティナブル・ スマートタウン
神奈川県藤沢市にある「Fujisawaサスティナブル・ スマートタウン」は、先進的な取り組みを進める企業と藤沢市の官民一体プロジェクトです。
このプロジェクトでは「生きるエネルギーがうまれる街」をコンセプトに、最新技術を駆使したスマートタウンの構築が進められています。
ただし、技術を使うことを主目的とせず、あくまでも主体は人のくらしであるという理念のもとに、住みやすさをもっとも重視している点がポイントです。
この「くらし」を起点としたアプローチで、食べる・働く・学ぶなどの日常生活を、技術を使ってスマート化しているのが「Fujisawaサスティナブル・ スマートタウン」なのです。
スマートシティの市場規模と関連企業を見てみよう!

スマートシティは将来的に伸びてくる分野ですが、現在の市場規模や数年先の予測はどのようになっているのかが気になるところです。
ここでは、スマートシティの市場規模をデータで解説していきます。
また、スマートシティ関連の仕事をしたい人に役立つ企業動向についても紹介しますので、就職や転職を考えている人は参考にしてください!
スマートシティの市場規模は?
スマートシティの市場規模は、IT専門調査会社 IDC Japanが「2018年 国内スマートシティ関連IT市場の展望を発表」で示しています。
この発表によると国内の市場規模は、2018年の4,623億円から2022年には9,964億円になると予測されており、勢いがあることがわかります。
スマートシティの市場規模を見るにあたっては、市場規模が大きい順に以下の5つがポイントになります。
・高度化した公共交通誘導
・インテリジェント交通管制
・環境監視
・固定監視画像データ解析
・スマート街灯
上のグラフを見ると、環境監視を除く分野で、いずれも1.5〜2倍以上の伸び率で需要が拡大していくと予想されています。
IT関連の分野は進化するスピードが速いので、常に新しい情報を気にかけておくことが大切です。
スマートシティ関連の企業は?

スマートシティ関連の企業は大きく分けて2種類あります。
・スマートシティを開発する企業
・スマートシティのインフラを整備する企業
ここでは、上記2種類のスマートシティ関連企業について解説していきます。
将来、スマートシティに関わっている企業への就職や転職を考えている人は、2つの違いを理解した上で自分のイメージにあったところを選びましょう。
▶スマートシティの開発
スマートシティの開発は1つの街を構築することであり、単に大きな建物や住宅を建てるだけではありません。そのため、建設会社や不動産デベロッパーと呼ばれる企業以外にも、さまざまな業種が関わって実現します。
具体的には、スマート化を実現するためのIT(情報技術)関連をはじめとして、エネルギー業や小売・総合商社、国や地方自治体などが一団となって進めていきます。
▶スマートシティのインフラ整備
スマートシティでは表立って見える建物や交通のほかに、見えない部分を支えるインフラ整備も非常に重要です。
電気・ガス・水道の整備はもちろん、本記事で解説したIoT(Internet of Things:モノのインターネット)もその1つで、スマートシティでは空調機器や交通システムなどのネット接続が安定していることが大前提となります。
インターネットの世界では2020年頃から5G(第5世代移動通信システム)が普及していきますので、インフラ整備も急速に進んでいくことでしょう。
▶スマートシティに関連する企業
役割 | 業種 | 関連する主な企業 |
---|---|---|
スマートシティの開発 | ・不動産 ・住宅 ・建設 ・総合商社 ・IT・電機 |
・三井不動産 ・積水ハウス ・大成建設 ・三菱商事 ・パナソニック |
スマートシティのインフラ整備 | ・エネルギー ・ICT ・電機、機械 ・エコカー ・水素燃料 ・小売業 ・物流サービス |
・関西電力 ・日立製作所 ・日本IBM ・トヨタ自動車 ・ホンダ ・イオン ・ヤマト運輸 |
日本を代表する大企業がズラリと並んでいるのがわかりますね。
それほどスマートシティが注目されており、壮大な規模のプロジェクトということです。
有名企業で働くためには相応の能力が求められますが、気になる人は情報収集からはじめてみてはいかがでしょうか?
スマートシティはテクノロジーが創る新しい街のカタチ☆

スマートシティの概要や国内外の事例、市場規模や関連企業などについて解説してきました。
スマートシティは「最新技術をフル活用して住みやすい街を創る夢のプロジェクト」であることが、お分かりいただけたかと思います。
2020年の時点ではまだ一部の都市のみですが、将来的にはスマートシティを選ぶのも一般的になってくることでしょう。
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